みなさんは「フレーメン反応」という言葉を知っていますか？ねこちゃんがにおいを嗅いだあとに、ぽかーんとした表情をするのを見たことがある方は多いのではないでしょうか。これは「フレーメン反応」といって、ねこちゃんに限らずさまざまな動物でみられます。今回はねこちゃんのフレーメン反応についてお話しします。
■フレーメン反応とは
フレーメン反応とは、ねこちゃんがぽかーんと口を開けて一定時間止まる仕草のことをいいます。臭いに反応したときの生理現象で、唇を引き上げるような顔をするのが特徴的です。
愛猫が何かのニオイを必死に嗅いだあとに、口や目を半開きにして変な顔をするといった経験はありませんか？ねこちゃんだけでなく、わんちゃんや馬、虎もフレーメン反応をしますが、動物によって表情の見え方はさまざまです。
■どうしてフレーメン反応をする？
フレーメン反応は、フェロモンの臭いをかぎわける際に起こる反応です。フェロモンとは、同種の動物同士で情報を伝え合い、特有の行動を引き起こすニオイ物質でねこちゃんのフェロモンは顔周り、足先、お尻周りなどにある臭腺から出されます。
フェロモンは分子が非常に細かく、嗅ぎ取りにくい物質です。そのため、ねこちゃんは些細なフェロモンを感じ取ろうとしてヤコブソン器官（鋤鼻器じょびき）という嗅覚器官を使い、口を開くことでしっかりとした分析をしようとしているのです。つまりフレーメン反応とは、フェロモンの微細な臭いをかぎ分けようとする行為なのです。
ねこちゃんは、なわばりを意識して生活しています。そのため、いま自分がいる場所が安全かどうか常に調べる必要があります。ねこちゃんは自分のにおい（フェロモン）を嗅ぐことで、安全な場所であることを再度確認しているのです。
また、自分の知らない匂いを嗅いで自分に害がないか調べているときにもフレーメン反応をします。靴下などを嗅いで「ぽかーん」となった時も臭いからではなく自分に害がないか、安全なのかをチェックしています。
■フレーメン反応のメカニズム
ねこちゃんの上あごには２つの穴があり、鋤鼻器（ヤコブソン器官）という器官に繋がっています。ねこちゃんは、「フェロモンが付いているかも」と興味をもつと、口を開けて上あごの穴から鋤鼻器にニオイを取り込み、確認します。このときの顔が、ぽかーんと口を開けた変顔のように見えるのです。
鋤鼻器にフェロモンを取り込むと、そのフェロモンの持ち主の性別、発情の有無、年齢などの情報を分析することができるといわれています。
■どんなものに反応するの？
毛づくろい中に、自分の足やお尻のにおいを嗅いでフレーメン反応をするねこちゃんは多くいます。我が家の愛猫も、よく肉球周りのお手入れをしている時に「ぽかーん」となっています（笑）。また、同居ねこちゃんのお尻を嗅いで反応していたり、自分のにおいがいっぱいついたおもちゃや、寝床などもクンクンと嗅いでは「ぽかーん」となっています。
フェロモンの匂いの他にフレーメン反応を起こすのは人の足（靴下）や汗、ハッカ系のにおい。これらはねこちゃんのフェロモンの匂いに似た成分が含まれているので、ねこちゃんは「フェロモンがついているかも？」と興味を持ってにおいを嗅いでフレーメン反応をします。
ねこちゃんが匂いを感じ取る細胞の数は、人のおよそ2倍もあり、さらに匂いを嗅ぎ分ける能力は人の数万～数十万倍といわれています。フレーメン反応が見たいからと無理やり匂いを嗅がせるとねこちゃんにストレスを与えることになるので、無理強いはしないようにしましょう。
いかがでしたか？「臭いの？」と思っていたフレーメン反応がじつはねこちゃんにとって重要なフェロモンを嗅ぎ分けるための反応だったのですね。ユニークな表情を見た時に飼い主は思わず笑ってしまいますが、ねこちゃんは情報分析をしていると考えると、ねこちゃんを見る目も違ってきます。中には小さな反応しかしないねこちゃんもいるため、愛猫をしっかりと観察してみてくださいね。
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