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「水をよく飲む」猫、脱水症状以外に考えられる病気は?

西原克明

獣医師
西原克明

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「水をよく飲む」猫、脱水症状以外に考えられる病気は?

猫の祖先は砂漠で暮らしていた名残なのか、他の動物と比べてお水を飲む量が少ない動物と言われていますが、それでも最低限の水分はもちろん必要です。しかし逆に、猫がお水をたくさん飲むのは、実は病気のサインであることも……。

ここでは、猫がお水をたくさん飲む症状とそれに関わる病気についてお伝えします。

■「多飲多尿」は病気のサイン!

「水をよく飲む」猫、脱水症状以外に考えられる病気は?
出典:https://www.shutterstock.com/

“水をよく飲む”猫は、ほとんどの場合は単純な脱水など、体の水分が不足していることが原因だと思いますが、中には病気が理由でお水をよく飲むケースもあります。

中でもお水をよく飲むだけでなく、尿がたくさん出る場合、つまり、たくさん水分をとって、たくさん水分が出ていってしまう状態、これを“多飲多尿”と呼び、重大な病気の症状のひとつとなります。

多飲多尿は、一時的に生理的な要因でなることもあるようですが、病気と関連している場合には、実はたくさんお水を飲むことが原因で、尿がたくさん出るのではありません。病気が原因で尿がたくさん出るようになり、その分の脱水を補うために水分をたくさん摂取するようになる、というのが多飲多尿のメカニズムです。

つまり、一見元気な猫が、尿の量(1回の排尿量や排尿の回数)がほとんど変わらない状態で水をよく飲む場合は、生理的な範囲(病気ではない)と考えられます。その一方で、排尿量が多く、色も薄い尿がたくさん出る場合は、病気に関連した多飲多尿を疑うことになります。

また、普段ドライフードを食べている猫が、ウェットフードやふやかしたドライフードなどを食べることで、尿量が増えるケースがあります。これはフード中の水分が増えることで、水分摂取量も必然的に増え、その結果尿量も増えるというものです。このとき、猫の水を飲む量は変わらないか、逆に減ることがほとんどなので、多飲多尿とは区別することができます。

■健康な猫の飲水量や尿量ってどれくらい?

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(1)体重1kgあたり50ml以下

一般的には、猫の1日の飲水量は、体重1kgあたり50ml以下と考えられています。例えば体重4kgの猫では、50×4=200ml以下となります。つまり体重4kgの猫では、200ml以上の水を飲むようだと多飲多尿だと言えます。

しかし、筆者の経験上は、1kgあたり50ml飲む猫でも、体に異常が見つからないこともあり、明確に多飲多尿と考えられる猫は、体重1kgあたり100ml近く飲むことが多いように感じています。

ただし、これはキャットフード中の水分も含めて、ということなので、ウェットフードやふやかしたドライフードを食べている猫では、その食事中に含まれる水分も合わせて考える必要があります。

(2)自然に蒸発する量も合わせて考えよう

実際の飲み水の量を測定するときは、自然に蒸発する量も合わせて考える必要があります。そのため、猫の飲水量の測定はちょっとしたコツも必要です。ほとんどのかかりつけの動物病院で、そのやり方を教わることができると思いますので、気になる方は相談してみてくださいね。

また、実際の測定が難しく、普段の飲水量を大まかにチェックする方法(器に入っているお水の、大体の減る量をチェックする方法)もありますが、やはり飲水量の変化に気づきにくく、病気の初期症状を見逃してしまうことがあるため、定期的にはきちんと飲水量を測定することをおすすめします。

(3)尿の量にも注意!

一方、猫の尿についても、1日の尿量が体重1kgあたり50ml以上になると、多尿だと考えられています。また、多尿になると、その分尿の色が薄くなります。ただし、猫の尿量を測定するのは飲水量以上に難しいため、実際にはトイレの状態をチェックする場合がほとんどです。

多尿時には、普段の尿量よりも明らかに排尿回数と1回の尿量が増えていますので、トイレをチェックすることで割と容易に確認することができます。

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このような形で猫の飲水量と尿量をチェックし、多飲多尿が疑われる場合は、動物病院でしっかりと診察を受けるようにしてください。

なお、動物病院を受診する際には、受診する直前の尿を取って尿検査をすることができれば、より効率よく診察を進めることができます。もちろん、どうしても採尿が難しい場合は動物病院で採尿できるので安心してくださいね。

■多飲多尿を示す病気には重いものもたくさんあるため注意が必要

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多飲多尿を示す病気には、甲状腺機能亢進症、慢性腎臓病、糖尿病、子宮蓄膿症、肝不全など、様々なものがあります。そして、その多くは発見が遅れると命の危険もある厄介な病気です。しかし、ほとんどの病気の初期段階では、あまり重い症状が見られることはありません。多飲多尿以外は元気食欲があったりすることも多く、見逃しがちになりますので注意が必要です。

このように、多飲多尿を示す病気には非常に厄介なものが多いのですが、それぞれの病気の診断は血液検査や超音波検査など、動物病院で一般的に行われる検査で診断できるものも多く、初期の段階で発見、治療できれば、割と元気に過ごせるケースも多くあります。そのため、多飲多尿が見られた場合には、元気だからといって様子を見るのではなく、必ず動物病院でしっかりと診断を受けることが重要です。

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多飲多尿は、一見、猫が元気に見える場合、ついつい様子を見てしまいがちになる、あるいは見逃しやすい症状のひとつです。多飲多尿を引き起こす病気には、治療が遅れると厄介なものも多く、なるべく早期発見してあげたいところです。

日頃から、定期的に猫の水を飲む量をチェックしたり、排尿状態を確認したりして、多飲多尿が疑われる場合は、早い段階で動物病院を受診するようにしましょう。

※ 本サイトにおける獣医師および各専門家による情報提供は、診断行為や治療に代わるものではなく、正確性や有効性を保証するものでもありません。また、獣医学の進歩により、常に最新の情報とは限りません。個別の症状について診断・治療を求める場合は、獣医師や各専門家より適切な診断と治療を受けてください。

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【参考】

※ 石田卓夫(2008)『伴侶動物の臨床病理学』チクサン出版社.

【画像】

※ Dzina Belskaya, Yuliya Papkova, absolutimages, Lightspruch, Patrick Lienin, Cynthia Valdez / Shutterstock

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