※2020年5月23日情報更新
わんちゃんを初めて迎えた飼い主さんにとって、これからの愛犬とのハッピーな生活はとてもワクワクすることだと思います。ただし、それはわんちゃんが健康であってこそ。重要なのがかかりつけとなる動物病院とのお付き合いです。特に初めてわんちゃんと暮らす方は、分からないこともたくさんあるでしょうから、できるだけかかりつけの動物病院とは良いコミュニケーションを築いていただきたいです。
そこで今回は、獣医師である筆者の視点からの動物病院選びのポイントをお伝えさせていただきます。
目次
■これだけはおさえて!絶対に外せないポイント2つ
動物病院を選ぶポイントは無数にありますし、飼い主さんの考え方によって優先したいポイントというのはさまざまです。しかし、まずはひと目見ただけで判断できる、最低限チェックしていただきたいポイントを2つお伝えします。
(1)清潔かどうか
動物病院にとって、衛生管理は最低限守らなければならないポイントです。そのため、動物病院全体が清潔かどうかは、動物病院を選ぶポイントとして絶対に必要なものになります。待合室はもちろん、動物病院の玄関や駐車場なども清潔に保たれているかどうかなど、飼い主さんから見える範囲においてだけでも、その動物病院の衛生管理の状況を推測することができます。
(2)スタッフの対応が丁寧かどうか
筆者の個人的な考えですが、動物病院は獣医師や動物看護士、あるいは受付スタッフなど、病院全体のチームプレーが必要です。しかし、スタッフそれぞれに心身の余裕がないと、チームプレーも十分機能しません。そのため、飼い主さんに対して、その動物病院のスタッフが余裕を持ってしっかりと対応してくれるかどうかも、良い動物病院かどうかを見極めるポイントになります。
■その他のポイントはメリットとデメリットが表裏一体
前述の2つのポイントは、病院を選ぶにあたって絶対的な条件ですが、ほかにも、
・いつでも診てもらえるかどうか
・話をじっくり聞いてもらえるか、説明が丁寧か
・同じ獣医師が診てくれるかどうか
など、いくつかのポイントがあると思います。しかし、これらのポイントは、あなたがどのような動物病院を望むかによって、メリットにもデメリットにもなります。
たとえば、いつでも診てもらえるかどうか、つまり休診日や時間外でも対応してもらえるかどうかについては、ほとんどの飼い主さんにとっては大きなメリットだと思います。
しかし、日本の動物病院の8割が獣医師一人で経営しているという現状を踏まえると、一人で休日や時間外まで対応している場合、どうしても獣医師が疲弊してしまい、診療品質が落ちてしまうことが多々あると推察されます。さらに、学会に参加して勉強する時間もないため、日進月歩で発展している獣医療についていけないというデメリットも考えられます。
医療品質については、専門性が高いため、飼い主さんがその良し悪しの判断をすることはとても難しいと思います。しかし、獣医師の視点からは、医療品質を良くすることは最低限のことです。筆者の個人的見解ですが、獣医師一人かつ、いつでも診られる体制の病院はおすすめできません。
一方、複数の獣医師が在籍している動物病院では、時間外診察なども臨機応変に対応できるようになります。しかし、そのような動物病院では獣医師によって対応や治療内容が変わったように感じることがあり、飼い主さんの中にはストレスとなって、デメリットに感じてしまうケースもあります。
また、飼い主さんとのコミュニケーションを重視している動物病院は、一般的に飼い主さんの満足度は非常に高い場合が多いようです。しかし、その一方でコミュニケーションに時間がかかるため、どうしても待ち時間が長くなってしまう面もあります。
このように、一つのメリットを求めると、それと同時にデメリットが生じることがあります。動物病院を選ぶポイントについては、飼い主さん自身の中で、何を優先させたいのかをはっきりさせることが重要です。
■獣医師から見たオススメしたい病院選びのポイント
