愛猫が「グーグー」といびきをかいて、寝ているところを見たことはありませんか? このいびき、もしかしたら病気のサインかもしれません。この記事では猫のいびきから考えられる病気やいびきの原因、病院に行くべきかの参考指標についてお話しします。
■そもそもいびきって何だろう?
いびきとは、何らかの原因で狭くなった気道の中で、空気が無理矢理通り振動することによって寝ているときに発生する音を言います。猫の場合も人と同じ仕組みです。
「スースー」という寝息のようなものから、呼吸をすること自体が難しくなるほど気道が狭くなって大きな音を出しているものまであります。
■猫のいびきの原因って何?
(1)先天性
・品種
ペルシャ、ブリティッシュ・ショートヘア、スコティッシュフォールドなどの、いわゆる短頭種と呼ばれるお鼻がぺちゃんこタイプの猫は、生まれつき鼻腔が狭い構造になっているため、いびきをかきやすい傾向にあります。狭さの度合いにもよりますが、とても狭い子だと起きているときにも呼吸の音がしたり、口を開けて呼吸をしたりする子もいます。
・軟口蓋過長症
人でいう口蓋垂(喉ちんこ)にあたる構造物である、軟口蓋が長すぎるため、呼吸をするときに振動してしまい音を出すことがあります。短頭種の場合は特に起こりやすく、狭い気道で頑張って呼吸をすることによって軟口蓋が伸びて症状がひどくなることもあります。
(2)鼻炎
・ウイルス性鼻炎
猫伝染性鼻気管炎ウイルス、猫ヘルペスウイルス、猫カリシウイルス等が原因の「猫風邪」と言われる病気に伴う鼻炎で、鼻粘膜が腫れてしまい気道が狭くなり、いびきをかくことがあります。特に子猫でよく認められますが、猫ヘルペスウイルスは一度感染してしまうと完全に体から追い出すことができないので、完治したように見えてもストレスがかかったり、体力が落ちると大人になっても再び症状がぶりかえしたりすることがあります。
・細菌性鼻炎
黄色や緑色の、ねばねばとした鼻水を出すことの多い鼻炎です。鼻粘膜が何らかの原因で弱っているところに、細菌が二次感染を起こし発生することが多いです。
・真菌性鼻炎
いわゆるカビが原因の鼻炎です。発生は稀ですが、感染が進むと鼻の内部構造を破壊してしまうなど重症化することがあります。
・アレルギー性鼻炎
ハウスダスト・タバコの煙・花粉など、何らかのアレルギー物質が原因となり体内の免疫システムが過剰に反応することによって起こります。
掃除機をマメにかけたり、空気清浄機を使用したりする等で、症状の改善が認められる場合があります。
(3)鼻腔内腫瘍
比較的、シニア猫に多く認められます。
鼻腔内に発生した腫瘍がどんどん大きくなり、空気の通り道が狭くなることで、いびきや、呼吸の音が目立つようになります。腫瘍が進行すると眉間がでっぱってきたりするなど、顔の変化や鼻血が認められることもあります。
(4)肥満
運動不足や、おやつ・ごはんのあげすぎにより、首の周りにまでお肉がついた肥満状態になることで、空気の通り道を圧迫してしまい、呼吸音が目立ったりいびきをかいたりすることがあります。
肥満自体も健康上大きな問題となりますが、いびきを引き起こす原因を併発してしまう場合、さらに症状が重くなる可能性があります。
■病院を受診したほうがいい状態は?
愛猫のいびきが気になる場合、下記の項目等に当てはまることがあれば、動物病院で診察を受けた方がよいでしょう。
・鼻水や鼻血が出ていないか
・普段呼吸している時の音が目立ってないか
・太りすぎていないか
・元気や食欲は落ちてないか
・顔の形に変化はないか
・しっかりと睡眠をとれているか
・呼吸が苦しそうじゃないか
上記以外にも、猫がいびきをかく状態にあるということは、普段も呼吸がしにくくなっている可能性があり、治療が必要と判断される場合もあります。また、生まれつき鼻腔が狭い子でも状況によっては治療が必要となりますので、いずれにせよあまりにもひどいようなら獣医師さんに相談しましょう。
肥満の子も治療対象となり得ます。いびきをかくほど体重が過剰になっている場合は、糖尿病、関節炎、膵炎等他のさまざまな病気を起こすリスクも高まっているので、ダイエットをおすすめします。
猫の肥満の場合、すでに関節炎を患っている子や、体が重いために運動を嫌がる子がほとんどです。そのため運動で痩せることはあまり現実的ではないでしょう。食事療法がもっとも効果的だと筆者は考えますが、急激な食事制限で体重を急速に落とすと、猫は肝臓の病気を起こしてしまう可能性があるため危険です。ダイエットをする場合は獣医師や動物看護師と相談して少しずつ進めるようにしましょう。
ここに挙げている疾患が全てではありませんが、いびきはこのようにさまざまな病気のサインの可能性があります。ご自宅で様子を見てあげて、気になる症状があるようならば動物病院の受診を検討しましょう。
※ 本サイトにおける獣医師および各専門家による情報提供は、診断行為や治療に代わるものではなく、正確性や有効性を保証するものでもありません。また、獣医学の進歩により、常に最新の情報とは限りません。個別の症状について診断・治療を求める場合は、獣医師や各専門家より適切な診断と治療を受けてください。
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