「分離不安(ぶんりふあん)」という名前の病気を知っていますか?分離不安という言葉はわんちゃんに使われることが多い言葉でしたが、最近では分離不安になりやすいねこちゃんも増えてきているそうです。ねこちゃんはもともと群れを嫌う動物ですが、今はねこちゃんも完全室内飼いが当たり前になってきて、ねこちゃんと飼い主さんとのかかわり方が変わってきたことも関係しているのではと考えられています。
■分離不安とは
分離不安は、飼い主さんがいなくなることに極度の不安感を抱いてしまう心の病気です。外出する時に必死に止めてきたり、姿が見えないと大声で泣き叫んだりします。また、いつもとは違う異常行動をとることを分離不安と呼びます。
分離不安の症状はねこちゃんによっても違いますが、不安な気持ちを落ち着かせるためにグルーミングを過剰にしてしまいハゲてしまったり、トイレ以外の場所で粗相をしたり、留守中にずっと鳴き続けるとといった飼い主さんを探すような行動をするねこちゃんもいます。
『分離不安』を感じている最中は、猫の脈拍や血圧は上昇し、猫の体調に異変が起こることもあるため、早めの改善が必要です。
■猫の分離不安チェック
分離不安は飼い主さんが留守になり、ひとりぼっちで残されることに対し強い不安を感じ、その不安やストレスを、物に執着したり、自分の身体を傷つけることで紛らわそうとする行為です。
飼い主が外出しようとすると、落ち着きがなくなり、鳴いたり、足下にすり寄って離れなくなったりします。
・鳴き続けてつきまとい、飼い主さんのトイレ、お風呂などいろんなところについてまわる。
・トイレではないところで粗相する。
・服や壁にスプレー行為をする
・自分の身体を過度に舐めたり、噛みついて傷つけたりする
・人に対して攻撃的になる
・食欲がない、元気がない。
・下痢、嘔吐をする。
・物を壊すなどの破壊行動をする。
このような行動が見られるときは分離不安の可能性があると考えられます。愛猫の行動を振り返り、心当たりが多いと感じた方は少しでも不安感を取り除いてあげられるよう、対処していきましょう。
■分離不安の治療法は
ねこちゃんの分離不安を治す一番の方法はねこちゃんも飼い主さんも精神的に『自立』することです。飼い主さんがねこちゃんに構いすぎていたり、まるで子供のように過剰に可愛がりすぎると『飼い主さんがいない』という状況に精神的に耐えられなくなってしまうのです。
子供のように愛情を注ぎ、大切に思い育てることは悪いことではありませんが、過剰な愛情は悪影響となり、精神的な歪みを生んでしまいます。ねこちゃんが一人になる時間も安心できるように徐々に親離れをさせてあげましょう。
■分離不安にならないための予防
一度分離不安症になってしまうと、飼い主さんにとってもねこちゃんにとってもストレスが増えてしまいます。では、分離不安症を予防するためにはどうすればよいのでしょうか。
大切なのは日頃からねこちゃんとの距離を保つこと。ねこちゃんが要求するままに撫でたり遊んだりすると、ねこちゃんが飼い主さんに依存してしまいます。ねこちゃんが「なんでもいうことを聞いてくれる」と思ってしまうと、さらに行動がエスカレートしてしまうので、過剰な愛情表現や構いすぎは避けたほうがよいでしょう。要求鳴きをしていた場合は鳴くのをやめたら褒めてあげましょう。
■愛猫のストレスのかからない環境をつくる
ねこちゃんの分離不安症を治療するためには、ねこちゃんがストレス解消をしやすい環境にすることも必要になります。室内や室外に大きな音はないか、室内で変わった部分はないかなど、再度暮らしの環境を見直してみましょう。
また、ねこちゃんが安心できるケージやハウスを用意し、安心できる場所だと認識できると、ちょっとしたストレスを感じたときも、ねこちゃん自身でケージやハウスに入りストレス解消を行うことができます。
さらに、飼い主さん自身の行動改善も必要です。たとえば外出のときに、別れを惜しんだり、心配する様子を見せると、それだけでねこちゃんは不安になります。「行ってきます」という言葉が不安の引き金になってしまうこともあるので、外出するときはねこちゃんを刺激せず、そっとでかけるようにしましょう。
いかがでしたか。ねこちゃんが分離不安になる理由はさまざまありますが、分離不安は悪化して深刻な状態になってしまうこともあります。飼い主さんが早く気づいてあげることで対策ができることもあるため、日頃から愛猫の観察をしっかりとおこないましょう。愛猫はもしかすると分離不安かも?と思った時は、かかりつけの獣医師さんに相談してくださいね。
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