そのような中でも、以下のポイントを満たしている動物病院については、筆者の経験上、良質な獣医療を提供しながらも飼い主さんの評価も高い場合が多いです。ただし、最初にお伝えしたような「一見」してわかるポイントではないため、実際に動物病院の診察を受けた上で判断する必要があります。
継続的に勉強している
近年、犬の医療の発展スピードは非常に早く、獣医師は継続的に勉強しなければなりません。しかし、動物病院の獣医師はほとんどが内科や外科を始め、歯科、皮膚科、眼科など、すべての診療科をこなさなければならない現状があるため、幅広い分野を効率よく勉強するには、学会やセミナーなどに参加するのがスタンダードです。
そのため、院内やホームページのインフォメーションなどで、それらの参加を発信している動物病院は、獣医療のアップデートをしていると考えてよいと思います。
獣医師や動物看護師との相性が良い
こればかりは飼い主さんそれぞれですので、実際に動物病院を受診してみないとわかりませんが、飼い主さんにとっては非常に大切なポイントだと思われます。しかし、筆者の経験上、飼い主さん仲間の紹介やホームページの口コミなどで来院された方の中には、実際に来院してみると「思ってたのと違う」と感じてしまうケースもありますので、口コミには注意が必要です。
特にかかりつけとなる動物病院は、今後10年以上の付き合いになりますから、獣医療の品質が良いだけでなく、飼い主さんもコミュニケーションがストレスにならないようなお付き合いができる病院を選びたいところです。
動物に優しく接している
もちろん、動物病院のスタッフが動物好きなのは間違いありません。しかし、筆者の動物病院では、転院されてきた方の中から「今までの動物病院では、わんちゃんの扱いが乱暴だった」というお声をいただくことがあります。その理由については不明ですが、どういう状況であれ、我が子が嫌な思いをしているのは見ていて辛いですよね。
今では、動物病院でのわんちゃんへの優しい接し方に関するノウハウが増えてきていますので、そういったノウハウのある動物病院を選ぶことも大切なポイントだと思います。
救急動物病院や専門動物病院を紹介してもらえる
1つ目のポイントでもお伝えしましたが、ほとんどの動物病院では、すべての診療科目に対応しています。しかし、現実的には動物病院によって診療科目に対する得手不得手があります。そこで、必要に応じて専門的なスキルを持った動物病院を紹介してもらえるところだと安心できると思います。
また、近年地域によっては、夜間対応の救急動物病院があります。時間外の対応ができない動物病院では、そういった救急動物病院を教えてくれるかどうかも重要なポイントと言えます。
■動物病院にかかる時、飼い主さんに準備してほしいこと
初めて動物病院にかかるとき、わんちゃんはもちろん、飼い主さんも緊張しますよね。しかし、動物の診療においては、日常生活の聞き取りも非常に大切なのですが、飼い主さんが緊張しているとうまく診察が進まないことがあります。そのため、動物病院にかかる時は、飼い主さんも以下のポイントを準備していただけると獣医師はとても助かります。
・事前に電話連絡をして、必要な準備を確認する
・リードやキャリーケースなどで、病院内ではしっかりわんちゃんを管理できるようにする
・動物病院からの特別な指示がなければ、排泄は済ませておく
・伝えたいこと、聞きたいことをあらかじめまとめておく
このような準備をしていただくことで、診察もスムーズに進むと思います。
初めての動物病院選びはとても難しいと思います。しかしその中でも「清潔かどうか」「スタッフの対応が良いか」は最低限チェックすることをおすすめします。さらには、獣医療のレベルや人とわんちゃんとの相性、専門病院や救急病院との連携などのポイントのチェックも忘れずに。
※ 本サイトにおける獣医師および各専門家による情報提供は、診断行為や治療に代わるものではなく、正確性や有効性を保証するものでもありません。また、獣医学の進歩により、常に最新の情報とは限りません。個別の症状について診断・治療を求める場合は、獣医師や各専門家より適切な診断と治療を受けてください。
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