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症状に気づいたらすぐ病院へ!犬の「胃捻転」対処は時間が勝負

西原克明

獣医師
西原克明

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症状に気づいたらすぐ病院へ!犬の「胃捻転」対処は時間が勝負

“胃捻転”という病気をご存知ですか? 犬の日常生活の中で起こりうる病気で、対処を間違えてしまうと命に関わることもあるそう……!

そこで今回は犬の胃捻転について、その見つけ方や対処の方法、予防対策を獣医師の西原克明先生に解説いただきました!

■手遅れだと死の危険も!胃捻転ってどんな病気?

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胃捻転はその字の通り、何らかの原因で胃が捻れてしまう病気です。胃が捻れた結果、胃の入口(食道と胃の間:噴門部と言います)と出口(胃と十二指腸の間:幽門部と言います)が塞がれてしまい、胃の中の食べ物やガスなどが滞ってしまいます。

さらには、捻れた影響で血液の流れが遮断され、胃の一部の組織が死んでしまう壊死という状態や、全身の血液循環が悪化しショック状態に陥ることもあり、対処が遅れると命を落とす危険もあります。そのため、犬の胃捻転は対処が遅れないよう、日頃から注意してあげる必要があります。

また胃捻転だけでなく、他の原因で胃の出入口が塞がってしまい、胃捻転と同じような病状に陥ることもあるため、近年はそれらを合わせて“胃拡張胃捻転症候群”と呼んでいます。

■ダックスフントなど小型犬も注意が必要(※1)

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(1)大型犬は特に注意!

犬の胃捻転は大型犬に多く見られ、特にジャーマンシェパードやグレートデンなど、胸の深い大型犬は特に注意が必要です。また、それら以外でも、ラブラドールレトリバーやアラスカンマラミュートなど、一般的な大型犬でも見られますし、最近では、ダックスフントなど小型犬による胃捻転も報告されています。

(2)犬種以外の要因もある?

犬の胃捻転は犬種だけでなく、いくつかの危険因子が知られています。食事やお水を多量に摂取した場合も胃捻転に注意が必要です。例えば、ドライフードと水を一気にたくさん食べた場合、ドライフードが胃の中で水分を吸って膨らみ、かなり胃が膨張してしまうといった状態も見られるようです。

胃の膨張は、物理的に胃の出入口が塞がってしまう胃捻転のリスクだけでなく、物理的な閉塞がなく、機能として胃の運動が止まってしまう機能的閉塞が起こるリスクもあるため注意が必要です。

また、激しい運動も胃捻転のリスクがあります。特に食後の胃が膨らんでいる状態での運動は、さらに胃捻転のリスクを高めてしまいます。

さらには、神経質な性格の犬に強いストレスがかかると、胃腸の動きが弱くなり、結果的に機能的閉塞(物理的な閉塞がないのに、胃腸が全く動かなくなる状態)が起こり、胃拡張胃捻転症候群が発症するリスクがあります。

■吐き気、よだれ、お腹の膨らみ…胃捻転を疑う症状について

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胃捻転の症状は、吐き気、よだれ、お腹の膨らみに注意してください。胃捻転になると、胃の出入口が塞がってしまい、その結果、胃がどんどんと膨らんでいきます。そうなると、犬自体はお腹が苦しくて吐きたくなるのですが、胃の出入口が塞がっていますので、実際に吐くことができません。そのため、犬は吐く仕草をするのですが、実際に嘔吐物は出ず、吐き気の動作を繰り返すようになります。

また、胃捻転で胃が膨らむと、明らかに犬のお腹が張った状態になります。これは外から見ても明らかにお腹周りが膨らむため、通常は飼い主さんも気づくのですが、肥満の犬では気づきにくいこともあるため注意が必要です。

さらには、犬が胃捻転に陥ると、犬にとってはかなり苦しい状態になり、よだれが多く見られるようになります。重症になるとぐったりとして動かなくなり、ショック状態になることもあります。ショック状態の場合は、緊急的に治療できないと死に至る危険があります。

■胃捻転の対処は時間が勝負!緊急的に動物病院へ

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前述のように、胃捻転を疑う場合は命を落とす危険もあるため、緊急的に動物病院を受診するようにしてください。動物病院では、診察や検査から胃捻転が診断されると、ショックの治療、胃の膨らみの解除を行い、さらには直ちに胃捻転を整復するための緊急手術が行われます。

しかし、胃捻転は全身状態を悪化させているため、全身麻酔のリスクや手術前後の不整脈の発生率が高く、さらには捻転によって胃の一部が壊死していると、腹膜炎の危険もあります。

これらは、胃捻転が発症してからの時間が長ければ長いほどリスクが高くなりますので、「もしかして胃捻転かも?」と思ったら、とにかくすぐに動物病院へ連絡するようにしてください。

■胃捻転は日常生活で予防対策を

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このように、犬の胃捻転は非常に恐ろしい病気です。そのため、日常生活の中でできる限り予防対策を行うことをおすすめします。犬の胃捻転のリスクに、食事の多量摂取(食べ過ぎ)と激しい運動があります。胃捻転を予防するためには、食べすぎないように食事を管理し、激しい運動に注意するなどの運動管理を行うことが重要です。

(1)食事管理について

食事管理については、特に食欲旺盛な犬で注意が必要です。多量摂取を控えるために、少量頻回の食事(1回の食事量を減らし、その分1日の食事回数を増やす)や、多量摂取を予防するような食器を使うなどの工夫がおすすめです。ドライフードを与えている場合は、十分にふやかしてから食べさせるのがよいでしょう。

(2)運動管理について

運動管理は激しい運動を控えることはもちろん、胃に食事が溜まっている状態での運動が胃捻転のリスクになるため、食後のお散歩も控えるようにしてください。

(3)予防のための手術もある

胃捻転の予防方法としては、胃が捻れないように固定する手術があります。胃捻転になってしまった場合は、外科手術が必須ですので、そのときに再発予防のための固定手術を行います。

しかし、動物病院によっては胃捻転に陥る前に胃を固定する手術をすすめるところもあります。特に胸の深い大型犬など、胃捻転のリスクが高い犬種では、予防的な手術を考慮してもよいかもしれません。

犬の胃捻転は大型犬に多い病気ですが、小型犬でも注意は必要です。胃捻転は放置すると命に関わる病気のため、吐き気やお腹の膨らみなど胃捻転の症状を疑うときは、緊急的に動物病院を受診するようにしてください。

また、胃捻転は日常の食事管理や運動管理である程度予防することが可能です。一度にたくさん食べすぎないようにする、食後の運動を控えるなど、日頃から胃に負担をかけない生活を心がけてあげてくださいね。

※ 本サイトにおける獣医師および各専門家による情報提供は、診断行為や治療に代わるものではなく、正確性や有効性を保証するものでもありません。また、獣医学の進歩により、常に最新の情報とは限りません。個別の症状について診断・治療を求める場合は、獣医師や各専門家より適切な診断と治療を受けてください。

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【参考】

※1 藤田桂一監訳(2014)『小動物のための5分間コンサルト』pp.6-7, インターズー.

【画像】

※ smikeymikey1, Pressmaster, belu gheorghe, sanjagrujic, Khakimullin Aleksandr, Jaromir Chalabala, / Shutterstock

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