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【獣医師執筆】知ってることが重要!チワワの飼い主が知っておきたい病気4選

吉本翔

獣医師
吉本翔

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【獣医師執筆】知ってることが重要!チワワの飼い主が知っておきたい病気4選

20201023日情報更新

近年、国内の人気犬種として上位に位置するチワワ。無邪気で遊び好き、甘えたがりの性格、用心深く繊細な側面などが人気の理由ではないでしょうか。体格も小柄で比較的扱いやすく、飼育しやすい犬種の一つですよね。

一方、そんな人気を誇るチワワには、かかりやすい病気がいくつか知られています。そのような病気をあらかじめ知っておくと、大切な我が子が万が一病気になったときにも対策しやすいと思います。

そこで今回は、チワワにかかりやすいといわれている病気(※1)をいくつかご紹介します。

 

■チワワが好発犬種であるといわれている病気

チワワの病気
出典:https://pixta.jp/

(1)僧帽弁閉鎖不全症(そうぼうべんへいさふぜんしょう)

犬の心臓は、右心房、右心室、左心房、左心室の4つの部屋に分かれていますが、僧帽弁は左心房と左心室の間に存在します。正常であれば僧帽弁は、血液を一方向のみに流れるように機能しています。しかし、僧帽弁閉鎖不全症の犬では、僧帽弁がしっかりと閉まらず血液が逆流してしまっています。

この病気は、聴診や画像検査(レントゲン検査や超音波検査)によって診断できます。中高齢のチワワでは、比較的多くみられる病気ですので、定期的に動物病院に受診されることをおすすめします。

(2)水頭症(すいとうしょう)

頭蓋骨の中には、脳だけでなく、脳脊髄液(のうせきずいえき)と呼ばれる液体があります。脳脊髄液は、わずかに存在している程度なのですが、水頭症の犬ではこの脳脊髄液が過剰に貯留している状態になっています。過剰となった脳脊髄液が脳自体を圧迫することで、運動障害や意識障害などの症状を示します(※2)。

(3)環軸不安定症(かんじくふあんていしょう)

哺乳類には、基本的に首に頸椎(けいつい)といわれる骨が7つあります。一番頭側にある骨を環椎(かんつい)、二番目を軸椎(じくつい)と言います。本来、環椎と軸椎はしっかりと固定されているのですが、環軸不安定症ではその固定が緩くなっていて、不安定な状態となっています。頸椎の中を通っている脊髄を傷つけ命を脅かす恐れもある怖い病気です。

(4)気管虚脱(きかんきょだつ)

気管は、喉から肺へと続く、空気の通り道です。通常、気管は丸い筒のようになっていますが、気管虚脱になるとその筒がひしゃげた形になります。空気の通り道が狭くなり、症状としては咳がみられることがしばしばあります。

『獣医内科学』では、ガチョウの鳴き声のような“ガーガー”という咳が特徴的であるとされています(※2)。チワワをはじめとする小型犬で発生が多いと言われています(※1)。気管虚脱の犬では、肥満が症状を悪化させる原因になりますので、体重管理をしっかりとするように気をつけましょう。また、首輪が気管に負担がかかり、咳を誘発することがありますので、ハーネスの利用をおすすめします(※2)。

 

■健康上の注意

チワワでよくみられる病気をいくつか挙げましたが、これらの病気は遺伝的な素因が絡んでくるものも多く、発症を予防することは難しいかもしれません。

しかし、早期に診断して適切に治療を行うことで、症状を緩和したり進行を遅れさせることができる病気もあります。病気の早期発見のために、普段からおしっこやうんちに異常はないか、歩き方がおかしくないかなど、愛犬の様子を丁寧に観察するよう心がけましょう。

 

■食事・運動で注意すること

チワワの病気
出典:https://pixta.jp/

健康な犬は総合栄養食に分類されるフードをあげれば、基本的に問題はありません。しかし、適正な量のご飯と運動量を心がけ、体重管理は飼い主さんがしっかりとしましょう。肥満は、気管虚脱をはじめ、様々な病気を悪化させる原因になりますので、太りすぎには注意しましょうね。

 

今回は、チワワに発生が多い病気をいくつか紹介しました。しかし、これらはあくまでチワワに好発する病気の一部です。犬も人と同じく、様々な病気にかかりますので、日々の観察を心がけ何か異変があれば動物病院に行くようにしましょう。

※ 本サイトにおける獣医師および各専門家による情報提供は、診断行為や治療に代わるものではなく、正確性や有効性を保証するものでもありません。また、獣医学の進歩により、常に最新の情報とは限りません。個別の症状について診断・治療を求める場合は、獣医師や各専門家より適切な診断と治療を受けてください。

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【参考・画像】

※1 Alex Gough, Alison Thomas, Dan O'Neill,「Breed Predispositions to Disease in Dogs and Cats (3rd edition)」

※2 日本獣医内科学アカデミー編「Text book of VETERINARY INTERNAL MEDICINE 2nd edition(獣医内科学 第2版 小動物編)」(文永堂出版)

※ lienjp, 小川奈峰, seiko / pixta

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