わんにゃコラム

【獣医師執筆】犬の得意は脳で決まる!犬種による脳構造の違いと得意分野の関連について

吉本翔

獣医師
吉本翔

いいね 1

【獣医師執筆】犬の得意は脳で決まる!犬種による脳構造の違いと得意分野の関連について

20201226日情報更新

皆さんは、どのくらいの数の犬種を知っていますか? 同じ犬といっても、犬種によって見た目がさまざまで面白いですよね。現在、国内における犬の多くはペットとして飼われていることが多いですが、歴史的に見ると、番犬、狩猟犬、牧羊犬など、犬種ごとに人間社会との関わり方が決まっていました。

今回取り上げるテーマは、犬種ごとの得意分野の違いです。どのようにして犬種が生まれたのか、犬種ごとの人間社会との関わり方の違い、犬種ごとの得意分野と脳の構造との関連についてお話したいと思います。

■犬種は全部で◯◯種類!

犬の得意は脳で決まる!犬種による脳構造の違いと得意分野の関連について
出典:https://www.shutterstock.com/

犬の祖先はオオカミといわれており、オオカミが犬へと進化したのは2~4万年以上前と考えられています。ただ、犬といっても、チワワのような小さい犬からグレート・デーンのような大きい犬までさまざまですよね。

犬の品種(犬種)とは、犬という種を、チワワやグレート・デーンのようにさらに細かく分類したものを言います。現在、世界には700~800もの犬種があると言われていますが、国際畜犬連盟によって公認犬種として登録されているのは、およそ350種類です。

 

■犬種が増えていったワケは?

犬の得意は脳で決まる!犬種による脳構造の違いと得意分野の関連について
出典:https://www.shutterstock.com/

数百種類にもおよぶ犬種がありますが、これほどまでに犬種が生まれたのはどうしてでしょうか。その答えはずばり、人間のニーズです。

犬は、嗅覚、脚力など人間よりも優れた能力がいくつもあります。人間にとっては難しい仕事も、犬であれば簡単に成し遂げることがあります。世界各地で人間のニーズを満たす能力を持った犬になるよう繁殖が繰り返され、次第に犬種として確立されてきたのです。

たとえば、シベリアンハスキーは、極寒な土地で雪ぞりができるように、寒さに強く強靭な肉体を持っており、これが人間の生活に大きく貢献してきました。

 

■犬種は10種類のグループに分かれる

犬の得意は脳で決まる!犬種による脳構造の違いと得意分野の関連について
出典:https://www.shutterstock.com/

ジャパンケネルクラブや国際畜犬連盟によると、犬種は形態や用途に応じ10種類に分類されています(※1・2)。その10種類のグループとは、(1)牧羊犬・牧畜犬、(2)使役犬、(3)テリア、(4)ダックスフンド、(5)原始的な犬・スピッツ、(6)嗅覚ハウンド、(7)ポインター・セター、(8)ポインター・セター以外の鳥猟犬、(9)愛玩犬、(10)視覚ハウンドです。

グループごとによって、人間の生活における役割が異なります。たとえば、(1)の牧羊犬・牧畜犬は、羊などの家畜の群れを誘導したり保護したりするための役割を持ち、ボーダーコリーなどがこのグループに属します。(2)の使役犬は、番犬や警護のための役割を持ち、土佐犬などが属します。そのほか、(9)の愛玩犬は、家庭用の犬で伴侶や愛玩のための役割を持ち、チワワなどが属します。

■犬種ごとに脳は異なる発達をしている!

犬の得意は脳で決まる!犬種による脳構造の違いと得意分野の関連について
出典:https://www.shutterstock.com/

犬の脳の構造は、以下6種類のネットワークに分けて考えることができるそうです(※3)。

・ネットワーク1:意欲や報酬に関わる部位。中脳辺縁系報酬システム。

・ネットワーク2:嗅覚や味覚に関わる部位。

・ネットワーク3:行動、眼の動き、空間ナビゲーションに関わる部位。

・ネットワーク4:社会的行為、意思疎通に関わる部位

・ネットワーク5:恐怖、ストレス、心配に関わる部位

・ネットワーク6:嗅覚、視覚に関わる部位

興味深いことに、犬種ごとに脳の構造は異なります。たとえば、愛玩犬に分類される犬種ではネットワーク4が発達し人間とのコミュニケーションが得意だったり、嗅覚ハウンドに分類される犬種ではネットワーク2が発達し嗅覚が優れていたりします。身体つきが犬種によって異なるのは明らかですが、実は脳の構造自体も犬種間で異なり、人間社会での役割に応じて発達している部分が異なるようですね。

今回は、犬種がどのようにして生まれたかに始まり、犬種ごとの得意分野や役割の違い、犬種間で身体つきだけでなく脳の構造なども異なる点についてなど、盛り沢山の内容をお話しました。皆さんが飼っている犬種が歴史的にどのような役割を持っていたのかを調べてみてはいかがでしょうか。より愛犬の得意分野を知る良いきっかけになるかもしれません。

 

※ 本サイトにおける獣医師および各専門家による情報提供は、診断行為や治療に代わるものではなく、正確性や有効性を保証するものでもありません。また、獣医学の進歩により、常に最新の情報とは限りません。個別の症状について診断・治療を求める場合は、獣医師や各専門家より適切な診断と治療を受けてください。

みんなのわんにゃ

【関連記事】

目からウロコ!飼い主さんに知ってほしい犬の「行動心理」の基礎知識

 私の愛犬、ごはんを食べるのが遅いかも…?その裏に隠れている秘密に獣医師が迫る

 愛犬の「よだれ」に注目してみて!考えられる病気と対処法について

※ 当たり前だけど実は知らない!? 犬がペロペロする「舐める」行動の心理について

獣医師特集

【参考】

※1 国際畜犬連盟

※2 一般社団法人 ジャパンケネルクラブ

※3 Erin E. Hecht,Jeroen B. Smaers,William J. Dunn,Marc Kent,Todd M. Preuss and David A. Gutman(2019)"How humans have shaped dogs' brains,”Society for Neuroscience

【画像】

※ Anna Hoychuk,Jim Cumming,ANURAK PONGPATIMET,S1001,Erik Lam / Shutterstock

   

この記事に付けられているタグ

いいね 1