わんちゃんのおしっこは、犬の本能的な行動レパートリーに直結しています。おしっこの行動を知ることは、わんちゃんの行動を理解することにもつながります。
おしっこは情報交換の手段であったり、行動欲求だったりします。そこで今回は、おしっことその行動、飼い主さんの対応について、獣医行動診療科認定医の筆者が解説します。
■おしっこはメッセージ
参考文献によると、わんちゃんは嗅覚によって相手の情報を得ようとする動物です。ニオイからは、性別、年齢、健康状態など多くのことが分かると言われています。
そして、ニオイのメッセージのひとつに“おしっこ”があります。わんちゃんにとっては重要な情報を伝えるメッセージツールになっているのです。
■テリトリーではなく会話するためのおしっこ
わんちゃんはテリトリーのためのマーキングはしない動物です。自分のテリトリーとして「自分のもの」だと感じていることを示す行動はまったく見せないと言われています(※1)。
テリトリーではなく情報を相手に伝える手段として、おしっこのニオイを残しています。つまり、会話をするための手段と言ええますね。
■おしっこの後の行動について
おしっこのあと、地面を引っ掻き、ひと嗅ぎし、あたりを見まわしたりなどの行動をするわんちゃんがいると思います。地面を引っ掻く行動については、ニオイの拡散をしていると考えられています。
■飼い主さんのとるべき対応
おしっこあとの行動は、社会性の高い犬としての情報交換をしているのです。どのように対応することが望ましいのか、3つ説明します。
(1)感染症に気をつける
感染症の疑いのあるわんちゃんの排泄物近くには、近寄らないことが大切です。舐めたり体にこすりつけたりしないように注意してください。
(2)安全な場所であれば欲求を満たす
安全な場所であれば、おしっこの一連の行動をさせてあげることで、満足度を高め、行動欲求を満たしてあげることができます。
(3)嫌悪的な方法で行動を中止させない
無理やり引っ張る、叱りつけるなどの対応は最もしてはいけません。排泄行動に対する嫌悪条件づけだけでなく、犬本来の行動を示したい欲求が満たされないことによる葛藤が生じて、攻撃行動や追尾行動に発展してしまう子もいるとされるためです。
楽しく呼び寄せたりすることで、このようなトラブルに発展することを防ぎましょう。
わんちゃんの“おしっこ事情”を理解し、お互いが気持ちよく過ごせるよう対応してくださいね!
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【参考】
※1 アレクサンドラ・ホロウィッツ(2018)『犬であるとはどういうことか』白揚社.
【画像】
※ Rasulov, Bachkova Natalia, Karina Bakalyan, ChandraSekhar, Zivica Kerkez / Shutterstock
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