※2020年6月26日情報更新
あなたは犬の“目やに”がひどいなと思ったことはありませんか?
犬はよく“目やに”を付けていますよね。しかし、日によって粘度が違ったり、色が違ったりということを感じたこともあるはず。言葉が話せない犬にとって、目も健康状態を表す大切な器官のひとつなのです。
今回は、そんな健康指標となる犬の“目やに”について獣医師の筆者がご紹介します。
■「目やに」とは
結膜や角膜から分泌される粘液や涙に、結膜や角膜の古くなってはがれ落ちた上皮細胞などが混ざったものを通称”目やに“と呼んでいます。
健康であっても、朝起きた時に少量の乾燥した“目やに”がついていることがあります。結膜や角膜に炎症が起こると、目やには白血球や菌の死がいなどが混ざって黄色っぽい色となり、粘稠(ねんちょう)性をもち、量も増えます。そしてこのような目やにがつくときの多くは結膜の充血を伴います。
■「目やに」の原因となる目の病気
目やにの主な原因となる、目の病気を解説します(※1)。
(1)結膜炎
結膜は角膜とともに直接外界に接触していますので、いつもさまざまな攻撃と戦っている場所といえます。細菌、ウィルス、アレルギー、異物などが原因で結膜に炎症が起こると充血や浮腫もみられます。
(2)角膜炎
細菌、ウィルス、逆さまつげなどが原因で炎症がおこると、角膜は白濁し角膜周辺は充血します。多くは痛みを伴い、症状が進行すると角膜潰瘍(かくまくかいよう)を起こします。
(3)眼瞼内反症
自分の毛を眼結膜に巻き込んでしまい、角膜炎や角膜潰傷を起こすことがあります。ほとんどが遺伝性で、ブルドッグ、ラブラドールレトリーバー、コッカースパニエル、秋田犬などに多発します。
(4)眼瞼外反症
主に下瞼が反転して結膜表面の粘膜が一部露出している状態です。ブルドッグ、コッカースパニエル、ビーグルなどに多発する遺伝性疾患です。
(5)全身性の病気
細菌やウィルスによる全身感染症の場合や、高齢犬で免疫力が落ちてきた時に目やにが増えてきます。目やにで上下の瞼がくっついてしまい、瞼が開かなくなることもあります。
■目やにをケアする方法2つ
(1)お家でできるケアの場合
コットンをぬるま湯でぬらして、そっと拭き取ってください。取れにくいからといって、爪でゴリゴリこすってしまうと、鼻涙管の開口部などを傷つけてしまいますのでやめましょう。
なお、目薬を使うときは、犬用の刺激のないものを使いましょう。
(2)病院での治療が必要な場合
目やにの量が多かったり、膿状であったり、充血、痛みを伴うようなら、動物病院での治療が必要です。目やにの原因はいろいろあり、それぞれを治療する点眼薬の種類も違います。
内服薬の投与が必要なこともありますので、獣医師さんの指示を受けてください。
いつも犬の目がいきいきと輝いていられるように、毎日目やにの量や色、目の充血などのチェックをお忘れなく!
※ 本サイトにおける獣医師および各専門家による情報提供は、診断行為や治療に代わるものではなく、正確性や有効性を保証するものでもありません。また、獣医学の進歩により、常に最新の情報とは限りません。個別の症状について診断・治療を求める場合は、獣医師や各専門家より適切な診断と治療を受けてください。
【関連記事】
※ 「愛犬が吐いちゃった…」原因と病気を理解して元気に過ごそう!
※ 鼻がカサカサ…そのままで大丈夫?「犬の鼻が乾燥する原因」を解説
※ あなたの愛犬は大丈夫?意外と多い「わんちゃんの椎間板ヘルニア」
【参考】
※1 小野憲一郎 他 著『イラストでみる犬の病気』講談社
※2 長谷川篤彦 監修『犬の診療最前線』Inter Zoo
※ beers13 / PIXTA, Phanuwat Yoksiri / Shutterstock
戻る
みんなのコメント