近年はクラウドファンディングを活用し、夢を実現させる方が増えています。2019年12月、愛知県豊川市に「保護猫カフェtormenta(トルメンタ)」をオープンした益田凌平さんも、そのひとり。大学在学中にクラウドファンディングを成功させ、動物の命を救う仕事に就くという夢を実現させました。
今回は、オープンまでの道のりやお店に込められた思いなどを益田さんに直撃しました。
■動物の命を救うため「経営学部」へ進学
もともと動物の命を救いたいという思いが強かった益田さんは、獣医師になることを夢見て猛勉強。しかし、高校3年生のときに受けた大学の面接時に「健常な犬を殺し解剖して授業を行いますが耐えられますか?」と言われ、心を揺さぶられました。
益田さんは動物の命を助けるために獣医師になりたいという想いが強かったため、そうした状況に耐えられないと思い、獣医師の夢を断念。自分が思い描いている気持ちを形にできる事業をしようと考え、急きょ進路を変更し、中部大学の経営学部へ進学しました。
進学先の大学で目の当たりにしたのは、厳しい野良猫の現状。当時、学内には数年以上前から野良猫が住みついており、教員や生徒たちがお世話をしていましたが、適切な管理はできていない状況だったそう。大学側もそんな状況を改善したいと考え、野良猫を適切に管理できるプロジェクトを考案。
ついにうちの大学にも猫サークル(プロジェクト)が立ち上がった!!!
— 保護猫カフェtormenta (@neko_tormenta) April 6, 2018
もちろん参加します!#猫サークル #保護猫 #野良猫 #ちゅぶねこ #中部大学 #ねこかつ #猫好きさんと繋がりたい pic.twitter.com/TDIZaToB9P
この募集を目にした益田さんは、担当教員に直談判し、「ちゅぶねこ」の初代代表に。学内で暮らす野良猫たちを守る仕組みを考案しながら、病気や怪我の治療に励んだりTNR(地域猫活動)を行ったりしました。
#ちゅぶねこ #中部大学 #猫好きRT #春から中部 #春から中部大学 pic.twitter.com/NOTc2YaCVW
— ちゅぶねこプロジェクト【公式】 (@Chubuneko) March 19, 2019
こうした活動を継続していった結果、「ちゅぶねこ」は「全国大学猫シンポジウム」に参加できるほど大きな団体に成長。このシンポジウムは、京都大学や立命館大学、早稲田大学などの各大学の猫サークルに所属している人々が集まり、サークルとしての決めごとや問題点、失敗例などを話し合い、猫の命を守れる仕組みを共有しようというもの。「2019年には中部大学でこのシンポジウムを開催することができ、感慨深かったです」(益田さん)
「ちゅぶねこ」は立ち上げ当初、20人ほどのメンバーしか集まりませんでしたが、今では倍の40人に。「初めはひとりで背負い込み、いっぱいいっぱいになっていましたが、活動を通して人に頼る大切さを学べました」(益田さん)
益田さんの思い切った進路変更は結果的に、多くの猫たちを救ったよう。彼の想いが凝縮された「ちゅぶねこ」の今後の活動にも注目していきたくなります。
■夢を実現するため県内外の猫カフェを視察
保護猫カフェを建てるため、益田さんは大学1年生の時から県内外のさまざまな猫カフェを視察し、構想を練っていたそう。
視察と称して猫カフェに行ってきました(*´ー`*)
— 保護猫カフェtormenta (@neko_tormenta) March 8, 2018
保護猫カフェでこんなに人懐っこいのはなぜだろう…
お店の雰囲気やレイアウト等々勉強になることばかりでした! pic.twitter.com/rJaZMabxXy
大学在学中に店舗経営に踏み切ることへの葛藤は、全く無かったといいます。「内定をもらって辞退すると企業に迷惑がかかると思ったので、就活は全くしませんでした。それに、逃げ道を作ると逃げてしまうとも思えたので」(益田さん)
とは言え、クラウドファンディング中は本当に達成できるだろうかという不安を抱いたことも……。大学卒業後、フリーターになる覚悟を背負った上での挑戦でした。
しかし、熱意が伝わり、新聞局やラジオ局が益田さんの挑戦に注目。その結果、見事、目標金額を達成することができたのです。「お店に全力を注ぎたかったので、卒業に必要な単位は3年生までに取得しました。クラウドファンディングが終了してから、オープンに至るまでには1年ほどかかりましたね。学生だと信用が得られないので、地元の起業支援ネットワークには本当に助けられました」(益田さん)
■温かい雰囲気に癒される「保護猫カフェtormenta」
動物の命を救いたい―。ずっと抱いていたその想いを形にした「保護猫カフェtormenta」は益田さんの人柄がにじみ出ている、温かいお店。
いくつかの保護猫ボランティアさんと提携、猫を受け入れています。「団体さんのケージの空きを少しでも作りたいですし、猫たちには当店でお客様から愛でられることで人馴れしてほしいと思っています」(益田さん)
お店にいる猫たちは人懐っこい子が多く、お客さんと遊んだり膝の上で眠ったりと自由奔放な姿を惜しみなく見せてくれました。
広々とした店内を猫たちは自由に行き来。接客に疲れた子はいつでも自由に猫専用ルームへ行き、休憩をとることができます。
なお、益田さんは譲渡時に猫が病気を持っているか分からないと、万が一病気が発覚した時に飼い主さんが辛い思いをしてしまうため、血液検査やワクチン接種など済ませてからの譲渡を考えているよう。今後は、新たな取り組みも始めたいと意欲も燃やしていました。
「当店は今後、猫ちゃんを譲渡した後もサポート出来るように、ペットフードの販売やペット葬儀の斡旋にも力を入れていこうと考えています」
動物と真剣に向き合っているかっこいいたくさんの大人たちが応援してくれたから、今がある。そう語る益田さんは「当店の魅力は、人懐っこくてかわいい猫たちです!」と目尻を緩ませていました。
かわいい猫たちと一緒におもちゃで遊びたい、スリスリされてみたいという憧れを抱いている方はぜひ、お店でくつろぎのひと時を過ごしてみてください。
<店舗情報>
保護猫カフェtormenta
住所:愛知県豊川市大木町中曽根320-2
TEL:0533-81-8359
アクセス:【電車の場合】三河一宮駅より徒歩約20~25分
【車の場合】豊川インターから約5分
営業時間:10:00~19:00(最終受付18:00)毎週月曜日定休
駐車場:12台(なるべく乗り合わせてご来店下さい)
公式サイト:https://t.co/iDISszM3Sq?amp=1
Twitter:https://twitter.com/neko_tormenta
インスタグラム:https://www.instagram.com/catcafe_tormenta/
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