【獣医師執筆】目からウロコ！飼い主さんに知ってほしい犬の「行動心理」の基礎知識｜記事｜わんにゃ365

わんちゃんは、当然のことながら人間の言葉を話すことはできません。しかし、わんちゃんの行動をよく観察することで、私たちはさまざまな感情を知ることができます。

今回は、飼い主さんにぜひ知ってもらいたい、筆者が考える基本的なわんちゃんの行動心理をご紹介します。

■犬の「ストレスサイン」の基本

目からウロコ！飼い主さんに知ってほしい犬の「行動心理」の基礎 — 出典：https://www.shutterstock.com/

ストレスサインとは、その名の通り、わんちゃんがストレスを感じているときのサインです。油断すると見逃してしまうくらい軽度なものもありますので、普段からよく観察しておくようにしましょう。

主なストレスサインとして考えられる行動は、以下の通りです。

・あくびをする

・耳を後ろに倒す

・口を開けてハッハッと呼吸（パンティング）をする

・鼻を舐める

・舌舐めずりをする

・後ずさりをする

・体を舐める

・体を掻く

・ブルブルと体を振る

わんちゃんによっては、これらの行動が反対にストレス解消になることもあるようなので、数回でケロッとしているようならば、そのまま見守っていいでしょう。あまり飼い主さんが過敏に反応しすぎると、かえってわんちゃんのストレスになったり、飼い主さんがかまってくれたと思って、余計にその行動を繰り返すようになったりすることもあります。

また、ストレスサインの中には、食欲不振や嘔吐、下痢といった、体に不調として直接関わるサインや、震える、吠える、攻撃的になるなど、深刻なサインもあります。

まずはストレスサインなのかどうかを見極め、ストレスの原因が分かったら、出来る限りその原因を回避し、少しずつ慣らす練習をすることが良いでしょう。そして、体調不良などの異変を感じたら、まずはかかりつけの獣医師に相談してください。

■「尻尾を振る」「お腹を見せる」行動の意味

目からウロコ！飼い主さんに知ってほしい犬の「行動心理」の基礎知識 — 出典：https://www.shutterstock.com/

たとえば、散歩中にあなたのわんちゃんが、他のわんちゃんを見ながら尻尾を振っていたので、「遊びたいのかな」と思い近づけてみたら、ものすごい勢いで相手のわんちゃんに吠えかかった、といった経験はありませんか？　逆に、相手のわんちゃんが尻尾を振ってこちらを見ていたので、近づけたら吠えられたといったパターンもあるかもしれませんね。

もちろん、うれしいときにわんちゃんは尻尾を振るのですが、実はうれしいときだけではありません。単に興奮していたり、警戒したりしているときにも、わんちゃんは尻尾を振ることがあります。

それから、ゴロンとひっくり返ってお腹を見せる姿から、「撫でてもらいたいのかな」と思い、ついついお腹を触ってしまいがちですが、これも違う意味の場合があるので要注意です。撫でてほしいと要求しているときもありますが、場合によっては、「これ以上はやめて」「もう近づかないで」というサインのこともあるのです。これは、下位のわんちゃんが上位のわんちゃんに見せる行動で、急所であるお腹を見せることで、降参を意味しています。

これらの行動は、飼い主さんが意外と勘違いしやすい行動です。そのときの状況や、体全体が硬直しているなどといった他のサインと併せて判断するようにしましょう。

いかがでしたか。

もちろん、一つの行動にはいろいろな意味がありますので、前後の状況で判断することが良いでしょう。

たとえば、ストレスサインの項目で挙げた「体を掻く」や「体を舐める」などは、ストレスを感じたときに見られる行動ですが、皮膚に違和感（痒い、痛いなど）があるときにも見られる行動です。一つの意味にとらわれることなく、その行動が見られる頻度や程度なども併せて、よく観察してあげましょう。