※2020年11月6日情報更新
わんちゃんの咬み癖で悩んでいませんか?
わんちゃんはもともと獲物を追って捕食する動物なので、咬みつくことは本能であり自然な行動です。
しかし、そのままにしておくと、人にけがをさせてしまう大きな問題に発展する可能性もあるので、人と一緒に暮らしていくからには、咬むことを許すわけにはいきません。咬んで良いものと悪いものを教えることは、重要なしつけのひとつなのです。
今回はわんちゃんが咬む原因と効果的にしつけをする方法についてお話します。
■わんちゃんが咬みつくシーンと理由
わんちゃんが咬みつく“3大シーン”を、『犬のしつけきちんとブック かみグセ解消編』の著者である矢崎潤氏は、“自分の身を守るとき”、“自ら決めたお気に入りを守るとき”、”イヌどうしで争うとき”としています。
上記に加え、その他のシーンから考えられる“遊びの甘咬みがエスカレート”、“体に痛みがあるとき“もあります。これらのシーン別にわんちゃんが咬みつく理由を解説します。
(1)自分の身を守るとき
爪切りのときや、散歩から帰ったあとに、足を洗ったり拭いたりしようとしたときに咬まれることがあります。
(2)自ら決めた「お気に入り」を守るとき
食べ物やおもちゃ、自分の場所を取られそうだと思ったときに、それを守ろうとするために咬むことがあります。
(3)イヌどうしで争うとき
わんちゃん同士のケンカ。お散歩の途中やドッグランでよそのわんちゃんに咬み付くときがあります。
(4)遊びの甘咬みがエスカレート
遊びで興奮したとき。甘咬みから飼い主さんがけがをする程に強く咬むことがあります。
(5)体に痛みがあるとき
けがや病気で体に痛みがあるとき。脳に異常があって攻撃的な発作を起こす場合もあります。
■「咬まないわんちゃん」にしつけるポイント
では、咬み癖はどのようにしたら直るのでしょうか? 上記の咬みつくシーン別にしつけ方法をご説明します。
(1)子犬の頃から体のどこにでも触れるように
子犬のときから、体中に触れるようにしていきます。はじめはやさしく声をかけて、背中、首筋、胸など喜ぶところを、ゆっくり優しくなでましょう。
次に、好きな部分に触れながら、足先、尾、お尻、口先などにもちょっとだけ触れてみます。
ごほうびを与えたり、褒めたりしながらこれを毎日繰り返し、どこにでも触れるようにしていきましょう。
(2)食事中は「人はおいしいものをくれる」と教える
食事中に人が近づくと唸ったり咬んだりするわんちゃんは、「フードを奪われてしまう!」と思っています。
そんなときは、フードを少しずつ何回にも分けて与えたり、食べている途中にチーズなどのおいしいものを少量ずつふりかけたりすることで、「人はおいしいものをくれる存在」と学習させるのが有効です。
(3)お散歩中は相性の悪いわんちゃんを避けて
初めて出会ったわんちゃん同士が直線的に正面から近づかず、お尻のにおいを嗅ぎあったりするのは、“敵意がない”という表現です。しかし、固まったり唸ったり歯をむき出したりするのは、咬みつきのサインです。
もし相性が悪いわんちゃんと出会いそうなら、お散歩のコースを変えて、ケンカに発展しないようにしましょう。
ケンカの仲裁をしようとした飼い主さんが、興奮したわんちゃんに咬まれてしまうこともあるので、十分注意してください。また、お散歩のときはしっかりリードつけて離さないようにしましょう。
(4)「甘咬み」にキャーキャー言うのは逆効果
子犬には、人の手足とおもちゃとの区別がつきません。手足を咬まれたとき、甘咬みだからといって許してはいけません。
「痛い!」と大きな声を出し、すぐに遊びを止めて、わんちゃんと目を合わせずに無視しましょう。効果がなければ部屋を出ていきます。
キャーキャー騒ぐと、わんちゃんは遊んでもらっていると誤解して逆効果です。咬んでも良いおもちゃで遊ばせましょう。
(5)痛がるときは、動物病院へ
ケガに気づかず痛いところに触ってしまうと、突然咬まれることがあります。痛がるところがあったり体調が悪そうならば動物病院で診察を受けましょう。
■「ほめるしつけ」で人との信頼関係を築こう
以前は、叩いたり叱ったりしてしつけを行うやり方が主流でした。しかし、近年はわんちゃんの行動学の研究が進み、言葉でほめたりごほうびのおやつを利用したりして、何をしたら嬉しいことが起こるかを学習させる、“ほめるしつけ”が推奨されています。
わんちゃんの生後12週齢くらいまでは“社会化期”と呼ばれ、性格形成に関わる重要な時期です。母犬や兄弟犬と生活することで、犬社会のルールや咬む加減を学びます。
8週齢くらいで新しい飼い主さんに引き取られ、いろいろな人と触れあうことで、人と暮らすルールを覚えていきます。
今回ご紹介したしつけのポイントは、子犬の時期の方が効果的ですが、成犬になってからでも、時間をかけてしつけることが可能です。
犬種による特性や発育環境によって、攻撃行動がなかなか収まらないこともあります。困った時は、獣医師やインストラクターに相談してください。わんちゃんを理解して良い関係をつくりましょう。
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【参考・画像】
※ 矢崎潤著(2007)『犬のしつけきちんとブック かみグセ解消編』高橋書店
※ 越美奈監修(2013)『イヌの心理学』正東社
※ Blanscape, Sascha Christian, Petr Jilek / Shutterstock
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