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【獣医師執筆】猫って暑くないの?暑さに対する「仕草」と対策を獣医師が解説!

西原克明

獣医師
西原克明

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【獣医師執筆】猫って暑くないの?暑さに対する「仕草」と対策を獣医師が解説!

猫も人間と同じように暑さを感じ、梅雨時期以降の暑くなる時期は、熱中症のリスクが高くなります。そこで今回は、猫の暑さに対する仕草とその対策についてお伝えします。

■猫は人間よりも暑さが苦手

猫って暑くないの?暑さに対する「仕草」と対策を獣医師が解説!
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人間は暑さを感じると、汗をかくことで体温を下げることができます。これは汗によって体の表面に水分が付着し、蒸発するとき気化熱が体の熱を奪うため、結果として体温が下がります。

一方で、猫はほとんど汗をかかないとされています。実は、汗を分泌する汗腺は肉球にあるくらいで、そのほかの皮膚にはわずかしかないのです。そのため、暑くなっても汗で体温調節ができず体温が下がりにくいため、人間よりも熱中症にかかりやすい動物と言えます。

■呼吸が速くなったら暑がっている目安

猫って暑くないの?暑さに対する「仕草」と対策を獣医師が解説!
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猫は汗以外で、どのような仕組みで体温を下げているのでしょうか。

実は暑い時の猫の体温調節は、主に「呼吸」によって行われています。動物が吐き出す息の中には、体温と同じ温かさの水分が含まれています。これが人間にとっての汗と同じ役割、つまり体から熱を奪って外に出す役割をしてくれます。ただし、人間の汗は全身から出るのに対して、呼吸の水分はあくまで肺や気管を通って口から出るだけなので、やはり汗による体温調節よりは効率が悪く、体温調節には時間がかかります。

猫は暑さによって体温が上がると、呼吸が速くなります。呼吸を早めることで、息による熱交換を頻繁に行い、なるべく早く体温を下げようとします。呼吸が速くなると、私たち人間が運動後に口を開けて肩で息をするのと同じように、猫も口を開けて呼吸をするようになります。

また、場合によっては舌を出しながら呼吸することもあるのですが、猫は普段は滅多に口を開けたり、舌を出した状態で呼吸をしたりしません。そのような仕草が見られた時は、熱中症に限らず体調不良の兆しなので、なるべく早く動物病院を受診するようにしてください。

 

■涼しい場所に行きたがる場合も注意して

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猫は呼吸以外だと、冷たいものに体をくっつけることで体温を下げる仕草をすることがあります。たとえば、自宅の中でも日が当たらないフローリングの床に寝そべっていたり、風通しの良い場所で休んでいたりすることがあります。

ただし、慢性腎臓病で体調を崩している高齢猫や、熱中症にかかってしまった猫などでは、暑い場所から動けなくなっていることがあります。必ずしも、“涼しい場所へ移動しない”=“暑さは問題ない”とは言えないので、注意が必要です。

■空調管理と猫自身の生活スタイルを大切に

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暑さに対する体調管理は、熱中症予防のためにも非常に大切です。ただし、家の中で生活する猫の場合、そのスタイルはさまざまです。たとえば、猫が部屋の隅や押入れの中、布団の中など、風通しの悪い場所で休んでいると、暑い日に風通しを良くしても猫がいるスペースの気温が下がらず、暑さがこもることがあります。やはり、少しでも熱中症のリスクを下げるためには、エアコンをしっかりといれてあげると良いでしょう。

なかにはエアコンを入れると逆に寒がるのでは、と考える飼い主さんもいらっしゃいます。反対に、猫にとっては涼しい空間にある布団が過ごしやすい温度になっています。

猫がいつも過ごす部屋の中で、ある程度自由に体温調整ができるスペースを設けてあげると良いでしょう。

■熱中症かも?と思ったら早めに動物病院へ!

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猫は人間よりも暑さに弱い動物なので、生活空間の温度調節には注意してあげてください。猫は暑くなると、呼吸が速くなります。さらには口を開けて呼吸したり舌を出して呼吸したりすることもありますが、それらの状態は猫にとってかなりしんどい状態ですので、早めに動物病院を受診するようにしてください。

  

※ 本サイトにおける獣医師および各専門家による情報提供は、診断行為や治療に代わるものではなく、正確性や有効性を保証するものでもありません。また、獣医学の進歩により、常に最新の情報とは限りません。個別の症状について診断・治療を求める場合は、獣医師や各専門家より適切な診断と治療を受けてください。

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