秋となり、少し肌寒くなってきましたね。こたつを準備し始めようと考える人も出てくる時期ではないでしょうか。おそらく皆さんの愛猫もこたつが待ち遠しいかもしれません。
ぽかぽかのこたつでまったりしている猫は簡単にイメージできると思いますが、反対に猫が寒さを感じている時の様子ってご存知ですか?
今回は、猫が寒さを感じている時の仕草について解説します。
■猫が寒さを感じている時にする仕草

・体毛が立つ
猫は寒さを感じると、体毛が立ってきます。体毛を立てると身体と外気の間に層がつくられ、身体の熱が発散されにくくなるため、寒さから身体を守ることができるのです。
実はこれと似た現象は、私たち人間でも見られます。寒い時に鳥肌が立つと思いますが、これは私たちの身体の産毛が立つことによって起こっています。はるか昔、我々の先祖は服を着ておらず、もっと毛深かったといわれており、鳥肌はその時の名残ではないかと考えられています。
・身体が震える
人も同様ですが、猫も寒くなると身体が震えます。実は、この震えるという行為にはちゃんと身体を少し温める役割があります。これを「ふるえ熱産生」と呼びますが、筋肉の細かい動きが小刻みに繰り返されることにより、身体から熱が産生されているのです。
・足先が冷たくなる
毛があるため確認することは難しいかもしれませんが、愛猫の前足・後足の末端が冷えている場合には、寒さを感じている可能性があります。これは猫だけでなく、人間を含む様々な動物で見られ、身体の中心から遠い血管(手先の血管)を収縮し血流を減少させることにより、身体の熱が外に逃げにくくなっているのです。
ただし、猫の心臓病の一つに「肥大型心筋症」という病気がありますが、この病気では血栓が血管につまり、足が冷たくなるという症状がみられることがあります。異常なまでに足が冷たく、さらに足が麻痺している場合には、この病気である可能性があるので動物病院に行きましょう。
・暖かい場所を好むようになる
こちらは当然ですが、寒さを感じていると猫は暖かい場所を好むようになります。こたつや布団の中などでぬくぬくしている猫をよく見かけると思いますが、これは元々いた場所が寒かったからかもしれません。
■家庭でできる猫の寒さ対策

秋~冬であれば、猫が快適に感じる室温は20℃前後と言われています。寒い時期には暖房器具などで部屋を温めてあげると良いでしょう。ただし、多くの暖房器具は部屋を温めるだけではなく、同時に部屋を乾燥させてしまいます。加湿器も同時に使用し、部屋の湿度を保つことをおすすめします。また、猫の場合は、室温が高くなかったとしてもこたつや毛布なども大好きなので、それらを用いても良いと思います。
食事についてですが、猫は冷えたご飯をあまり好みません。寒い時期のウェットフードは冷えていることがしばしばありますので、少しだけ温めてあげると良いでしょう。温かいご飯は美味しそうな匂いもより強くなるので、猫は喜ぶでしょう。
今回は、猫が寒さを感じている時の仕草をいくつか紹介しました。しかし実際には、猫はよほど寒くないとこういった仕草をしないので、仕草がないから寒くないというわけではありません。これからの季節は、こたつや毛布などを置いて、猫が寒さを感じた時に身体を温める場所を確保してあげると良いでしょう。
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【参考】
※ ジェームズ・G・カニンガム(2000)『獣医生理学 第2版』(高橋迪雄監訳)文永堂出版.
【画像】
※ Kichigin,PAKULA PIOTR,Alena Ozerova / Shutterstock
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