※2020年10月25日情報更新
飼っている犬とはできる限り長く、元気に過ごしたいですよね。それは、きっと飼い主さんたちみなさんの共通の想い。
獣医療が発展するにつれて、かつては治療が難しかった犬の病気も治せるようになってきています。しかしながら、まだまだ最新の獣医療では治すことができず、一生向き合っていかなければならない病気も……。
今回は、獣医師の筆者が犬の死因の多くを占める病気(※)と、飼い主さんたちが気をつけるべき点についてご紹介します。
■がん
国内における犬の死因の第一位は、人と同様にがんです。がんは、早期診断・早期治療が重要ですが、日ごろのチェックからがんを発見できることがしばしばあります。
筆者は、飼い主さんたちにスキンシップを兼ねて全身を触ってあげることや、歯磨きのときに口の中を見ることを勧めています。できもの等の異常を見つけた場合は、なるべく早めに獣医師さんに相談するようにしましょう。
一方で、このような飼い主さんたちだけのセルフチェックではなかなか気付くことができない、内臓にできてしまうがんもあります。内臓に発生したがんを早期に見つけるためには、血液検査や画像検査などを行う必要があります。中~高齢の犬では、がんになる可能性が高く、健康診断がとても大切なので、定期的に検診に行くようにしましょう。
■僧帽弁閉鎖不全症(そうぼうべんへいさふぜんしょう)
僧帽弁閉鎖不全症(そうぼうべんへいさふぜんしょう)は、国内での飼育頭数が多い小型犬やキャバリアキングチャールズスパニエルがよく発症する心臓の病気です。心臓は、全身に血液を送り出すための重要な臓器ですが、この病気になるとその機能が十分に果たせなくなります。
獣医師さんによる聴診で発見できることが多い病気ですので、定期的に動物病院に行くことをおすすめします。また、咳が出る、呼吸が荒いといった症状がある場合には、この病気の可能性がありますので、一度獣医師さんに相談するとよいでしょう。
■慢性腎臓病(まんせいじんぞうびょう)
腎臓は、体内の老廃物を排出するために、おしっこをつくる大切な臓器です。血液をつくることや血圧の調整にも関わっています。慢性腎臓病(まんせいじんぞうびょう)は、腎臓の機能が低下する病気です。2018年7月現在の獣医療では、一度機能が低下した腎臓を治す方法はありません。そのため、早期に病気を発見し、病気の進行を遅らせることが重要になります。
おしっこの量が多い、逆におしっこが全然でないなど、おしっこに異常が出ることが多いので、おしっこを注意深く観察することが大切です。また、慢性腎臓病は、血液検査で診断できることが多いため、定期的に血液検査に行ってあげましょう。
今回は、犬の死因の多くを占める病気についてご紹介しました。早期に病気を発見して治療を始めることは、健康寿命を延ばすうえで欠かせません。日々の健康チェックを心がけることがとても大切です。
また、今回は取り上げませんでしたが、犬種によってかかりやすい病気があります。例えば、水頭症はチワワに、椎間板ヘルニアはミニチュアダックスフンドに発生が多いなど。犬種によってかかりやすい病気をあらかじめ知っておくことは大切です。動物病院に行く機会があれば、獣医師さんにどういった病気に注意すべきかを聞いてみるとよいかもしれませんね。
※ 本サイトにおける獣医師および各専門家による情報提供は、診断行為や治療に代わるものではなく、正確性や有効性を保証するものでもありません。また、獣医学の進歩により、常に最新の情報とは限りません。個別の症状について診断・治療を求める場合は、獣医師や各専門家より適切な診断と治療を受けてください。
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【参考・画像】
※ Jagodka, Yashkin Ilya,
Shutterstock
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