すっかり暖かくなってきましたが、花粉症の方はちょっとつらい時期ですよね……。そんな花粉症ですが、犬も発症することを知っていましたか?
そこで今回は、犬の花粉症がどのような症状、そしてどの検査で診断されるのかなどを、獣医師の佐藤貴紀先生に解説いただきました!
■人と同じく呼吸器症状も
犬の花粉症があるか、ないかと質問されることがよくあります。答えは「Yes」です。動物も人と同様にアレルギーがあり、花粉症も存在するのです。
症状として、人と同様にくしゃみや鼻水の呼吸器症状も存在します。最近増えたわけではなく、今まで診断されにくかったと予想されます。
その他の症状としては、涙を流す、目やにが増えた、目が赤い、目をこすっているなどの、目に現れる症状です。
そして、皮膚を痒がる、手を噛んでいる、後ろ足で背中などを掻いている、体を地面に擦り付けているなどの、皮膚症状が見られることもあります。さらに、持病などの悪化により外耳炎が重症化してしまうケースも少なくありません。
■花粉症以外も…よく見られる6つの症状と発症理由
原因はと言うと、花粉症は環境性アレルギーの一つですから、アレルギーが発生の仕組みと同様です。体の組織に存在する、肥満細胞と呼ばれる細胞にはアレルゲン抗体があります。
これの抗体がアレルゲンと反応すると、肥満細胞中に蓄積されているヒスタミンが放出されます。このヒスタミンが、かゆみや炎症などの、アレルギーに特徴的な症状を引き起こします。
しかし、この症状は花粉症に特異的とは言えません。他にも、呼吸器症状や皮膚症状、目の症状などが出てしまう原因には、下記のものが存在します。大きく分けて6つに大別されます。
(1)細菌や真菌(カビ):皮膚症状、目の症状
(2)ノミやダニなどの寄生虫:皮膚症状
(3)アレルギー、アトピーなど別のアレルゲンや素因:全ての症状
(4)精神的要因(ストレスなど):すべての症状
(5)口腔内疾患による鼻炎:呼吸器症状
(6)鼻道のガン:呼吸器症状
このようなことからも、くしゃみや鼻水が出るからと言って一概に花粉症とは言えないことも事実です。では、花粉症かどうか、どのように判断したらよいかと言うと、検査と総合的判断ということになります。
アレルギー検査において、スギやヒノキなど、一般的な花粉症のアレルゲンが強く陽性と出る場合は断定的です。ただ、ほかのアレルゲンが引っかかる可能性もあります。
その場合は、やはり時期や症状の出方などの総合判断で診断をしていきます。
■治療について
花粉症と診断が出た場合は、人と同様に抗アレルギー薬を最初に飲むことが推薦されます。マスクなどすることができないだけに、予防として室内での空気清浄機、そして、環境を綺麗にするためにマメな掃除が必要と言えるでしょう。
そして、体の毛につかないように洋服を着させるなども予防のひとつです。アレルギー検査をしても、何が原因か判断がつかない場合、もしくはアレルギー検査が高価なため行えない場合もあります。
その場合は、診断的治療という形をとることが多いのと思います。いわゆる推測で治療を進めます。原因の(1)(2)(5)(6)において治療を行うも、改善が見らない場合やストレスなどがかかってない場合には、(3)のアトピーやアレルギーを疑います。
アレルギーなどがあまりにひどい場合は、薬剤としてステロイド、インターフェロンなどが使用されます。その他、シャンプーを定期的に行うことや適した食事への変更なども予防につながります。
※ 本サイトにおける獣医師および各専門家による情報提供は、診断行為や治療に代わるものではなく、正確性や有効性を保証するものでもありません。また、獣医学の進歩により、常に最新の情報とは限りません。個別の症状について診断・治療を求める場合は、獣医師や各専門家より適切な診断と治療を受けてください。
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