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【獣医師執筆】犬のくしゃみが止まらない…これって病気!? 「くしゃみ」の役割と原因、考えられる病気

吉本翔

獣医師
吉本翔

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【獣医師執筆】犬のくしゃみが止まらない…これって病気!? 「くしゃみ」の役割と原因、考えられる病気

突然、愛犬が「くしゅん」とくしゃみをすることはありませんか? 人間と同じように、くしゃみは犬でも一般的に見られます。健康な犬でも、何らかの異常がある場合でも見られます。

今回は、くしゃみの役割と犬のくしゃみの原因について解説します。

■くしゃみは何のために起きるの?

犬のくしゃみが止まらない…これって病気!? 「くしゃみ」の役割と原因、考えられる病気
出典:https://www.shutterstock.com/

くしゃみは、肺から鼻や口へと勢いよく空気を出すことで、鼻の中にある刺激物(異物・病原体など)を排除する役割を持っています。鼻の粘膜には、くしゃみを引き起こすセンサーがあり、このセンサーが刺激されることによってくしゃみが誘発されます。

鼻こより(ティッシュをねじって細く尖らせたもの)を鼻に入れるとくしゃみが誘発されるのを見たこと、経験したことがある人もいるのではないでしょうか。鼻こよりは鼻の粘膜のセンサーを刺激し、くしゃみを誘発するのです。

■犬のくしゃみの原因

犬のくしゃみが止まらない…これって病気!? 「くしゃみ」の役割と原因、考えられる病気
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犬のくしゃみの原因には、正常な反応によるものから病気に因るものまであります。くしゃみの原因は次のようなものが挙げられます。

・生理的な反応によるもの

くしゃみは、身体に全く問題がないにも関わらず生じることがあります。たとえば、寒い時に冷たい空気を吸うとくしゃみが出ることがあります。これは冷たい空気によって鼻の粘膜が刺激されるためです。

また、犬では被毛が鼻の中に入ってしまって、それによってくしゃみが誘発されることもあります。

その他、原因は不明ですが、まぶしい光を見た時にもくしゃみが誘発されることもあるようです。

これらはいずれも生理的な反応によるものですので、心配する必要はありません。たまたま生じ、繰り返して起こらない場合には、生理的な反応によるものの可能性が高いと考えられます。

・異物により引き起こされるもの

鼻の中に異物が侵入した場合には、異物によって鼻の粘膜が刺激されくしゃみが起こります。原因となる異物はなんでも考えられますが、毛や埃などがたまたま鼻の中に入り、くしゃみによって取り除かれた場合には、このくしゃみは生理的なものといえるでしょう。

ただし、異物の大きさや形によっては、くしゃみできちんと排出されない場合もあります。この場合には、絶えず鼻の粘膜が刺激されるため持続的にくしゃみが見られるでしょう。地面を掘って遊んでいた場合には砂利が、草むらに入った場合には草や小枝などが入る可能性があります。

絶えず繰り返すくしゃみがいきなり起こった場合には、異物が侵入する可能性のある出来事があったかどうか思い返してみましょう。

・感染症、がん、アレルギーなど

犬の鼻水の原因となる疾患のほとんどは、くしゃみの原因にもなります。具体的には、感染症(細菌・ウイルス・真菌・寄生虫)、アレルギー、がん、口腔疾患(歯根膿瘍など)が鼻まで波及した場合などが挙げられます。これらの病気の中には、命に関わる病気、放置すると進行し悪化する病気も含まれます。

鼻水が主な症状で、同時にくしゃみも見られるような場合には、いろいろな可能性が考えられますので動物病院で診てもらうことをお勧めします。

■「逆くしゃみ」ってなに?

犬のくしゃみが止まらない…これって病気!? 「くしゃみ」の役割と原因、考えられる病気
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通常のくしゃみとは別に、逆くしゃみと呼ばれる症状もあります。逆くしゃみは、くしゃみとは異なり空気を吐くのではなく空気を吸い込むことが特徴です。

逆くしゃみの原因ははっきりとは分かっておりません。通常は小型犬で起こり、興奮している時や水を飲んだ後に見られることが多いとされています。

苦しそうに見えるため初めて見る方はかなりびっくりすると思いますが、通常逆くしゃみは数秒程度で終わり、問題となることはほとんどないといわれています。逆くしゃみを示す場合、生涯にわたって逆くしゃみの症状を示すケースが多いとされています。

今回は、くしゃみの役割と犬のくしゃみの原因について解説しました。大切なポイントは、(1)くしゃみが一時的なものなのか持続的なものなのかどうか、(2)鼻水など他の症状も強く見られているのかどうかを確認することです。持続的に見られる場合、鼻水が主な症状となっている場合には、獣医師に診察してもらうことをお勧めします。

※ 本サイトにおける獣医師および各専門家による情報提供は、診断行為や治療に代わるものではなく、正確性や有効性を保証するものでもありません。また、獣医学の進歩により、常に最新の情報とは限りません。個別の症状について診断・治療を求める場合は、獣医師や各専門家より適切な診断と治療を受けてください。

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【参考】

※ 長谷川 篤彦・辻本 元監修(2011)『スモールアニマル・インターナルメディスン』【第4版】インターズー

【画像】

※ olgagorovenko,Kristina King,Kira_Yan,Tati Argent / Shutterstock

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