筆者は幼い頃から動物が大好きで、将来は獣医師またはドッグトレーナーの仕事に就きたいと思っていました。その気持ちはぶれることなく夢は現実となり、現在獣医師の仕事とともにドッグトレーニングの仕事もしています。
「動物に対する愛情や熱意は誰にも負けない!」という自負を持ち仕事をしていましたが、仕事を通じてご家族のわんちゃんに対する誰にも負けない愛情と気遣いに、頭が上がらないことも度々経験しています。
そこで今回は、そんなエピソードをみなさんにシェアしたいと思います。
目次
■愛犬の気持ちを理解しようと努力している飼い主さん
筆者が飼い主さんとわんちゃんのやり取りを見ていると、双方のミスコミュニケーションに注目してしまうことがしばしばあります。ミスコミュニケーションが繰り返されることで、問題行動や異常行動、肉体の歪をもたらす原因にもなってしまうこともあるからです。
しかし、中には小さいサインをちゃんと見て、できるだけストレスにならないように、「愛犬が毎日ハッピーでいられるように」と、日々努力している飼い主さんもいます。
■わんちゃんが体全体で示すメッセージを読み解けることの大切さ
わんちゃんは顔の表情やしぐさで、さまざまな感情を私たち飼い主に訴えかけています。私たち人間と共通するボディーランゲージもあります。
例えば怖いときは体の重心が後ろへ、いばっているときは重心を前にシフトして相手を凝視するなど。ところが、わんちゃん特有の体で示すサインもあります。それは私たち人間が(今となっては?)持ち合わせていない、動く耳としっぽを使って相手に感情を伝える方法です。
わんちゃんの気持ちをちゃんと理解できるようになることは、愛犬と信頼関係を築くためにとても大切な要素となります。
■愛犬の問題に愛情を持って向きあう熱心な気持ちが愛犬を変えていきます
Aさんの愛犬(仮名:ポム)は、家族に対してしばしば攻撃的な振る舞いをしていて悩んでいました。そこで、筆者の提供するカウンセリングを通じて、なぜポムが咬むのかという心理を理解してもらい、問題改善のため日々の接し方、環境など細かいなところまで見直してもらいました。
ある日、「先生、私はもっと自分の子のことを理解したいんです。わんちゃんとのコミュニケーション法や行動学を学べる本を教えてください」とAさんから相談を受けました。それから6年の月日が経過しています。
今でも定期的にトレーニングの授業に参加いただいています。たくさんの本や動画を見て、“犬の気持ち”をきちんと理解できる飼い主になろうと努力しています。
以前は問題行動に悩む日々が続いていましたが、今ではポムの伸びシロを見つけ、日々トレーニング、散歩、遊びを介し、よい行動を引きだすことができるようになりました。
■問題犬がお手伝い犬へ
この6年でポムに教えた号令やトリックの数の多さにも驚きですが、最近では筆者が「このトリックはどうやってこの子に教えたの?」と逆に質問したくなることもしばしば。
昨年は娘さんの結婚式にポムも参加し、指輪を届ける大役を果たしくれたそうです。
飼い主さんの愛犬に対する計りしれない愛情を感じることができるこの仕事を通じて、筆者自身も日々学ばせていただています。
飼い主さんは愛犬の「ここが問題だな」と感じている行動や振る舞い。実は飼い主さん自身が植え付けてしまっていることもよくあります。
わんちゃんは何歳になっても問題行動を改善できる器があります。家族の努力と愛情があれば、愛犬といい関係を築くことができるはずですよ。
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※ プラナ, Pangaea, YAMATO, よっし, SerhiiBobyk / PIXTA(ピクスタ)
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