※2020年5月5日情報更新
春になると増えると言われている“マダニ”の被害。愛犬が感染しないように、正しい知識を身につけておくことが大切です。そこで今回は、マダニの疾患や対策について、獣医師の佐藤貴紀先生に解説いただきました!
■マダニの生態
マダニには800以上もの種があり、あらゆる環境に適応、生息できます。ペットのみならず、野生動物、人間に対しても健康上の問題を引き起こします。
体長は数ミリ~最大1cm(吸血すると大きくなる)。色は黄褐色、茶色、黒褐色です。最大限に吸血した状態だと、体重が未吸血の時と比べ100倍以上になることもあります。
■マダニの寄生しやすい部位
特に頭や耳、目の縁やお腹、足の指の間や背中など、被毛の少ない所に寄生することが多いです。見つけた場合は、無理にとろうとしてはいけません。
マダニの口は、皮膚を突き刺すのに特に適した構造をしています。皮膚を突き刺す“口器”と呼ばれる器官は、皮膚と皮下組織を切開する“鋏角”と、その傷に差し込まれるギザギザの歯がついた“口下片”から構成されます。
マダニが動物の皮膚に接触すると、鋏角が動きはじめて皮膚を切開します。鋏角の運動により傷口が開いたままの状態になり、そこに口下片が徐々に差し込まれます。
マダニは接着剤の働きをする“セメント様物質”を注入し、差し込まれた口下片を傷口に固定するので、これを取り除くのは容易ではありません。しっかりと宿主に取り付いて数日間は離れません。
■マダニによる犬への被害
マダニは原虫、細菌、リケッチア、ウイルスなど、多くの病原体を媒介します。その中でも代表的な病気として、“犬バベシア症”と“ライム病”があります。
(1)バベシア症とは
感染した犬には貧血、発熱、食欲不振等の症状が現れ、急性の場合は黄疸や衰弱などによって死に至ることもある病気です。バベシア症の主な流行地域が関西であることが多く、病気は西日本特有のものと考えられていた時期もあるようですが、今では関東でも発生が認められるようになりました。
(2)ライム病とは
感染すると発熱、痙攣、起立不能、歩行異常、神経過敏などの症状を引き起こします。人間にも感染することがあると言われています。
(3)皮膚の炎症
その他、マダニに噛まれることで皮膚が炎症を起こし、細菌に感染する恐れがあります。
■駆除方法&予防方法
薬剤でしっかりと駆除・予防することをおすすめします。また散歩時は、なるべく草むらに行かないなど配慮しましょう。
近年、マダニによるSFTS(重症熱性血小板減少症候群)などの人被害が報道されるようになり、深刻な状況になりつつあるのはみなさんもご存知かもしれません。また、マダニが媒介するバベシアなどは死に直結する感染症でもあるので、十分に注意してくださいね。
※ 本サイトにおける獣医師および各専門家による情報提供は、診断行為や治療に代わるものではなく、正確性や有効性を保証するものでもありません。また、獣医学の進歩により、常に最新の情報とは限りません。個別の症状について診断・治療を求める場合は、獣医師や各専門家より適切な診断と治療を受けてください。
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【参考】
【画像】
※ Chutima Chaochaiya, Refluo, Satthaphon.Photo, Maija Luomala, BOYDTRIPHOTO / Shutterstock
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