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【獣医師執筆】子犬の飼い主さん必読!行動学から見た犬の「離乳食」で大切なこと

白井春佳

獣医師
白井春佳

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【獣医師執筆】子犬の飼い主さん必読!行動学から見た犬の「離乳食」で大切なこと

子犬の歯が生え、離乳食から固形物の摂取ができるようになる時期は「社会化期」と呼ばれ、こころとからだがぐんぐん成長する時期です。わんちゃんはこの時期を通して、食べ物から多くのことを学びます。

獣医行動診療科の認定医である筆者から、離乳時期の食べ物から考える行動学的に大切なことについてお伝えいたします。

■離乳食から固形食へ移行する時期は?

子犬の飼い主さん必読!行動学から見た犬の「離乳食」で大切なこと
出典:https://www.shutterstock.com/

子犬に歯が生え始めるのは、生後3週齢ごろからといわれています。そのため、生後3~5週齢ごろになったら、離乳食から固形食に移行をしてあげたい時期です。

この時期は「脳の発達」つまり「こころの発達」が重要になる時期と同じスタートになります。「社会化期」と呼ばれる時期は、生後3~12週齢頃までといわれています。食べ物に対する嗜好性や好みに強く影響するともいわれています。

■はじめての固形食が行動に影響すること

子犬の飼い主さん必読!行動学から見た犬の「離乳食」で大切なこと
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初期に体験した味の経験が、重要であると結論づけた研究報告はいくつかあります。特定の味しか経験しない子犬は、食べ物に対する嗜好性が固定されるようになるという研究結果もあるようです。反対に、様々な味や舌触りのある食べ物を与えられると、はじめて目にするような食べ物を受け入れる行動が強くなるともいわれています。

食べ物にこだわりが強すぎたり、食べてくれなかったりするようなタイプのわんちゃんは、この時期の食生活をチェックしてみると納得いくことがあるかもしれません。

■離乳食から固形食にする時期で大切なこと

子犬の飼い主さん必読!行動学から見た犬の「離乳食」で大切なこと
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初期の時期に、一定の味や口当たりしか経験しない場合は、食べ物の嗜好性が固定化されてしまう恐れがあります。将来的に、処方食や別のフードへの切り替えなどが必要になることも予想されます。さらに“食べる”という行動は、本来行動欲求的には楽しみな行動の1つになります。楽しみな時間として食べ物を活用した遊びやトレーニングなどにも活用でき、ご家族との絆の形成や楽しい時間の演出が可能になります。

食べ物の固定化が強いことによって、“食べる”ことがわんちゃんだけでなくご家族のストレスになることも筆者は経験しています。「楽しく食べる!」という当たり前のような行動ではありますが、子犬時代の経験が強く関与していると考えられています。

ハッピーな食事は、「こころとからだ」の健康に直結するのではないでしょうか。そうだとすると、食事から幸せになる種を増やしていくことは、わんちゃんの幸せにつながる事だと考えられます。離乳期のわんちゃん達には、将来を考えた食事内容を検討してあげてくださいね。

 

※ 本サイトにおける獣医師および各専門家による情報提供は、診断行為や治療に代わるものではなく、正確性や有効性を保証するものでもありません。また、獣医学の進歩により、常に最新の情報とは限りません。個別の症状について診断・治療を求める場合は、獣医師や各専門家より適切な診断と治療を受けてください。

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【参考】

※1 C.Thorne(2000)『犬と猫の行動学』インターズー  

※2 森裕司・武内ゆかり・内田佳子(2012)『動物行動学』インターズー 

※3 ジェームス・サーペル(2009)『ドメスティックドッグ』チクサン出版 

【画像】

※ Natali Zakharova,demanescale,Gladskikh Tatiana,Ezzolo / Shutterstock

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