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飼い主インタビュー!「保護犬」が教えてくれたシアワセのかたち

マルヤマミエコ

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マルヤマミエコ

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飼い主インタビュー!「保護犬」が教えてくれたシアワセのかたち

保護犬を引き取って共に暮らしている飼い主さん3名に、保護犬を迎えてからの生活の変化や保護犬を減らすにはどうすればいいかなど、お話を伺いました。

これから犬と暮らす予定の方、保護犬を迎える準備をしている方は、ぜひ参考にしてくださいね。

■1:保護犬を迎えて気持ちに余裕が生まれた

飼い主さんの名前・・・チャイルさん

愛犬の名前・・・クゥ(ミニチュア・ダックスフント/推定10歳♀)、アル(ヨークシャー・テリア/6歳♂)、マルコ(ヨークシャー・テリア/4歳♀)

出典:わんにゃ365|アル&マルコ
出典:わんにゃ365|アル&マルコ

チャイルさんは、テレビのニュースやペット番組で保護犬の存在を知り、「自分にも何か出来ることがあるのでは」との思いから、保護犬のボランティア活動に参加。初めての現場で出会った子を、引き取って育てることになったのだそうです。

「ブリーダー崩壊現場に繁殖犬を保護しに行ったのですが、ボランティアのリーダーに“1頭でいいので引き取って欲しい”と言われ、私の足もとに近寄って来て離れなかった子を家に連れ帰りました。それがクゥです。

クゥは私が居場所として与えたクレートの中に入ると、一点を見つめて出てこようとしません。自らの意思でクレートから出てくるのを見守っていたところ、4日目にようやく出てきました。自由を拘束され繁殖犬として生活していたクゥは、こうして我が家での新たな一歩を踏み出したのです。

当時、我が家では犬を3頭飼っていて、その子たちがクゥに犬社会のルールや人間との暮らしについて色々と教えてくれました。人間が介入するのも大切ですが、我が家の場合は先住犬がクゥにとっての先生であり仲間だったのだと思います」

以前は、犬を飼うことに対して“周りと同じでなければいけない”という思いが強かったというチャイルさんですが、クゥちゃんを迎えて気持ちに変化が生まれたと言います。

「犬によって、色々な事情を抱えている子がいます。そういう子は、犬同士で仲良くできなかったり、吠えてしまったりすることも……。

クゥも、周囲とうまく馴染めないことがあります。以前の私だったら、他の子と違うことに対して、プレッシャーを感じていたかもしれません。でも、クゥと暮らすようになってからは、気持ちに余裕が生まれ、“他のコと違ってもいいよね”という考え方に変わりました。性格も穏やかになったと思います」

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出典:わんにゃ365|クゥ

保護犬を減らすにはどうすればいいか、チャイルさんにご意見を伺いました。

「現在、我が家ではクゥの他に2頭の元保護犬がいます。飼い主さんたちは事情があって犬を手放すのだと思いますが、犬の飼育に対して浅はかな考えの方が多いように感じます。

日本の場合、ペットショップでの生体販売が当たり前に行われていますよね。お客さんに生体を販売して終わりではなく、その子がずっと幸せに暮らせるように、ペットショップでも責任を持って指導して欲しいです。それが保護犬をなくす第一歩ではないでしょうか」

ペットショップの生体販売については、多方面から様々な意見が寄せられています。保護犬をこれ以上増やさないための取り組みについて、考えるときにきているのかもしれませんね。

■2:保護犬との出会いで犬に関する仕事を開業

飼い主さんの名前・・・ぴっぴさん

愛犬の名前・・・双羽(ミニチュア・ピンシャー/11歳♀)

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出典:わんにゃ365|双羽

子どもの頃から、飼えなくなった犬猫が殺処分されていることを親御さんから聞かされていたというぴっぴさん。「大人になったら、保護犬の命を一頭でも救いたい」と思っていたそうです。

「ペット可物件に引っ越して、犬を迎える準備を進めている中で東日本大震災が起きました。“保護犬を迎えるなら今だ!”と思い、保護犬譲渡の情報を収集。犬の保護団体のホームページで条件に合う犬を探していて、見つけたのが双羽でした。

そのとき、双羽は別の人とお見合いしていたのですがその方とうまくいかず、私にチャンスが回ってきたのです。噛み癖があるとのことでしたが、私に対してはそのようなことはなく相性バッチリだったので、双羽を家族に迎えることができました」

双羽ちゃんを家族に迎えたものの、気持ちがわからず悩むことも多かったというぴっぴさん。時には、犬の保護団体のスタッフにアドバイスを求めたこともあったそうです。その状況をなんとかしようと、ぴっぴさんは、双羽ちゃんのために犬に関する様々な講習を受け、資格を取得。現在では、その中のひとつを仕事にしています。

