※2021年8月3日情報更新
みなさんは、犬や猫のイラストを描くとき「ヒゲ」を必ず描くのではないでしょうか。お顔にヒゲがあることは、周知の事実です。実はヒゲには色々な役割があり、犬・猫にとっての大切な身体の一部なのです。
今回はヒゲの仕組みや機能など、知っていて欲しい情報について解説いたします。
■ヒゲの仕組み
人間とは異なる、犬猫のヒゲの特徴的な構造について4つご紹介します。
(1)ヒゲの根元は神経が集中
ヒゲの根元は、血液の袋の中に浮いたような構造です。神経が集中しており、何かが触れると刺激をキャッチするような仕組みになっています。ここで伝わった刺激は、脳に伝達されます。
(2)長く、太い、深い
ヒゲは毛の一種ですが、他の体毛よりもずっと長くて太く、皮膚の深いところから生えています。
(3)筋肉につながっている
筋肉につながっていますので、ヒゲを自由に動かすことが可能です。
(4)指紋のようなもの
顔の横についているヒゲの生え方は、個体差があります。人間で例えると、「指紋」のようなものです。
■ヒゲの働き
ヒゲにはどのような働きがあるのか、2点ご紹介します。
(1)センサー
ヒゲは重要な「触覚受容器」になります。特に、猫にとっては隙間の空間や空気の動きなど微小な動きをキャッチしています。暗闇で歩けるのも、ヒゲが役立っているからです。犬にとっても、触れた物を知るためのセンサーとして活躍しています。獲物や障害物の情報などを得るためにヒゲを活用しているのです(※1)。
(2)コミュニケーションメッセージ
犬猫は自分の意思でヒゲを動かすことができます。横や前後に動かして、ヒゲの向きを変えることで、相手にメッセージを伝えているといわれています。ヒゲが前方に向く時は、“興奮”や“緊張”、“興味”などを示しています。後方に向くときは、“恐怖”や“不安”などを感じていることがあります。ただ、ヒゲだけでは全てのメッセージを受け取ることはできませんので、表情や身体全体を確認しながら、感情を読み取ってあげることが大切です。
■ヒゲについて知っておきたいこと
犬猫のヒゲについて、飼い主さんに特に意識していただきたいことを2点お伝えします。
(1)大事な「感覚器」であること
前述した通り、ヒゲは情報をキャッチしたり感情を伝えたりする、大切な部分になります。猫にとっては生きていく上で、とても重要です。この部分をカットすることは、とても危険なことになります。犬の場合、トリミングなどでカットすることもありますが、どうしても切らなければいけないような状況でなければ、感覚器としてのヒゲを残してあげるとよいでしょう(※1)。
(2)高齢期の助けになること
高齢期になると、視覚や聴覚などが低下することがあります。このような場合、ヒゲは感覚器として、周囲の環境を把握する補助的な役割になることもあるようです。ヒゲが他の感覚器で不足している部分を助けてくれるわけです。
私たち人間が考えている以上に、ヒゲは犬猫にとって重要な感覚器となります。神経が集中していますので、非常に敏感な部分にもなります。感覚だけでなく、感情も伝えるヒゲを大切に取り扱ってあげたいですね。
※ 本サイトにおける獣医師および各専門家による情報提供は、診断行為や治療に代わるものではなく、正確性や有効性を保証するものでもありません。また、獣医学の進歩により、常に最新の情報とは限りません。個別の症状について診断・治療を求める場合は、獣医師や各専門家より適切な診断と治療を受けてください。
【関連記事】
※ なついてくれないのには理由がある!? 猫を飼うときに注意したい「NG行動」
※ かわいいけどこんな時は危険!? 猫が「寝言」を言う理由と注意すべきこと
※ 猫心を読み取るコツって?「戦いを回避するための行動」を理解しよう
【参考】
※2 サリー・モーガン(2018)『猫の心と通じ合う技術 』株式会社エクスナレッジ
※3 佐々木文彦(2011)『猫の体は不思議がいっぱい!』学窓社
※4 武内ゆかり・福田豊文(2016)『イヌとネコのふしぎ 101』偕成社
【画像】
※ Grigorita Ko,Valeri Potapova,Chendongshan,iChzigo / Shutterstock?
戻る
みんなのコメント