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【獣医師執筆】ただの換毛期じゃないかも…!飼い主さんが気をつけたい犬の皮膚病5つ

西原克明

獣医師
西原克明

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【獣医師執筆】ただの換毛期じゃないかも…!飼い主さんが気をつけたい犬の皮膚病5つ

犬の抜け毛が増えてくると、単に「換毛期なのかな」と考えてはいませんか?

実は犬の抜け毛は、換毛期の生え替わり以外にも様々な原因があるんです。中にはかゆみが伴ったり湿疹が出てしまったり……と、意外な病気が隠れている可能性もあります。

今回は獣医師の筆者が、そんな犬の抜け毛が関係する病気についてご説明します。

■換毛期の抜け毛と病気の抜け毛はどう違うの?

換毛期の抜け毛、病気の場合に起こる抜け毛には明確に違いがあります。

換毛期は、毛が抜けた後にもほとんどの場合、すでに次の毛が生えているのですが、病気の場合は、抜けた後に生えてこない、さらには湿疹やかさぶた、かゆみや赤みなどの異常が見られます。

病気の場合は、次のことが原因だと考えられます。

 

■犬の抜け毛で注意したい5つの原因

出典:https://www.shutterstock.com/

(1)ノミやマダニなどの寄生虫

犬にとって注意が必要なのがノミやマダニなどの寄生虫です。

ノミは他の犬や猫と接触することで感染します。ノミは寄生によるかゆみだけでなく、犬の体質によってはノミアレルギー性皮膚炎といった皮膚病になることも。

一方、マダニは草むらに入ることで感染します。特に秋に見られるマダニは、非常に小さな幼ダニが寄生し、強いかゆみを引き起こします。

こうしたノミやマダニは、駆虫薬を使うことで比較的簡単に駆除できます。また、予防にも駆虫薬が使えますので、日頃から感染しないようにしてあげることがおすすめです。

ただし、同じダニの仲間でもヒゼンダニと呼ばれるダニが寄生することもあります。ヒゼンダニは疥癬(かいせん)とも呼ばれ、目に見えない小さなダニですが、非常に強いかゆみを引き起こし、さらには犬同士の接触で感染してしまう、非常に厄介な皮膚病を引き起こすダニです。

ヒゼンダニも駆虫薬を使うことで皮膚病の治療は可能です。しかし、マダニの駆虫よりも時間がかかるため、その間に他の犬へ感染しないようにするなど、厳重な管理が必要になります。

(2)アレルギー

犬も人間と同じように、食べ物やハウスダストなど、様々な物質によってアレルギーが引き起こされます。アレルギー性皮膚炎は、そんなアレルギー反応によって、皮膚が炎症を起こし、抜け毛やかゆみが見られるようになる皮膚病です。

また、アレルギー性皮膚炎のほとんどが細菌感染も併発することがあり、抜け毛やかゆみをよりひどくしてしまいます。

アレルギー性皮膚炎は今のところ完治させる方法がなく、かゆみ止めや抗生物質を使う対症療法を行います。また場合によっては、免疫を改善させるインターフェロン療法や減感作療法(げんかんさりょうほう)を行うこともあります。

さらには、アレルギー用の療法食やサプリメントを使った栄養管理、薬用シャンプーや保湿剤を使ったスキンケアを行うことも重要です。

このように、アレルギー性皮膚炎のケアは、様々な方法を組み合わせて行う必要があります。

(3)脂漏症(しろうしょう)

脂漏症(しろうしょう)とは、皮膚や被毛がベタベタしたり、逆に皮膚がカサカサしてフケがたくさん出てしまう状態で、皮膚を構成する脂質成分の異常によって引き起こされる症状です。

脂漏症には、ベタベタするタイプの脂漏症と、カサカサするタイプの脂漏症があります。いずれも抜け毛に加えて、かゆみや湿疹が出たり、体臭がきつくなったりして皮膚病を発症します。

脂漏症もアレルギー性皮膚炎と同じく、完治が難しいので、薬や食事療法、スキンケアなどを組み合わせた治療を行うことが多いです。

(4)ホルモン異常

犬の抜け毛の原因には、ホルモン異常によるものもあります。

特に抜け毛が見られる犬のホルモン異常の病気には、甲状腺機能低下症やクッシング症候群(副腎皮質機能亢進症)が多く、性ホルモンの異常でも見られます。

これらのホルモンは、皮膚や毛の代謝に影響を与えるので、代謝が変化した結果、毛が抜けてしまうのです。さらに抜け毛以外にも様々な症状が見られるようになります。

治療については、それぞれのホルモン分泌異常に対して、薬でホルモンを補充したり、逆にホルモン分泌を抑えたりします。また、ホルモン分泌異常が腫瘍(がん)によるものの場合、外科手術を行うこともあります。

(5)ストレス(心因性皮膚炎、舐性皮膚炎)

犬は、精神的なストレスを受け続けると、手足を舐めるようになることがあります。舐めることでストレスを解消しているのですが、それによって皮膚病を起こしてしまい、抜け毛やかゆみが見られるようになります。

対策としては、塗り薬や、舐めさせないようにエリザベスカラーを装着したりしますが、やはり根本的には、原因となっているストレスを改善することが大切です。

 

犬の抜け毛は、換毛期以外にもノミやダニといった寄生虫、さらにはアレルギー、ストレスなど様々な原因で発症します。

いずれも対策が遅れると皮膚病を発症し、犬にとっても負担が大きくなってしまいます。日頃からスキンシップやブラッシングの中で、皮膚や抜け毛の異常がないかこまめにチェックし、問題がある場合には、早めに動物病院に相談するようにしましょう。

 

※ 本サイトにおける獣医師および各専門家による情報提供は、診断行為や治療に代わるものではなく、正確性や有効性を保証するものでもありません。また、獣医学の進歩により、常に最新の情報とは限りません。個別の症状について診断・治療を求める場合は、獣医師や各専門家より適切な診断と治療を受けてください。

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※ Joerg Huettenhoelscher / Shutterstock

 

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