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日本レスキュー協会に取材!「災害救助犬」を生む訓練とは

奥平望

ライター
奥平望

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日本レスキュー協会に取材!「災害救助犬」を生む訓練とは

地震や台風、土砂崩れなど災害で行方不明になっている人を捜索する“災害救助犬(レスキュードッグ)”。捜索活動には極めて慎重な判断が要求されるため、災害救助犬は特別な訓練を毎日行っています。

今回は認定NPO法人『日本レスキュー協会』に取材を行い、災害救助犬の訓練方法や支援の形をお聞きしました。人命救助を使命とし、過酷な現場で働く災害救助犬。果たして、私たちには何ができるのでしょうか?

※ 使用している写真はすべて現場での写真です。心を痛める方もいらっしゃるかと思うので、心してご覧ください。

■「災害救助犬」とは?

日本レスキュー協会に取材!世界トップレベルの「災害救助犬」を生む訓練とは
出典:日本レスキュー協会

災害救助犬とは、地震や台風、土砂崩れなど災害で行方不明になっている人を捜索するために、特別に訓練された犬のことです。優れた嗅覚で行方不明者のニオイを察知し、全壊・倒壊した建物の下敷きになった人を捜索します。

災害救助犬は山岳の多いスイスで生まれたと言われており、古くから山岳での遭難者を救助するために活躍してきました。40名以上の遭難者を救出したというセントバーナード“バリー”の活躍は、今なお語り継がれています。

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出典:日本レスキュー協会

災害救助犬が行う人命救助を使命とした捜索活動は、極めて慎重な判断が要求されます。そのため、各国それぞれ独自の訓練方法を編み出し、災害救助犬の育成を行っています。

日本レスキュー協会も、アメリカ合衆国連邦緊急事態管理庁『FEMA』から講師を呼び、災害救助犬の標準化に向けて取り組んでいます。

■災害救助犬の育成・派遣は支援者からの寄付で成り立っている!

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出典:日本レスキュー協会

今回取材したのは、兵庫県伊丹市に拠点を構える、認定NPO法人日本レスキュー協会です。同協会では、現在“J”と“ホープ”の2頭の災害救助犬が現役で活動しています。まずは、同協会の3つの活動について見てみましょう。

・災害救助犬の育成・派遣

災害救助犬がいつでも出動できるように、毎日欠かさず訓練を行っています。また、緊急災害時には国内外を問わず災害救助犬を派遣して、救助活動を行っています。

現場で足の裏をケガしないように、災害救助犬用のブーツを常に携行しています。ブーツは、足の裏の保護というメリットがある反面、爪が使用できないことにより滑ってしまったり、引っかかってしまったり、また熱がこもってしまったり、というデメリットがあり、災害現場の状況によってハンドラーがブーツを履かせるか否か判断します。

災害救助犬にとって捜索は“遊びの延長“であり、楽しみながら行っています。捜索が災害救助犬にとって少しでも負担になったり、ストレスがかかったりしている場合は、担当ハンドラーがリタイアなどの判断をします。

・セラピードッグの育成・派遣

高齢者や認知症の方、自閉症の方、被災者に対して、心のケアと体のリハビリを行うセラピードッグ。日本レスキュー協会では、単に心のケアを目的としたふれあい活動にとどまらない、様々なニーズに応えられるセラピードッグの育成・派遣を行っています。

・動物福祉・保護・愛護活動

ペットの殺処分の現状を踏まえ、日本レスキュー協会は“アニマルウェルフェア(動物福祉)”を推進して、殺処分される犬や猫を生まない社会環境を作るための活動を行っています。また、保護されたペットの里親(ライフパートナー)を常時募集しています。

災害救助犬の育成・派遣を行う日本レスキュー協会は、国や自治体など公的機関からの資金の援助はほとんどないため、支援者からの寄付金で成り立っています。

1頭の災害救助犬を、1年間育成するのにかかる費用は100万円。もし国からの援助があれば、災害救助犬の頭数が増え、救われる人も増えるのに……。そう思わずにはいられません。

■訓練方法や実際の救助方法を取材!

