わんちゃんやねこちゃんとの暮らしの中で、欠かせないものが「おやつ」ですよね。おやつを美味しそうに食べる姿は癒されますし、しつけやトレーニングでも、ご褒美としての重要な役割を持っています。
しかし、そんなおやつですが、与え方を間違えてしまうと肥満や病気の原因になることがあります。
そこで今回は、おやつについての適正量や与え方についてお伝えいたします。
■おやつは犬と人との大切なコミュニケーションツール
おやつに関係するトラブルで最も多いのが「肥満」です。筆者の経験上、おやつを与えている方のほとんどが"与えすぎ”のため、結果的に動物が肥満になってしまうケースが多く、健康上の問題になっています。そこで、そういったトラブルを防ぐためには、わんちゃんやねこちゃんにおやつを与える目的をはっきり確認することが重要です。
わんちゃん・ねこちゃんのおやつは、その食べる姿を見て癒されたり、しつけやトレーニングのツールとして与えることがほとんどです。つまり、おやつを与える目的は、空腹や栄養を満たす意味だけではなく、あくまで「動物と飼い主の方とのコミュニケーションツール」という目的で与えるということになります。
したがって、わんちゃんやねこちゃんのおやつはたくさん与える必要はありません。逆におやつを与えすぎると、肥満はもちろん、栄養バランスを崩してしまう恐れがあります。今やペットとして暮らすわんちゃんやねこちゃんの主食は、ほとんどが総合栄養食と呼ばれるペットフードです。総合栄養食は、そのペットフードとお水だけで栄養学的なバランスが保つことができる食べ物です。そこにたくさんのおやつが加わってしまうと、栄養バランスが崩れてしまい、様々な病気のリスクにつながってしまいます。
■正しい量は1日分のカロリーの20%以内
では、おやつは具体的にどれくらいの量を与えられるのでしょうか。一般社団法人ペットフード協会によれば、1日に与えられるおやつの量は「その動物の1日に必要なカロリーの20%以内に抑えること」とあります。
わんちゃんやねこちゃんの1日の必要カロリー量は、ペットフードメーカーによっても多少異なっていますが、おおよその目安として、一般社団法人ペットフード協会のホームページで確認することができます。
■おやつの量を調整するときの3つの注意点
ここで3つの注意点があります。
1つ目に、おやつというのは、"総合栄養食以外で口にするものすべて”が含まれます。たとえば、総合栄養食にトッピングして食べさせている場合には、そのトッピングもおやつとして含めて計算しなければなりません。
2つ目に、おやつを使うときには、その分のカロリーを総合栄養食から差し引く必要があります。つまり、1日のカロリーの20%をおやつ、残り80%を総合栄養食にしなければなりません。しかし、筆者の経験では、総合栄養食のカロリーを100%にしたまま、さらにおやつを20%加えているケースをよく見ます。もちろん、その場合には120%となりカロリーオーバーで肥満の元になりますので、おやつを与える時には、必ず総合栄養食の量を減らすようにしてください。
3つ目に、1日の摂取カロリー量はあくまでも「目安」なので、実際にそのカロリーを与えてみて、太ったり痩せたりする場合は、食事やおやつの量を調整する必要があるということです。これも体重が増えている場合に、飼い主さんから「フードのラベルに記載されているカロリー量をしっかり守っているのに太ってしまいます」というご相談を受けるケースが多くあります。計算上のカロリーはあくまでも目安なので、しっかりと目の前の動物の体重の増減に合わせておやつやペットフードの量を調整するようにしてください。
■おやつの回数を多くしたい時は?
実際に1日に与えられるおやつの量を計算してみると、案外少なく感じるかもしれません。実際に筆者の動物病院でも、おやつの量についてアドバイスすると「そんな少ししか食べさせられないなんて可哀想」とおっしゃる飼い主の方が多いです。
わんちゃんやねこちゃんのおやつのほとんどは、飼い主の方が扱いやすいサイズに加工されており、決してわんちゃんやねこちゃんのカロリーを考慮して加工されているのではありません。つまり、そのままの量を与えると、完全に食べ過ぎになってしまいます。
また、前述のとおり、おやつの目的はコミュニケーションであって、量を食べさせることではありませんので、1回のおやつの量がごくわずかでも、動物にとって満足度はそんなに変わらないと言われています。
したがって、トレーニングのご褒美など、1日のうちで回数を多く与える時は、1回の量を減らして与え、カロリー20%ルールを遵守するようにしてくださいね。
わんちゃんやねこちゃんのおやつの量は、1日の摂取カロリーの20%以内という目安があります。その際、主食の量も必ず減らすようにしてください。また、しつけなどでおやつの回数が多くなる場合は、一回分の量を減らし、1日トータルのおやつ量が増えないようにしましょう。
※ 本サイトにおける獣医師および各専門家による情報提供は、診断行為や治療に代わるものではなく、正確性や有効性を保証するものでもありません。また、獣医学の進歩により、常に最新の情報とは限りません。個別の症状について診断・治療を求める場合は、獣医師や各専門家より適切な診断と治療を受けてください。
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