※2020年5月18日情報更新
わんちゃんの被毛は犬種によってさまざまです。トリマーさんは飼い主さんの要望を聞き、わんちゃんの毛質や長さ、骨格、雰囲気、生活環境、飼い主さんのライフスタイルなどを総合的に見て、更には安全面にも十分に配慮した上で被毛のカットをしています。トリマーさんの知識と技術、経験によって、みなさんの愛犬の素敵なカットスタイルが生まれているのです。
しかし、なかにはセルフカットを取り入れている飼い主さんもいるのだとか。セルフカットはわんちゃんに事情があるときは有効ですが、安易に行うとケガに繋がってしまいます。
今回は愛犬のセルフカットの注意点と、家で出来るお手入れ法を3つご紹介します。
目次
■自己判断セルフカットは危険が伴う
トリミング後しばらくして愛犬の被毛が伸びてくると、セルフカットをする飼い主さんがいます。「少しくらいのカットなら難しくないだろう」と思われるかもしれませんが、セルフカットはハサミやバリカンを使用するので、わんちゃんにケガなどのリスクが伴うものです。
毛玉を切ろうとして皮膚も一緒に切ってしまった、もしくは、スリッカーやバリカンの使い方を誤ってケガをさせたなどの理由で、慌てて動物病院に駆け込んでくる飼い主さんがいます。
セルフカットで愛犬に痛い思いや怖い思いをさせるのであれば、カットを頼む段階でトリマーさんに気になる点を伝えましょう。目の上の毛が鬱陶しくなるのが嫌であれば、「目の上が重くなるので、カットは短めにお願いします」と遠慮せずに伝えることです。
そうすれば、トリマーさんが飼い主さんの注文に合わせたカットスタイルを考えて、提案してくれます。細かく的確に伝えれば、セルフカットは必要なくなります。イメージしているスタイルの画像があれば、持っていくようにしましょう。
■トリマーに相談して不安を解消
シーズー、マルチーズ、プードルなどのカット犬種とは違い、チワワやダックス、ポメラニアンなどのグルーミング犬種(被毛がそれ以上伸びない種類)の場合、毎回バリカンをかけてしまうと、被毛が元の長さに戻らなくなる可能性があります。
「夏場、暑そうだったから」という理由でバリカンをセルフでかけ、後になってトリマーさんから「被毛の状態が元に戻らないかもしれない」と聞いて、ショックを受ける飼い主さんもいるのだとか。
そのようなことを避けるためにも、セルフで行う前に、必ずトリマーさんに相談することをオススメします。もし、少しでもわからないことや不安があれば、トリマーさんに任せるのが安心です。
■トリミングセミナーを活用しよう
高齢や社会性がなくて外が苦手というわんちゃんの場合、飼い主さんが簡単お手入れを自宅でした方がわんちゃんにとって負担が少なくなることもあります。
そのようなわんちゃんの飼い主さんにぜひ利用して欲しいのが、トリミングセミナーです。トリミングサロン、動物病院などでもセミナーを開催しているところが増えてきています。
ご自宅でお手入れをするのなら、プロのトリマーさんから愛犬に必要なお手入れの方法を学んだ上で、実践されることをおすすめします。
トリミングセミナーを受けられないという飼い主さんは、普段から通っているペットショップや動物病院のトリマーさんにお手入れ法を相談しましょう。どの程度のお手入れならしてもいいか、また、やり方についても、わかりやすくアドバイスしてくれるはずです。
■お手入れの際に気をつけてほしいこと
お手入れを行う際に一番大切なのは、わんちゃんの気持ちです。愛犬の“声”に耳を傾けて、よく聞いてあげましょう。飼い主さんによるお手入れを、嫌がってはいませんか?