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出典:日本レスキュー協会

テレビで見たことや聞いたことはあるものの、災害救助犬について詳しく知っているという人は多くはないでしょう。そこで、日本レスキュー協会の災害救助犬トレーナーを務める髙木美佑希さんにお話を伺い、訓練方法や実際の救助方法を教えていただきました。

―災害救助犬の訓練方法や訓練場、訓練期間について教えてください。

訓練は、基本的な服従訓練や離れた場所でも指示が聞けるようにする遠隔訓練、高所訓練、瓦礫などでの捜索訓練を行っています。訓練場は、日本レスキュー協会敷地内の訓練場や、消防など他の機関の訓練施設を利用します。

訓練期間は個体によって差はありますが、基本的には23年です。

―実際に救助する時は、どのような方法で助けるのですか?

人の汗や息のニオイを嗅ぎ取り、人を見つけると吠えて知らせます。人を捜索し、発見するまでが災害救助犬の役目です。

―災害救助犬は元保護犬もいると聞いたことがあるのですが、どんな犬が災害救助犬に向いているのですか?

救助犬に向いている犬としては、大前提として“人が好き”であることが求められます。また、何に対しても“好奇心旺盛”な犬が向いていると考えられています。

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出典:日本レスキュー協会

―育成のモットーなど、ありましたら教えてください。

犬も人も“楽しく”訓練が出来るように工夫しています。難しいことをするのではなく、それぞれの犬のレベルに合わせて少しずつステップアップさせ、できることを増やしていきます。

―他のはたらく犬との違いや、災害救助犬の特徴などはありますか?

災害救助犬になるには、その犬の持っている性格と育つ環境が大きな要素となります。そのため、適正があれば大きさや犬種は問いません。

―災害救助犬といえば大型犬のイメージがありますが、“大型犬でなければならない”ということはないのですね! 

次に、災害救助犬の心のケアについて教えてください。人命救助を使命とするならば、その分災害救助犬は救えなかった命も目の当たりにしていると思うのですが……。

そうですね、特別なことは実施していません。災害現場には、犬と指導主(ハンドラー)のペアで派遣します。指導主は危険物・気温・捜索時間など、活動中に犬が怪我や病気、過度なストレスが掛からないように、十分注意を払って活動しています。

人を捜し、見つけることに喜びを感じる災害救助犬にとって、被災地でなかなか行方不明者を見つけられない場合は、ストレスを感じることはあるかもしれません。

そういう時は、作業したことに対して指導主が十分に褒め、ご褒美を与え、リフレッシュさせることもあります。

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出典:https://www.shutterstock.com/

―引退した災害救助犬は、里親である“リタイアウォーカー”の元で暮らすと聞いたことがあります。リタイアウォーカーになるための条件を教えていただけますか?

救助犬の場合、8歳ごろに引退します。8歳といっても訓練などで筋肉もついていて、一般の大型犬よりもまだまだ体力があります。

そのため、大型犬の飼育経験があり、十分な散歩ができることが条件になります。そして、リタイアウォーカーを希望する方と犬の相性などを考慮し、最終的には担当のハンドラーが判断しています。

―災害救助犬のために何かできないかと考えているのですが、支援にはどのような方法があるのでしょうか?

日本レスキュー協会のHPから寄付していただくこともできます。また、ふるさと納税や本やCD、お家に眠るお宝などでも支援できます。詳しくは、日本レスキュー協会のHPをご覧ください。

―最後に、読者のみなさまへ一言お願いします!

災害救助犬の育成派遣には、国や地方自治体等からの支援はほとんどなく、支援者の方々からの寄付金で成り立っています。有事の際に迅速に対応できるよう、みなさまのご支援をどうぞよろしくお願いいたします。

人の命を救うために、日々訓練を続ける災害救助犬やスタッフの方々。想像以上に少ない数のスタッフさんで犬のお世話や訓練を行っていることや、国や自治体からの支援はほとんどないこと、現役で活動する災害救助犬が2頭いるのに、あまり知られていないこと……。

災害救助犬についてあまりに無知だった筆者は、働く犬に敬意を表す意味を込めて現状を知る努力をしようと思います。

寄付というと気が引けてしまいますが、家に眠るお宝でも支援できます。ふるさと納税は5,000円から受け付けており、お礼の品として日本レスキュー協会オリジナルグッズがもらえます。

頑張りやさんの災害救助犬のためのできること。「私にできることはなんだろう」まずは考えることから、始めませんか?

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【取材協力】

日本レスキュー協会

 【画像】

※ 日本レスキュー協会

※ hxdbzxy / Shutterstock

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