「双羽の噛みつき行動の理由を知るために、アニマルコミュニケーション(動物と心で会話する方法)を習得しました。他にも、ハーバルセラピスト、ホリスティックケア・カウンセラー、愛犬救命アドバイザーなどの資格を取得しています。

以前は会社勤めをしていましたが、現在はアニマルコミュニケーションをメインの仕事にし、双羽と過ごす時間を増やしました。双羽と出会わなければ、このような選択をすることはなかったと思います」

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出典:わんにゃ365|双羽

犬の保護団体には、新しい飼い主さんを求めている犬が数多くいます。それらの団体から犬を迎えるメリットを、ぴっぴさんが教えてくれました。

「保護犬の中には、一筋縄ではいかない子もいると思います。ですが、犬の保護団体は犬を迎える家族に合う子をマッチングして、必要であれば健康面やしつけのアドバイスをしてくれるので、いざという時に心強いです。

成犬から家族に迎えることに不安がある飼い主さんもいるかもしれませんが、お互いの性格が合っていれば、すぐに馴染むでしょう。

譲渡条件は、団体によって様々です。私のように一人暮らしでも、犬を譲渡してくれるところもあります。犬と暮らせるように生活を整えて、諦めずに探し続けて欲しいと思います」

■3:保護犬をきっかけに活動の幅が広がった

飼い主さんの名前・・・クレマチスさん

愛犬の名前・・・茶々丸(パピヨン/12歳♂)。リアン(パピヨン/推定10歳♂)

飼い主インタビュー!「保護犬」が教えてくれたシアワセのかたち
出典:わんにゃ365|茶々丸&リアン

先住犬のコリーを亡くして以来、「次に犬を飼うなら保護犬にしよう!」と決めていたというクレマチスさん。20年ほど前に亡くなったお母様が、保護犬の募金活動があると必ず参加して募金していた姿が、保護犬を引き取るきっかけになったそうです。

「母の想いを継ぐことができるかなと思い、保護犬を迎えようと決めて、条件に合う犬を探していました。

我が家は狭いながらも庭もあるので、中型犬を迎えようと考えていましたが、ご近所から飼育放棄されたパピヨンの引き取りの話が舞い込んできたのです。小型犬は集合住宅に住んでいる方の飼育も可能だと思ったので断ろうとしたのですが、ご近所の方の説得と家族会議の結果、その子を引き取ることになりました。それが茶々丸です。

2頭目の保護犬リアンを迎えたのは、その2年後になります。以前から知り合いの保護犬団体にいた子で茶々丸との相性がよく、トライアル(一定期間、飼い主さん候補の家で実際に暮らしてみること)を経て迎えることに決めました」

飼い主インタビュー!「保護犬」が教えてくれたシアワセのかたち
出典:わんにゃ365|茶々丸

保護犬を迎えてから、生活基準が“犬第一”になったというクレマチスさん。犬に関する活動にも積極的に参加されています。

「犬たちと一緒じゃないと楽しめないので、旅行はもちろん犬連れOKの宿のみです。また、犬に関するボランティア活動(アニマルセラピー)にも参加するようになりました。居住している県が出しているセラピー犬認定証を茶々丸が貰ったときは嬉しくて、お赤飯を炊いたほどです。その後、リアンも認定を貰ったので、2頭揃ってセラピー犬をしています。

その他にも、アメリカのシアトルで動物保護とセラピー活動をしている女性とブログでメッセージのやり取りをしたり、愛犬たちを羊毛フエルトで作りたくて手芸教室に通い始めたりと、活動の幅が広がっています。茶々丸とリアンに出会わなければ、このような生活は考えられなかったと思います」

保護犬を減らすにはどうすればいいか考えることがあるというクレマチスさんは言います。

「犬を飼育することを免許制にして、違反があれば今後は犬を飼うことができないなど、罰則があるといいのではないでしょうか。厳しく思われるかもしれませんが、それくらいしないと、ペットショップで犬を購入して、飼えなくなったから捨てるという人は後を絶たないのではないでしょうか」

今回お話を伺った元保護犬を引き取って家族に迎えた3人の飼い主さんはみなさん「保護犬を助けて幸せにしてあげたいと思っていたが、そうではなかった。犬に幸せにして貰っている」と話していたのが印象的でした。

ペットショップから犬を迎えるのもよいですが、保護犬を迎えるという選択肢があることを、ぜひ覚えていて欲しいと思います。

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