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猫の「血液型」は何種類?知っておきたい基礎知識&献血の現状について

吉本翔

獣医師
吉本翔

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猫の「血液型」は何種類?知っておきたい基礎知識&献血の現状について

みなさんお馴染みの血液型。人の血液型は、A、B、O、ABの4つの型がありますよね。国内では、血液型占いや血液型による性格診断等が流行っているので、自分の血液型をしっかりと把握している方が多いと思います。

実は、猫にも血液型があります。みなさんは、猫の血液型が何種類あるか知っていますか? 人と同じだと思っている方も多いのではないでしょうか。

今回は、猫の血液型の種類や血液型の決め方、輸血時の注意等についてご紹介したいと思います。

■猫の血液型は3種類(※1

猫の「血液型」は何種類?知っておきたい基礎知識&献血の現状について
出典:https://www.shutterstock.com/

猫の血液型は、A型、B型、AB型の3種類で、人よりも1種類少ないです。A型が一番多く、B型は少なく、AB型は極めて稀であると言われています。

ある報告によれば、A型が80~90%B型が10~20%AB型は数%未満であると述べられています。ちなみに、この血液型の割合は、猫の品種や国によって異なります。

ブリティッシュショートヘアーは、他の品種よりもB型の割合が多く、オーストラリアは他国よりもB型の割合が多いようです。

■猫の血液型の調べ方(※2

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血液型は、赤血球の表面にある抗原の種類によって分類します。抗原とは、免疫を司る細胞に免疫反応(抗体を産生)を引き起こす目印のようなものです。

猫の血液型を決める表面抗原は、N-グリコリルノイラミン酸NeuGc)N-アセチルノイラミン酸(NeuAc)2つが重要です。

A型では、主にNeuGcとわずかな量のNeuAcが、B型ではNeuAcのみが発現しています。また、AB型は、NeuGcNeuAcの両方を発現しています。

血液型は、簡易検査キットを用いて簡単に調べることができます。猫から血液を少量採取して、検査用のボードに希釈した血液を垂らして少し待てば結果が出ます。採血から結果の判定にかかる時間は、30分~1時間未満です。

■注意すべきこと(輸血等)(※2

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事故による出血、あるいは何らかの病気により血液が失われていると、輸血が必要となる場合があります。多くの場合、他の猫から血液を提供してもらって輸血をすることになりますが、このときに血液型が重要となります。

A型の猫にはA型の血液を、B型の猫にはB型の血液を、AB型の猫にはAB型の血液を輸血することが一番安全です。なぜなら、血液型の異なる血液を猫に輸血すると、拒絶反応を起こすことがあるからです。

特に、B型の猫にA型の血液を輸血した場合に、この拒絶反応が強い傾向にあります。

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また、同じ血液型であったとしても、拒絶反応が起こる可能性はゼロではありません。そのため、輸血前にはクロスマッチ試験といわれる、輸血する猫の血液と輸血される猫の血液との相性を調べる試験を行います。

このクロスマッチ試験で問題がなく輸血を開始したとしても、拒絶反応が実際に起こらないかどうか猫の様子を経時的に観察することが重要になります。

■猫の献血がある?

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みなさんは献血に行ったことがありますか? 人医療では、日本赤十字社による取り組みにより、献血システムがしっかりと構築されています。そのため、大量の輸血が必要となったとしても、ある程度迅速な対応が可能となっています。

一方獣医療では、人医療と類似の献血制度はなく、個々の動物病院で血液を確保しなければなりません。しかし、猫の血液を長期間保存することは難しいため、常に血液を確保することは容易ではありません。

そのため、動物病院によっては、供血猫(血液を提供する猫)の募集を呼び掛けていることもあります。

他の猫のためにも、供血猫として血液を提供してあげたいと考えている飼い主さんは、ぜひお近くの動物病院で募集しているかどうかを調べてみてください。

血液を必要としている猫のためになるだけでなく、献血前には身体検査や血液検査等も行うため、愛猫の健康状態を調べることができます。なお、ワクチン接種済であること、健康であることなどいくつかの条件があります。

今回は、猫の血液型の種類や血液型の決め方、輸血等の注意点についてご紹介しました。血液型をあらかじめ知っておくことは、愛猫のもしものときに役立ちます。

若くて健康な時に献血に協力することで、困っている他の猫のためになるだけでなく、血液型も事前に把握することができ、一石二鳥になると思います。

また、人医療の献血制度は、獣医療よりも整っているとはいえ、万全の状態であるとは言えません。愛猫だけでなく、飼い主さんも一緒に献血してみてはいかがでしょうか。

※ 本サイトにおける獣医師および各専門家による情報提供は、診断行為や治療に代わるものではなく、正確性や有効性を保証するものでもありません。また、獣医学の進歩により、常に最新の情報とは限りません。個別の症状について診断・治療を求める場合は、獣医師や各専門家より適切な診断と治療を受けてください。

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【参考】

※1 CM Knottenbelt. (2011). The feline AB blood group system and its importance in transfusion medicine.

※2 Dominic Barfield, Sophie Adamantos. (2002). Feline blood transfusions- a pinker shade of pale.

【画像】

※ Benny Marty, Seregraff, Page Light Studios, Chendongshan, Lubava, Elizaveta Galitckaia / Shutterstock

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