※2020年7月23日情報更新
みなさんは愛犬に対して、どのように話しかけていますか? 人と話すときと同じような話し方でしょうか? おそらく、多くの飼い主さんは、普段の話し方とは違う話し方をしているのではないでしょうか。
アメリカのニューヨーク市立大学のグループは、犬に対する話し方について着目して研究を行い、興味深い結果を発表しました。今回はその報告をもとに、人が犬に向かって話す際にどういった特徴があるのか、またその特徴的な話し方にどのような意義があるのかについて解説します。
■対乳児発話(マザリース)ってなに?

人間の赤ちゃんに話しかけるとき、ほとんどの方は普段とは違う特徴的な話し方をすると思います。通常よりも高いトーン、ゆっくりとしたテンポ、母音をはっきりと発音させるなど……。一般的に、赤ちゃんに対する特徴的な話し方を対乳児発話、マザリースなどと言います。
この特徴的な話し方をすることで、赤ちゃんにとって様々なメリットがあると言われています(※1)。例えば、赤ちゃんの注意を惹きやすい、意思疎通がとりやすいといったメリットが挙げられます。また、赤ちゃんの言語学習能力(発音法や語彙の習得など)を促進する可能性もあるそうです(※2)。
■犬に対する話し方の傾向とは?

犬を飼っている方は、愛犬に対してどのように話しかけていますか? ほとんどの方は、愛犬に話しかける時はいつもと違う話し方をしていると思います。アメリカの研究グループは、人に対しての話し方と犬に対しての話し方でどのように異なるかを調べました。
調査結果から明らかになったことは、ほとんどの人は犬に話しかけるときに、人間の赤ちゃんに話しかけるときと似たような話し方をするということです。
その話し方の特徴とは、通常よりも高いトーンで、トーンに変化をつけるといったものです。犬に話しかける時は自然とこういった話し方になるようです。また、この特徴的な話し方は、成犬に話しかける時よりも子犬に話しかけるときの方が、より顕著に見られるそうです(※2)。
■注意を引くための効果的な話し方とは?

ここまでで、人は赤ちゃんに話しかける時と犬に話しかけるとき、普段とは異なる話し方をするということを述べました。赤ちゃんに対しての話し方を対乳児発話(マザリース)と呼びますが、犬に対しての特徴的な話し方についてはちゃんとした日本語名はまだありません。英語では、一般的に“Dog-directed speech”と呼ばれています。“対犬発話”などと訳すのが適当かもしれません。
アメリカの研究グループは、Dog-directed speech(対犬発話)をすると、より効果的に子犬の注意を引くことができることを明らかにしました。また、話しかける時の重要な点は、声のトーンをしっかりと上げることのようです。残念ながら本研究では、Dog-directed speech(対犬発話)が成犬に対しても効果的であるとは結論付けられませんでした(※2)。
ただし、対象となった人や犬の数の問題や、研究方法に制約もありますので、Dog-directed speech(対犬発話)が無意味であると結論付けられたわけではありません。今後、子犬だけでなく成犬に対する効果についても明らかになってくるのではないかと思います。
今回は、多くの方が犬に対してどのように話しかけるのか、またその特徴的な話し方にどういった意義があるのかについて解説しました。まだDog-directed speech(対犬発話)について明らかになっていないことは多いですが、少なくとも子犬に対しては声のトーンを上げて話しかけることがよさそうです。
成犬に対しての効果や成犬に対する効果的な話し方についても明らかになると面白いですね!
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【参考】
※1 飼い主の「ワンちゃん言葉」に犬はうんざりしてる? | ギズモード・ジャパン
【画像】
※ vvvita, Hannamariah, Cookie Studio, Pressmaster / Shutterstock
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