皆さんは、ねこちゃんがお腹を見せて寝ている姿を見たことはありますか? リラックスしているかのような無防備な姿に思わず撫でてしまいたい気持ちになりますが、撫でてしまっても大丈夫なのでしょうか?
ねこちゃんがお腹を見せるときの気持ちについて、獣医行動診療科認定医の筆者が解説いたします。
■猫が示すボディーランゲージの意味
ねこちゃんのボディーランゲージは、わんちゃんとはちょっと違います。わんちゃんは相手をなだめるような「服従行動」が発達している動物ですが、ねこちゃんは相手とばったり出会ったときに争わないようにするための「回避行動」が発達している動物です。
ねこちゃんは単独生活をするリビアヤマネコを祖先にもつと言われていますので、相手に合わせてなだめるような行動は必要がなく、回避する行動が発達したわけです。わんちゃんとは違ったボディーランゲージの意味を持つこともありますので注意が必要です。
■お腹を見せている猫の気持ちは?
お腹を見せた「ヘソ天」は、弱点をさらしている状態になります。弱点も見せちゃう状態のねこちゃんの行動理由として、一般的に考えられていることを3つご紹介します。
(1)最高にリラックスしている
恐怖や不安を抱えているねこちゃんは、身をかがめてギュッと小さくなる傾向があります。このようなときは筋肉も固くなっており、弱点を見せるようなことはありません。弱点であるお腹を見せているということは、不安や恐怖を感じていない、最高にリラックスしている行動だといえます。
我が家のねこちゃん1頭は、ヘソ天でよく寝ていることがあります。近くに子供たちがいても、わんちゃんが通ってもへっちゃらです。しかし、神経が細やかな性格のもう1頭のねこちゃんは、どんなにリラックスしてもお腹は出しません。大らかな性格も影響しているのでしょうね。
(2)体調が良好である
お腹を見せて寝られるということは、体調が良いという証拠にもなると言われています。痛みや苦痛を感じているのであれば、このような行動を示すことはできません。健康のバロメーターにもなりますね。
(3)遊びの延長で寝転んでいる
ねこじゃらしやぬいぐるみなどのおもちゃ遊びに夢中になってくると、一瞬ではありますがお腹を見せながらキックしたりすることもあります。ただ、寝ている時とは違い、短時間の動作になります。
■お腹を出したときの注意点
「お腹を出す=撫でてほしい」と思う方もいるかと思います。しかし、ちょっと待ってください! お腹を見せているのは「なだめ行動」でも「服従行動」でもない場合が多いです。つまり、単純に“リラックスしている”という行動であることが多いでしょうから、“人間に撫でてもらいたい”という欲求ではないことを理解してあげるとよいでしょう。
お腹を出していたので撫でたら、噛まれた、キックされた、引っかかれた……などのご報告も少なくありません。「リラックスしていて最高に幸せなのね」と見守ってもらえることが、ねこちゃんにとっても最高の幸せ時間を演出してくれるエッセンスになると思います。
※ 本サイトにおける獣医師および各専門家による情報提供は、診断行為や治療に代わるものではなく、正確性や有効性を保証するものでもありません。また、獣医学の進歩により、常に最新の情報とは限りません。個別の症状について診断・治療を求める場合は、獣医師や各専門家より適切な診断と治療を受けてください。
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