わんちゃんはとてもおしゃべりで、ほかの犬科であるキツネやオオカミよりも“吠え行動”が出やすい動物です。
吠えることはコミュニケーションなので、わんちゃんにとっては当たり前の行動であり、決して“無駄”ではありません。人間にとっては無駄な行動も、わんちゃんにとっては立派な自己表現の1つなのです。
しかしながら、密集している住宅地、マンションなどで生活している場合には、それが“無駄吠え”として困ってしまうことも多いでしょう。
そこで今回は、“わんちゃんの無駄吠え”の原因と対策を、獣医行動診療科認定医の白井が解説します!
■どうしてわんちゃんは「無駄吠え」をしてしまうのか?
吠える理由は多岐にわたります。問題行動として診察する場合は、「どうして吠えているのか?」を必ず究明するようにしています。そうしなければ、対処方法を決めることができないからです。
どうして吠えているのかを、まずは検証していくことが重要です。まずはよくある吠えの原因について解説します。
(1)怖い、あるいは警戒して吠える
物音や知らない人などに対して、恐怖心や警戒心があるときに吠えることがあります。宅配便やバイクなどは、用事が終わればいなくなりますので、“吠えると嫌な刺激はいなくなる”と学習してしまいます。その結果、吠え行動がどんどん増えていきます。
(2)要求があって吠える
吠えると自分の要求が通る経験をすることで、“吠えると要求が通る”と学習します。その結果、何か関心を求めたかったり、要求があったりすると吠えるようになります。
(3)犬種特性
吠える行動が得意な犬種は、刺激があるとどうしても吠えやすいという傾向があります。シェルティー、コーギー、ドーベルマン、ビーグル、ポメラニアン、テリア種などがそうです。
飼育前に、自宅環境で吠えやすい傾向であるかをチェックすることが重要です。
■無駄吠えをさせないためにできること
わんちゃんは吠える動物ですが、吠え行動が激しいことで近所から苦情がくる、家庭生活が苦痛になるなど、困った問題行動に発展することもあります。これらの問題を回避するために、わんちゃん対して注意するポイントをお伝えします。
(1)心と体は満たされていますか?
毎日の運動、飼い主さんとの関わり、楽しい遊びなど、満足した毎日が送れていますか?
欲求不満は吠えやすい状況を作ってしまいます。ご自分のわんちゃんの日常が楽しく満たされているか、今一度チェックしてあげましょう。
(2)健康診断はしていますか?
身体的な疾患から、不快感や傷みなどから吠えやすくなることもあります。体が不調だと、不安傾向に陥りやすいので注意が必要です。
そのため、不調がすぐに発見できるよう定期的な健康診断を受けるようにしましょう。
(3)子犬の時期に楽しい経験をさせてあげよう!
わんちゃんには、色々な刺激に慣れるために大切な時期“社会化期”があります。それが3ヶ月齢くらいです。この時期に色々な刺激を受けて楽しい経験をしないと、成長後に恐怖を感じることが多くなってしまいます。その結果、吠えやすい傾向が強くなります。
また、3ヶ月を過ぎても社会化期は少しずつ続いているといわれています。子犬を飼育したら、これから出会う刺激に対して、楽しい印象をたくさん持たせてあげましょう! 世の中の刺激が怖くないと思うことができれば、吠える必要もなくなるのです。
(4)「ダメ!」でなく「○○して!」に変えよう!
吠えるわんちゃんに対して、「ダメ!」と叱っていませんか? 一瞬、吠え行動が止まるかもしれませんが、同じ状況になるとまた吠えてしまう……そんなパターンもあるではないでしょうか。
そんなときは「この刺激があったら○○してね」と教えるほうが分かりやすく効果的です。当院のわんちゃんには、「通行人が来たらママを見ると良いことがある!」と教えてあげました。、すると通行人が来るたびに、期待してママを見てくれるようになりました。教え方や方法はそれぞれですので、専門家と一緒に練習していくことをおすすめします。
わんちゃんは基本的に吠える動物です(一部吠えない犬種もいます)。吠える動物と人間社会で一緒に暮らすためは、必要なルールやマナーを教えてあげましょう。
“吠え”以外で自己表現してもらえるように、愛犬に行動を楽しく教えてあげてみてくださいね!
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