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【獣医師執筆】成犬でもしつけは可能!? よくある「トイレの失敗」原因と対策を解説

西原克明

獣医師
西原克明

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【獣医師執筆】成犬でもしつけは可能!? よくある「トイレの失敗」原因と対策を解説

2021220日情報更新

わんちゃんのトイレの失敗は、なにも子犬に限ったことではありません。成犬になってからも、トイレの失敗が問題になることもありますし、成犬の方が単純にしつけの問題ではなく、より深刻な原因が問題になっていることもあります。

そこで今回は成犬のトイレの失敗について、その原因や対策方法などをお伝えします。

 

■性格やストレスだけじゃなかった!? 成犬がトイレの失敗をする原因とは

成犬でもしつけは可能!? よくある「トイレの失敗」原因と対策を解説
出典:https://www.shutterstock.com/

(1)しつけができていないケース

成犬になってトイレを失敗するケースの中でも、子犬の時からトイレを失敗している場合は、子犬の時のしつけ自体が失敗したことによって、今になっても問題となっている可能性があります。その場合、ほとんどのケースでは、トイレ以外にもむだ吠えなどのような、他の問題行動を抱えているケースもあります。

(2)トイレの環境が整っていないケース

わんちゃんにとって、排泄中は身動きが取れず、野生の中では非常に危険な状態になりますので、本能的に安心できる場所で排泄をする性質があります。しかし、自宅の中でのトイレの位置が外から見える場所だったり、落ち着かない場所にあると、わんちゃんはストレスを感じて排泄を我慢してしまったり、他の場所で排泄をしてしまうことがあります。

また、同じように野生の中では、排泄の後は他の動物に自分の場所を知られないように、排泄の臭いを隠したがる性質もあります。そのため、寝る場所の近くにトイレがあり臭いが残っていると、やはりストレスを持ってしまい、安心して眠れず他の場所に排泄してしまうことがあります。

(3)病気が潜んでいるケース

成犬のトイレの失敗は、病気が原因になっていることもあります。例えば、”多飲多尿”という症状は、何らかの病気が原因で排尿量が異常に増えてしまい、トイレまで我慢できなくなることがあります。多飲多尿は慢性腎臓病など腎臓の病気、クッシング症候群や糖尿病などホルモンの病気、あるいは子宮蓄膿症といった生殖器系の病気など、様々な病気の症状として知られています(※)。

また、膀胱炎などで見られる“頻尿”という症状では、膀胱に尿が溜まっていないにも関わらず、何度もトイレに行ってしまう状態で、やはりトイレ以外の場所でも排尿してしまう原因となります。

一方で、排便の異常によってトイレを失敗してしまうこともあります。特に短時間の間に何度も排泄してしまう“大腸性の下痢”では、いわゆる形がなく、水のような下痢を繰り返し、トイレまで我慢できずに排泄してしまうことがあります。

あるいは、分離不安症などストレスを抱えている時にも失敗してしまうこともあります。

 

■トイレのしつけはまず病気がないことを確認してから!

成犬でもしつけは可能!? よくある「トイレの失敗」原因と対策を解説
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(1)まずは隠れた病気がないか診察を受けましょう

成犬での排泄問題の中でも、病気が隠れている場合、対処が遅れるとどんどんと重症化し、命に関わる状況に陥る危険性もあります。そのため、トイレの失敗が見られた場合は、その他の症状がないかしっかりと観察するようにしてください。

また、その他の症状を見逃してしまうリスクもあるので、できるだけ早い段階で動物病院を受診することをおすすめします。その際は、尿検査を行うことが多いので、来院する直前に尿や便を採取できると診察がスムースに進みます。もちろん排泄物を扱う際は、ゴム手袋やビニールの手袋をして直接触れないようにしてください。

(2)トイレや生活環境に原因がないか探してみる

トイレの失敗の原因が病気でない場合、一度トイレの環境、あるいは生活全体の環境を見直して、わんちゃんにストレスがかかっていないかを確認してみましょう。トイレをいつも特定の場所で失敗してしまう場合は、今のトイレの場所に問題がある可能性があります。場合によっては、一旦わんちゃんがトイレをしたい場所を実際のトイレを置いてしまうのも方法の一つです。

またベッドや食事場所とトイレの場所が同じところにある場合は、離してみるのも良いでしょう。その際は、それぞれの場所が、やはりわんちゃんにとって安心できる場所となるよう工夫してあげてください。またトイレはいつも清潔にするよう、ペットシーツなどはこまめに交換するようにしましょう。

高齢の犬の場合は、関節症など動きに問題を抱えている場合があります。そのような状態では、トイレに段差があると段差を越えられずに、排泄を失敗してしまうこともあります。なるべく段差がなくなるように工夫しましょう。

(3)しつけは成犬になってからでもOK!ただし正しいやり方で

子犬の頃に、しっかりとトイレトレーニングせずに成長してしまった場合でも、しつけのやり直しは可能です。もちろん、子犬の頃よりも時間はかかりますが、正しいトレーニング方法を実践すれば、ほとんどのわんちゃんはうまく適応してくれるでしょう。

可能であれば、信頼のおけるドッグトレーナーさんに出張してもらい、自宅でトレーニングを受けると良いでしょう。また、飼い主さんとわんちゃんのことをよく知っている、かかりつけの動物病院やトリミングサロンに相談してみるのも良いでしょう。

成犬でもしつけは可能!? よくある「トイレの失敗」原因と対策を解説
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成犬になってからのトイレの失敗は、病気が原因のこともあれば病気以外が原因となることもあります。何れにしても、人間と暮らしていく中で大きな問題となりますので、成犬だからしつけは無理、と諦めるのではなく、きちんと対応してあげましょうね。

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【参考】

※ 石田卓夫著(2008)『伴侶動物の臨床病理学』チクサン出版

【画像】

※ Javier Brosch, Marsan, Zayats Svetlana / Shutterstock

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