みなさんは子犬を迎えたとき、どのようにしつけをしていますか? また、しつけと言えば、合図、トイレ、無駄吠え、甘咬みと、わんちゃんの様々な行動に対して行ないます。
そこで今回は、子犬を想定して“しつけのポイント”を解説します。
■「しつけの心構え」6つ
まず知っておきたいのが“しつけの心構え”です。まずは、下記の6つの事項を念頭に置いてください。
(1)犬より知性のある人間が暴力をふるってはいけない。
(2)しつけはゲーム感覚で楽しく行う。
(3)家族全員で、まったく同じことを実行する。
(4)行動の遺伝的側面はしつけにより完全には制御できないかもしれない。
(5)犬が安心できるサークルなどを用意する。
(6)飼い主の精神状態は安定していなくてはいけない。
■ケース別に解説!
それでは、個々のケースについてお話します。
(1)合図(まて、すわれなど)
短いフレーズで、家族間で言葉を統一することが重要。「まて」と「まてでしょ」は、わんちゃんにとっては違う言葉。また、わんちゃんは子音が聴き取りづらいと言われており、例えば「まて」と「たて」だと混乱する可能性があるので注意してください(※1)。
(2)トイレ
部屋全体にトイレシーツを敷きつめ、まずシーツに排泄する感覚を覚えさせます。1ヶ月ほどかけて、敷き詰めたシーツを1枚ずつ取り除き、最後のシーツの場所が、トイレの場所になるというわけです。
このとき、サークルを使ってもOKです。サークルにシーツを敷いて、同様に、寝る側と、トイレ側(シーツ側)を覚えさせます。
なお、幼犬の服従を示す排尿行為(おもらし行為)は、いずれなくなるので安心してください。
(3)無駄吠え
吠えることは自然な行為ですが、頻度に遺伝的な側面が見られます。コッカースパニエルは、10分間に900回も吠える記録があるそうですが、バセンジーはあまり吠えない犬種です(※2)。
成犬になったときの無駄吠えを、できる限り少なくするためにも、子犬期のしつけが重要です。子犬の無駄吠えは、恐怖、要求、退屈、興奮が主たる原因です。
恐怖の場合は、対象物を探して、おやつを用いながら慣らします。要求の場合は、必ず吠えるのがおさまって落ち着いてから要求に応えてください。
興奮の場合は、「まて」の合図で落ち着かせる訓練が重要です。退屈に関しては、仕事で留守が多い家庭や、サークルに閉じ込められているわんちゃんに多い現象で、最も対処が困難です。
(4)甘咬み
甘咬みを放置すると、人を咬んでもいいと覚えてしまいます。甘咬みに対しては、“されたときの対処”、“咬んでも良いものを玩具として教える”この2つが基本です。
・されたときの対処
甘咬みをされたら、瞬時に例えば「ダメ」と言って、子犬から離れて無視します。前記したように、言葉は家族間で統一します。
しつこい場合は、サークルに入れたり部屋から出たりします。甘咬みをすると、嫌なことが起こる(痛いではないですよ!)ことを徹底させて教えます。
・咬んでも良いものを玩具として教える
材質は必ずゴムで、飲み込めない大きさのものが重要です。甘咬みをされた直後に玩具を与えると、「咬むと玩具がもらえる」と学習してしまうので、注意してください。
さて、話は少々ずれますが、どんな人がよくわんちゃんに咬まれるか、という研究があります。それによると、神経質(社交性、協調性などをポイント化するTIPIスコアで評価)な人ほど、咬まれやすいそうです(※3)。
生涯にわんちゃんに咬まれるリスクは、1,000人中18.7人、54%が小児の時代だそうです(※3)。咬傷事故は、あってはいけないことですが、人間側にも原因がありそうですね。
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【参考】
※1 スティーブン・ブディアンスキー(2004)『犬の科学: ほんとうの性格・行動・歴史を知る』(渡植貞一郎訳)築地書館.
※2 アダム・ミクロン(2014)『イヌの動物行動学』(藪田慎司ほか訳)東海大学出版部.
※3 Westgahth C, et al. (2018). How many people have been bitten by dogs? J Epidemiology Community Health. 72(4), 331-336.
【画像】
※ takayuki, Lizardflms, Mary Lynn Strand, Valeriy Lebedev, llaszlo / Shutterstock
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