わんちゃんにとってトリミングは、一生付き合っていくものです。「痛い」「怖い」などの恐怖心を植え付けてしまうと、この先ずっとそのこにとってトリミングが苦痛な時間になりかねません。
恐怖心があると、トリマーさんがトリミングしようとしても、パニックになってしまうこともあります。
愛犬をトリミング好きにするためには、「○○ちゃんお利口だね〜」「きれいになったよ」など、やさしく話しかけながら、作業を進めましょう。くれぐれも、体を押さえつけたり、叱ったりしながらのお手入れはしないでください。
飼い主さん自身が少しでもお手入れに不安がある、もしくは、愛犬に嫌がるしぐさが見られたときには、無理せずにトリマーさんを頼りましょう。
■お家でできるお手入れ3つ
目頭、目の上、足裏のお手入れについてご紹介します。ただし、目頭、目の上など顔周りのお手入れについては、危険を伴うため、十分な注意が必要です。わんちゃんのなかには、お手入れ中に突然動いてしまい、飼い主さんが誤って目や舌を切ってしまうこともあります。
お手入れを行う際ですが、ペットのお手入れ用のハサミとスキバサミ、コーム、スリッカーを準備します。目頭、目の上の被毛は、切れ味が柔らかくて失敗が少ないすきバサミで行います。また、足裏に使用するバリカンは、コンパクトなものを準備して、足裏に使用しましょう。
スリッカーは毛玉をほぐす際に使用しますが、ピンが鋭いので使用法を間違えると、わんちゃんがケガをしてしまいます。毛玉をほぐすときは優しく、毛先から少しずつ毛をほぐしていきましょう。くれぐれも、毛の根元から引っ掻くように使用しないでください。
わんちゃんが少しでもお手入れを嫌がる場合は、絶対に無理して行わないことです。わんちゃんの安全のためにも、お散歩のついでにトリミングサロンに寄って、トリマーさんにお願いしましょう。
(1)目頭のお手入れ
目の周辺の被毛が長いと、その毛が目に入って涙やけを起こすことがあります。その場合、被毛をカットすると涙やけ予防になります。
まずはコームで目頭の毛を立たせます。毛を立たせた状態で、ハサミの背中を目頭につけてハサミを動かします。顔を固定するためにハサミを持っているのとは反対の手で、あごの下の毛をやさしくつまむようなイメージで手を添えます。
(2)目の上のお手入れ
トリミングからしばらく経過して、目の上の被毛が重くなってきたときのお手入れ法です。
目の上の毛流をチェックします。目の上の被毛部分を前に出し、出てきた毛だけを毛の流れに沿ってカットしていきます。ハサミは大きく開くと危険なので小さめに開き、少しずつ被毛をカットしましょう。
顔を固定させるために、ハサミを持っているのとは反対の手で、あごの下の毛をやさしくつまむようなイメージで手を添えます。
(3)足裏のお手入れ
足裏の被毛がパッドにかかっているときのお手入れです。関節が悪い場合は、無理しないこと。わんちゃんの無理のない高さまで脚を上げ、飼い主さんが顔の位置を下げるようにします。
足は上から手で持ち、必ずバリカンを肉球にピッタリくっつけた状態で動かします。床に掃除機をかけるようなイメージで行ってください。パッドの内側に生えている毛は家ではカットせず、トリマーさんに任せましょう。
■トリミングを学べる専門学校
愛犬のお手入れをきっかけにトリミングに興味を持ったら、本格的に学んで仕事にするのも良いですね。
『東京コミュニケーション専門学校ECO』では、2年制のペットトリマー&エステティシャン専攻があります。トリミング演習やトリミング理論はもちろんのこと、動物看護学、ファンデーション(動物の体の仕組みや健康管理について学ぶ)などのカリキュラムがあり、実際にお客様の接客やオーダーに合わせたトリミング技術なども学ぶことが可能です。
また、コンテストへの参加、ECOグルーミング検定A・B級、ECOアニマルコーディネーターなどの資格取得も目指せますよ。
愛犬のためにも、飼い主さんはトリマーさんと良好な関係を築き、お手入れで困ったときには、すぐに相談できるようにしておきましょうね。
<取材協力>
佐藤未来(さとうみく)
トリマーで『東京コミュニケーションアート専門学校ECO』の非常勤講師。
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【画像】
※ siamionau pavel, Gladskikh Tatiana, Africa Studio, Liliya Kulianionak, Imcsike / Shutterstock
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