人だと“腰が痛い”という症状を訴えるケースが多い“椎間板ヘルニア”。実はわんちゃんにも存在する病気なのです。
ただ、わんちゃんの場合だと症状の現れ方が様々なので、見逃すことも少なくはありません。
そこで今回は、よくある部位である“腰”の椎間板ヘルニアについてお話します。
■そもそも「椎間板」ってなに?
背骨は首からしっぽまで、たくさんの“脊椎(せきつい)”と呼ばれる骨がつながって形成されています。それぞれの脊椎の間には“椎間板”という、弾力のあるやわらかいクッションのような物質がはさまっています。
一つ一つの椎間板はひらべったい形の構造をしています。弾力のある部分“線維輪(せんいりん)”が、中心部分”髄核(ずいかく)”の周囲を囲み成り立っています。
そして、この椎間板が並行して走っている脊柱管内の神経に物理的圧迫を起こすことで、症状が出始めるのです。
■椎間板ヘルニアには「2タイプ」ある
椎間板ヘルニアには“HansenⅠ型”と“Ⅱ型“、2つのタイプがあります。
(1)HansenⅠ型
Ⅰ型は繊維輪内の変性した髄核が神経を圧迫。軟骨異栄養性犬種に多発する傾向(ミニチュアダックス、フレンチブル、ビーグルなど)。
(2)HansenⅡ型
Ⅱ型は繊維輪が変性し圧迫。非軟骨異栄養性犬種に多発する傾向(T・プードル、パピヨン、レトリバー種など)
どこの部位に発生しやすいかというと、胸椎の12椎体から腰椎の2椎体目までと言われており、わんちゃんで言う、ちょうど“背中の真ん中部分”にあたります。
■症状のグレードは「5段階」ある
症状としては、“5つの段階”にグレード分類されています。
グレードⅠ・・・まずは背中の痛み、そして歩きたがらない、丸まっているなどか
ら始まります。
グレードⅡ・・・ふらふらと足に力が入ってないような状態で歩きます。
グレードⅢ・・・進行すると歩行不可能になります。
グレードⅣ・・・完全に足が麻痺し、尿や便をしづらくなります。
グレードⅤ・・・最後には完全に足の麻痺が進み、痛覚もなくなる状態です。
グレードⅠにおいては、内科治療で経過を見ます。治療法をしては痛みを取る治療を施しますので、ステロイドや非ステロイドを使用する薬剤や抗炎症系の薬を使用します。
グレードⅡ以上は、内科治療よりも外科手術の方が回復率が良いと言われていますが、内科治療に置いても改善しているケースも筆者は経験しています。
ただ、内科治療は再発する可能性も秘めており、実際に一度ヘルニアを起こしたケースは、他の部分もヘルニアになりやすい傾向があると思われます。
椎間板ヘルニアは症状が出てからすぐに治療する事により改善する比率も上がります。
時間が経過すればするほど、麻痺が残ったり歩けなかったりすることがあるため、早期発見早期治療が大切と言えます。
※ 本サイトにおける獣医師および各専門家による情報提供は、診断行為や治療に代わるものではなく、正確性や有効性を保証するものでもありません。また、獣医学の進歩により、常に最新の情報とは限りません。個別の症状について診断・治療を求める場合は、獣医師や各専門家より適切な診断と治療を受けてください。
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