※2020年9月17日情報更新
わんちゃんが高齢になると、疾患が増えるのは仕方ありません。しかし、なかには若いときに遺伝性の疾患が現れてくることもあります。
今回は、目が見えなくなったわんちゃんの飼い主さん2名に、どのように暮らしているか伺いました。わんちゃんに疾患があり悩んでいる方、そうでない方も、ぜひ参考にしてください。
◼︎1:ルールを決めて生活しやすいように工夫する
飼い主さんの名前・・・つくしママさん
愛犬の名前・・・つくし(ボストン・テリア/保護犬のため推定10歳以上♂)
つくしちゃんの目が悪くなったのは、今から2年ほど前のこと。最初は視野が狭くなった様子でしたが、徐々に進行していったとつくしママさんは言います。
「目が白く濁ってきたのが、最初の変化でした。すぐに掛かりつけの動物病院で診てもらったところ、“白内障”という診断でした。視野が狭くなってよく物にぶつかるようになり、今年の3月になると、トイレにたどり着けず粗相をするようになったんです。それで、つくしが完全に視力を失ったのがわかりました」
診察の結果を受けて手術も考えたそうですが、つくしちゃんの年齢と持病に心臓疾患(僧帽弁閉鎖不全症)があることから、断念したのだとか。
そこで、つくしちゃんがなるべく生活しやすいように、生活の見直しを行ったそう。
「つくしのための生活ルールを考えて、実践しています。トイレや水飲み場所を変えない、リビングのテーブルの位置を部屋の端にずらす、食器がずれないように食事終了まで見守る、食後はすぐトイレに連れて行く、1時間半おきにトイレに連れて行く、朝・昼・晩の3回は水飲み場に連れて行く、つくしが自由に動けるように段差のないスペースを2箇所作る、外出時はオムツをするといった内容です。
実は、つくしは白内障の他に、耳と鼻の機能も落ちてきています。それだけでなく痴呆の症状も出てきたので、私が手助けできるところはしてあげています」
視力を失っても、お散歩は欠かさずに行っていると言う、つくしママさん。それには、痴呆への効果も関係しているのだとか。
「お散歩のときは、つくしをカートに乗せて広い場所まで連れて行き、リードを着けて歩かせています。真っ直ぐ歩かずにクルクル回るようになったら、カートに乗せて移動します。カートに乗せての散歩でも、外に出ることは犬の脳に刺激になると聞いたので、必ず連れて行くようにしています」
耳は聞こえにくくなってはいるものの、つくしちゃんと意思の疎通は図れているそうです。ただ、目が見えるうちから教えておいた方が良かった、と思うこともあるのだとか。
「障害物にぶつかりそうになると『ぶつかる!』と声を掛け、喉が渇いている様子が見られたら『お水飲む?』と聞いて、舌を出してペロペロすれば水飲み場に連れて行くようにしています。
この2つの言葉は理解できている様子なのですが、"右・左”と"前・後ろ”については理解できていません。視力を失うと言葉による指示が重要になるので、目に障害が表れる前から教えておけばもっと快適に暮らせていたかもしれません。
目は悪くなりましたが、私はつくしが嬉しそうにしているのを見るのが大好きです。健康面での心配はありますが、これからも楽しく、つくしと生活していきたいです」
すべての犬がそうというわけではありませんが、場合によっては視力を失う子もいます。つくしママさんがおっしゃるように、元気なうちに準備できることをやっておくのは愛犬のために必要なことかもしれません。
◼︎2:犬同士の助け合いの心に不安が薄らいだ
飼い主さんの名前・・・大川昇一さん、佐知子さん
愛犬の名前・・・プリン(パグ/12歳♂)、クッキー(ヨークシャ・テリア/12歳♂)、かりんとう(パグ/9歳♂)、おこし(パグ/6歳♂)、こんぺいとう(パグ/3歳♂)
プリンちゃんの目が見えなくなったのは、5歳のある日。午前中は見えていたのが、夜になっておやつをあげようとしたら見えなくなっていたのだとか。突然の出来事だったと、大川さんは当時を振り返ります。
「少し見えにくくなっているとか、何も兆候がなかったです。ある日のこと、夜になっておやつをあげようとしたら、プリンの反応は明らかに目が見えていないようでした。それですぐに、掛かりつけの動物病院にプリンを連れて行ったんです。
でも、そこでは結果が出ず、再度設備の整った専門的な病院で診てもらう必要があるということで、大学病院への紹介状を書いていただきました。大学病院での検査の結果、両目の遺伝性網膜萎縮で失明という診断でした。妻は、診断結果を聞いて号泣していました。
失明するなんて思ってもみなかった出来事だったので、どうやってプリンと暮らして行けばいいか考えましたね。病院からは、家具の位置を変えないように指導されたので、そのようにしています」
突然の失明で、プリンちゃんはケージから出ることもせず、ごはんも食べに行けない状態だったとか。そんなプリンちゃんの状況を見て行動したのが、共に暮らしているヨーキーのクッキーちゃんだったそうです。
「プリンの目が見えなくなったのが、クッキーにはわかったんでしょうね。プリンのケージの中に入って、自分の顔でプリンのおしりをトントンと合図して、ごはんに誘ったんです。それにプリンも反応して、ケージから出て来たんです。ケージからごはんを食べる場所までは、クッキーが先導してプリンを連れて行きました。
犬同士の結び付きの強さと助け合いに、驚いた瞬間でしたね。今では、パグのおこしがプリンをごはんに誘う役割をしてくれています」
獣医師から生活の注意点を聞いたものの、不安は拭えなかったと大川さんは言います。しかし、犬同士で助け合いながら生活している様子を見て、不安な気持ちが薄れていったそうです。
「診断を聞いたときは、正直、不安が大きかったです。でも、クッキーがプリンを補助している姿を見て希望が見えました。私たち飼い主が四六時中一緒にいて手助けすることが必要かと思っていたのですが、プリンは目が見えなくなっても嗅覚はしっかりしているので、トイレも自分で行けるし、リビングの家具にぶつからないように生活できています。
また、散歩もクッキーたちと一緒に、スムーズに歩いて行くことができています。階段を降りるのも、とても上手いんですよ。プリンの仕草がとても自然なので、目が見えないことに気付く人はほとんどいません」
大川さんは、パグが集まるイベントの企画・主催を行っている。同犬種の飼育者同士、情報交換を行っているのだとか。
「目のことに限らず、犬を飼っていて何かしら不安を抱えている人は多いと思います。一人で抱え込むと、どうしても悪い方に考えてしまいがちですよね。飼い主さん同士の情報交換の場としても、同犬種のイベントを行う重要性を感じています。
みなさんも同犬種の犬仲間を作って、困ったときは相談し、情報を共有することをオススメします」
突然愛犬の目が見えなくなっても悲しみにくれるのではなく、今までと変わらない生活に近づけてあげるのはとても大切です。
また、同じ犬種を飼っている人とのSNSでの交流、オフ会への参加などは全国各地で開催されています。もちろん楽しいだけでなく、愛犬のことで困ったり悩んだりしたときの心の助けにもなるので、上手に活用してみてくださいね。
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