※2023年6月29日情報更新
一般家庭でのねこちゃんは、不妊手術を済ませて飼われていることが多いと思います。そのため、ほとんどの飼い主さんは、ねこちゃんの出産や子猫が成長していく様子を間近に見る機会は、なかなかないかもしれませんね。
飼っているねこちゃんに赤ちゃんが生まれた場合、子猫を新しい飼い主さんに引き渡す時期やその他の注意点について、行動の発達を考慮しながら説明します。
■子猫の行動の発達ステージ
まずは、子猫がどのように発達するのかを知っておきましょう。
・新生児期(生後~10日)
ミルクを飲んでほとんど寝ています。生後7日から10日で開眼します。
・移行期(生後10日~3週齢)
視覚、聴覚、運動器の発達が始まります。生後3週齢になるころに離乳が始まり、生後7週齢ごろで完了しますが、この時期に食べたものがその後の味の嗜好に大きく影響します。人や環境にも少しずつ慣らす時期も始まってきます。捕食行動のような遊びも始まります。
・社会化期(感受期)
前期(生後2~9週齢)
人や環境を最も受け入れやすい時期で、特に生後6~7週齢がピークと言われています。"社会化”に一番重要な時期と言えるでしょう。この時期に、老若男女さまざまなタイプの人に毎日声をかけてもらったり、触ってもらったりすると、人との良い関係を築きやすいと言われています。
後期(生後9~16週齢)
警戒心や恐怖心も出てきますが、子猫の発達過程を理解しながら無理なく接することで、社会化を進めることも可能な時期です。
・若年期(生後8週齢~12ヶ月)
離乳期から性成熟までで、社会化期を含みます。性成熟時期については、個体差があります。
■子猫の望ましい引き渡し時期
新しい飼い主さんに子猫を渡すのは、離乳が終わってからの、生後8週齢過ぎごろをおすすめしています。性格は遺伝的な影響も受けますので、一概に決めつけることはできませんが、離乳期まで十分に母猫のお乳を飲み、兄弟猫たちと遊んだりコミュニケーションを取ったりした子猫は、穏やかで人や環境に慣れやすいと言われています。
改正動物愛護管理法でも、生後56日を経過しない犬猫の販売のための引き渡し・展示は禁止されます(2019年8月現在、法に定める日までの間は49日)。子猫が小さくて可愛い時期のほうがいいかなと思い、早すぎる引き渡しをするのは避けて下さいね。
■健康に関する注意点
子猫を引き渡す前に、一度動物病院で健康状態を見てもらいましょう。ワクチン接種のガイドラインでは、生後6~8週齢での初回接種を勧めています。子猫の便を持参すれば、検便もできます。
その他、ワクチンの種類や追加接種の時期、ウイルス感染症の抗体検査、マイクロチップの装着、ノミやマダニの予防などについても相談してみましょう。新しい飼い主さんにもその内容を伝えましょう。
■その他の注意点
子猫が、新しい環境に馴染みやすいように、次のものをねこちゃんと一緒に引き渡しましょう。
・フード
それまで食べていたフードを、しばらくは続けてもらいましょう。
・トイレまたは猫砂
ねこちゃんは、子どもでもトイレはすぐに覚えると思います。同じトイレや猫砂を使えば、さらに良いでしょう。
・自分や母猫の臭いのついたもの
オモチャ、タオル、食器などがあれば安心できるでしょう。
子猫の時期は短く、すぐに成猫となりますが、動物の子どもたちは理屈抜きで可愛いものですよね。子猫が早く環境に慣れ、新しい家族の中で可愛がられるといいですね。
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【参考】
※ 水越美奈監修(2018)『犬と猫の問題行動の予防と対応』緑書房
【画像】
※ Leah Sherman Kish,ANURAK PONGPATIMET,PHOTOCREO Michal Bednarek,Maria Sbytova,Andrey_Kuzmin
/ Shutterstock
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