わんにゃの健康と病気

【獣医師執筆】硬さ・におい・色・回数…「犬のうんちで見る」簡単健康チェック法

久保聡

獣医師
久保聡

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【獣医師執筆】硬さ・におい・色・回数…「犬のうんちで見る」簡単健康チェック法

2021119日情報更新

家族であるわんちゃんには、いつまでも健康でいてほしいものです。そのためには体調の変化にいち早く気付くことが大切です。

そのひとつがわんちゃんの“うんち”。毎日排泄されるものだからこそ、注意して観察することで、隠れた病気の発見につながることも。

そこで今回は、わんちゃんの“うんち”からわかる、自宅で簡単にできる健康チェックについて解説します。

 

■そもそも「うんち」ってなに?

生き物は生命活動を維持するために、エネルギーを補給する必要があります。動物は食事をとり、そこから栄養を吸収し、吸収しきれなかったものやカスがうんちとして排泄されます。

そのため、胃腸の機能が落ちて吸収不良が起きたり、食欲が落ちて食べている量が減ったりすると、うんちになんらかの異常が現れることがあります。

 

■硬さやにおい、色、排便回数で見る「うんちの健康チェック」

硬さ・におい・色・回数…「犬のうんちで見る」簡単健康チェック法
出典:https://www.shutterstock.com

うんちがどのような状態かを観察することで、わんちゃんの健康チェックができます。その際に注意する点として、硬さやにおい、色などがあります。それでは具体的に見ていきましょう。

(1)硬さ

うんちの処理をするときにつまんでみたり、割ってみたり、地面に残るうんちの跡を見ることで、健康チェックができます。

形がしっかりしていて掴んでも崩れず(※食物繊維の多いフードを食べていると、正常でも崩れることがあります)、地面に便の跡が残らない、少量の水分が残るぐらいであれば特に問題はありません。

もし掴めないくらい柔らかかったり、取ったあと地面に便が付着して残ったり、ドロドロ(泥状)であったり、水っぽい(水様性)ようであれば、下痢を起こしている可能性があります。

ときに便秘でも水っぽい便が出ることがあります。便秘は便が腸管に詰まり、いきんでも便が出づらいもしくは出ない状態です。便が出ない状態でいきんでいると、液体成分だけが腸管と詰まった便の隙間から出てきます。

また、腸管やその周囲になんらかの異常があり便の通り道が狭くなると、便が細くなるなど形状が変わることがあります。

(2)におい

うんちが臭いのは当たり前です。フードを変えることでうんちのにおいが変化することもありますが、中には体調不良の場合も。

普段からどのようなにおいの便をしているのかを確認しておき、普段と違うにおいであれば、消化不良や出血などを起こしている可能性があります。

(3)色

食べ物の影響を受けるので、色には多少のばらつきがあります。一般的には茶色で、多少の色の濃淡があります。フードやおやつを変えていないのに、いつもと違う色の便が出たら注意しましょう。

肝臓、胆嚢(たんのう)の異常で便が白っぽくなることもありますし、赤っぽい便が見られるときは出血を疑います。黒色の便が出た場合も、胃や十二指腸あたりの出血が疑われます。

(4)排便回数と量

1日に何回排便するのか、1回の量はどれくらいなのかのチェックもとても大切です。

1日に5回も6回も排便回数があると、大腸炎を起こしている可能性があります。最初の方は正常な硬さだけど、最後の方は少し柔らかくなるとか、粘液のようなものが付着するなどがあれば、大腸炎などの異常が考えられます。

また、便の量が増えると、消化吸収障害などが起きている可能性もあります。逆に便の量が減ると、食欲の低下や便秘、便の通過障害などが疑われます。

(5)その他

うんちの周囲に粘液が付着していることがあります。そのときの便の硬さは、柔らかいこともあれば、そこまで柔らかいと感じないこともあります。ときには粘液のみが排泄されることもあります。

こういった症状が見られたときは大腸炎を起こしている可能性が考えられます。

寄生虫の寄生がある場合には、便の周りにその寄生虫が付着していることがあります。細長い虫や米粒みたいな虫など、形は様々です。寄生虫の寄生があっても下痢などの症状を示さないこともありますので注意が必要です。

寄生虫が疑われる場合には、便を持って動物病院で検査してもらいましょう。

また、便の中に異物が混ざっていることがあります。便として出ていれば特に問題はありませんが、気がつかないところでいたずらをして、食べてしまっている可能性があります。

異物はときに腸管に詰まったり、胃腸を傷つけたりして、治療や手術を必要とすることもあります。ものによっては中毒を起こしてしまうものもあります。

そのようなものが便に混ざっているときは、普段の生活の中で異物を食べていないか、確認をして注意する必要があります。

 

■大切なのは「健康なとき」のうんちの状態を知っておくこと

硬さ・におい・色・回数…「犬のうんちで見る」簡単健康チェック法
出典:https://www.shutterstock.com

下痢や異物、寄生虫などは明らかに目に見えての変化があるのでわかりやすいかと思います。しかし、ちょっとした形状や色の変化やにおいの変化は、普段からうんちを観察していないと気づけません。

健康なときにどのような便をしているのか、しっかり観察することがとても大切になってきます。そして何か変化や異常があれば、すぐに動物病院で検査を受けましょう。

 

普段何気なく処理しているうんちも、しっかり観察することでわんちゃんの健康チェックができます。

わんちゃんは自分の体調の変化について言葉にだしては教えてくれません。家族のケアにより病気の早期発見、早期治療につながります。何気ない変化にも気づけるよう、普段のケアに気を使ってみてくださいね。

 

※ 本サイトにおける獣医師および各専門家による情報提供は、診断行為や治療に代わるものではなく、正確性や有効性を保証するものでもありません。また、獣医学の進歩により、常に最新の情報とは限りません。個別の症状について診断・治療を求める場合は、獣医師や各専門家より適切な診断と治療を受けてください。

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