みなさんの愛猫は、好きな食べものやお気に入りの場所がありますか? いつもひょうひょうとしているねこちゃんですが、好きなものにはとことん興味を示しますよね。好きだと認識したものについては、記憶としていつまでも覚えているのかもしれません。
そこで今回は、ねこちゃんの“記憶力”について、事例を交えてご紹介します。
目次
■猫はすぐに忘れる!?
“猫は3日たったら恩を忘れる”と言うことわざがあります。昔からねこちゃんはすぐに忘れると考えられてきました。記憶力が弱いと思われてきたのですね。
ねこちゃんを飼っている方のブログなどを見ていると、下記のようなねこちゃんの記憶力に関する記事がありました。
・300キロ離れた所から自宅に帰ってきた。
・猫は怖い体験をした場所には行かない。
このような事例があると、本当にねこちゃんは記憶力が弱いのかと疑問に思います。
そう、実はねこちゃんの記憶力は、わんちゃんよりも良いという見解があるのです! さっそく解説をしていきましょう。
■猫の知能はどのくらい?
動物の知能について研究し、それを指数として表した“脳化指数”というものがあります。脳化指数は、体重と脳の重さの割合を数値にしたもので、下記の通りです。
・人間=7.4~7.8
・チンパンジー=2.2~2.5
・カラス=1.25
・犬=1.2
・猫=1.0
脳化指数だけで見ると、ねこちゃんとわんちゃんの差はそれほどありませんね。
■記憶力には4種類ある!
記憶には、感覚記憶、短期記憶、中期記憶、長期記憶の4種類があり、その種類により保存期間が異なります。
(1)感覚記憶
視覚、聴覚、触覚、嗅覚等、感覚による記憶で、1秒程度で消失します。
(2)短期記憶
外から得た情報を受け入れ、それを覚え込む記憶で、数10秒から数10分保持されます。 例えば、電話番号を覚えるのが当てはまります。知らない人の電話番号は、その時は覚えていても、1時間もすると忘れていますよね。
(3)中期記憶
短期感覚で記憶した中で、興味のある情報は一時的に貯蔵されます。その記憶を長期記憶にするのかどうかが判断されるまでの記憶で、1時間~1ヶ月程度保持されます。
(4)長期記憶
一時的に貯蔵されている記憶のうち、情報の意味を解釈したり、他の情報と関連付けが行われたりした記憶(連想記憶)で、数時間~生涯保存されます。
■猫は特に短期記憶力が優れている!
ねこちゃんの記憶力について、アメリカである実験が行われました。エサを入れた箱だけにランプを点灯し、この中にエサが入っているということを最初に理解させます。
そして、「いつまで覚えていられるか?」をねこちゃんとわんちゃんに実験した結果、わんちゃんは5分経過すると忘れてしまったのに対して、ねこちゃんは“16時間後”でも覚えていたのだそう。なんと、わんちゃんの約200倍です。
■猫の「短期記憶力」は人間の20倍!?
ねこちゃんの記憶能力の実験は、過去に多く行われてきました。その結果、短期記憶については人間の20倍も優れているということです。ねこちゃんはかなり長い時間記憶できるのですね。
ただし、これは覚える対象がねこちゃんの興味を引くもの(大好物のごはん)のときだけだったそうで、興味の無いものに対しては、わずか10秒程度しか覚えていられなかったそうです。
この実験から、ねこちゃんは無関心なものはとことん忘れる、そもそも覚える気がないということが分かります。人間でも同じことが言えそうですね。
■猫の長期記憶はどうなの?
興味のあることや、印象的な出来事に関してとなりますが、ねこちゃんも長期間しっかりと記憶しています。
ねこちゃんはもともと、野生時代はわんちゃんのように群れで生活するのではなく、単独で生活していました。そのため、自分の身は自分で守らねばなりません。
自分の身を守るための最大の興味(関心)は、いかに“危険”に気づくかです。そしてそれを記憶しておくことが重要です。
ねこちゃんは怖かったことや嫌だったことに関しては、執拗に覚えていると言われています。しかも、これは短期ではなく長期に渡り(というか一生)覚えているという話も聞きます。まさに、単独で生きていくための力ですね。
人と生活しているねこちゃんは、爪切りや掃除機などを危険と認識することで、その姿を見ただけで逃げてしまいます。これは長期記憶によるものと言えますね。
■そんなに賢い猫はなぜ芸をしない?
「わんちゃんはおすわりやお手など、色々な芸を覚えることができるのに、なぜねこちゃんはできないの?」素朴な疑問ですよね。
色々調べると、ねこちゃんは“あえてしないだけ”のようです。わんちゃんは忠誠心があるので、飼い主さんに言われたことを実行しようとするのですが、ねこちゃんは芸に対して興味が薄いのですね。
しかし、白井春香先生の記事“楽しくお手入れしよう!愛猫に実践したい「ハズバンダリートレーニング」”にあるように、興味のある食べ物などを使ってトレーニングをすることもできますよ。
ねこちゃんの記憶について理解していただけましたか? 飼い主さんが愛情を注いで育てれば、ねこちゃんはいつまでも飼い主さんのことを覚えていてくれると思います。
飼い主さんがねこちゃんにとっての安らぎの場所になるといいですね。
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