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あなたの愛犬は大丈夫?今すぐ実践したい「蚊・ノミ・ダニ」ワクチン以外の対策

吉本翔

獣医師
吉本翔

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あなたの愛犬は大丈夫?今すぐ実践したい「蚊・ノミ・ダニ」ワクチン以外の対策

春を迎え、ぽかぽかしてきましたね。人間にとっても犬にとっても快適な春ですが、これからますます暖かくなるにつれ、蚊やノミ・ダニなどの節足動物も増えてきます。蚊やノミ・ダニは、愛犬に対して有害であるため、対策を取らなければなりません。

そこで今回は、蚊やノミ・ダニの危険性や、これから飼い主様ができる蚊やノミ・ダニ対策について、獣医師の吉本翔先生に解説いただきました!

■なぜ蚊は有害なのか?

あなたの愛犬は大丈夫?今すぐ実践したい「蚊・ノミ・ダニ」ワクチン以外の対策
出典:https://www.shutterstock.com/

私たち人間にとって、蚊の吸血による痒みは非常に困りますよね。実は、蚊が動物にとって有害なのは、痒みを引き起こす点だけではありません。蚊は、次から次へと吸血を繰り返しますが、この際に様々な病原体を運びます。すなわち、蚊は感染症の運び屋なのです。

日本ではあまり馴染みがないかもしれませんが、世界的にはデング熱やマラリアなどの怖い感染症が蚊によって媒介されており、蚊の存在はとても問題視されています(※1)。

■フィラリア症(犬糸状虫症)について(※2)

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犬にとっても蚊は感染症の運び屋です。国内で最も問題となっている病気はフィラリア症でしょう。フィラリア症は、フィラリア(犬糸状虫:Dirofilaria immitis)という寄生虫による感染症で、フィラリアに感染した犬から吸血した蚊が、他の犬から再度吸血する際に感染が成り立ちます。

フィラリアの幼虫が犬の体内で成長し、最終的には肺動脈と呼ばれる部位で成虫となります。フィラリア症は、心臓や肺の機能異常をもたらし、早期にしっかりと治療をしないと命を落とすこともある恐ろしい病気です。

■フィラリア症の予防と対策(※2)

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命を脅かす恐れのあるフィラリア症。予防と対策には、(1)蚊の吸血を防ぐか、(2)フィラリア駆虫薬を投与するかの2つが挙げられます。実際は、蚊の吸血を完全に予防することはほとんど不可能なので、後者のフィラリア駆虫薬の投与が一般的であるとされています。

(1)蚊の吸血を防ぐ

蚊の吸血を防ぐ方法としては、洋服を着させてあげる、ペット用虫除けスプレー(犬に害のないもの)を使用する、蚊取り線香などを利用するなどが挙げられます。これらを組み合わせることにより、蚊の吸血を幾分かは減らすことができるでしょう。

(2)フィラリア駆虫薬の投与

一般的には予防薬とも呼ばれていますが、正確には予防薬というよりは駆虫薬です。蚊の吸血を介して犬の体内に侵入したフィラリアを薬剤によって死滅させます。フィラリア駆虫薬を投与することにより、体内でフィラリアが成熟することを防ぎ、フィラリア症の発症を予防することができます。

なお、一部の犬種(コリー種)では、フィラリア駆虫薬により副作用が強く出てしまうことがあるため注意が必要です。

■ノミの有害性とノミ対策(※2)

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ノミも蚊と同様に、犬の感染症(条虫症等)を媒介することが知られていますが、国内で大きな問題となっている病気は比較的少ないでしょう。ノミでしばしば問題となるのは、ノミ性アレルギー性皮膚炎です。

ノミアレルギー性皮膚炎は、その名の通りノミに対してアレルギー反応を起こしてしまい、皮膚に強い痒みを引き起こします。発疹や脱毛など皮膚に様々な問題を生じますので、飼い主さんも比較的すぐに気づけるでしょう。

その他のノミの害としては、大量のノミが子犬に寄生した場合に貧血を起こす可能性がありますが、適切に飼育されていれば滅多に起こることはないでしょう。

ノミは、2030℃の間で湿度が高い環境下で、活発に繁殖すると言われています。草むらの中などに好んで生息しているため、なるべく愛犬を草むらの中に入れないことが重要です。定期的なシャンプーを心がけ、身体を清潔に保ってあげましょう。

ノミの寄生を発見した場合には、動物病院に行きノミの駆除薬を処方してもらいましょう。

■ダニの有害性とダニ対策(※2・3)

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ダニも犬にとって厄介な節足動物です。単にダニといってもその種類は様々。マダニ、ヒゼンダニ、ニキビダニなど。ある種のマダニは、吸血時にバベシア原虫(犬バベシア症の病原体)を犬から犬へと運びます。また、ヒゼンダニやニキビダニは、犬に寄生すると激しい痒みをもたらします。

ダニもノミと同様に草木が生い茂っている場所に多く生息しているので、愛犬をそういった場所になるべく入れないようにしましょう。もし、マダニが愛犬の身体にくっついて吸血していても、無理矢理取ろうとしないでください。マダニの体だけ除去できても、噛みついている口の部分だけが残ってしまうことがあります。

マダニが吸血しているところを見つけたら、自力で何とかしようとするのではなく、動物病院で適切に処理してもらいましょう。

これからますます暖かくなり、蚊やノミ・ダニなどの節足動物が増えてきます。これらの節足動物は、しばしば愛犬の健康被害をもたらします。十分な対策をとれば、蚊やノミ・ダニが原因となる病気の多くを予防することができます。

今回ご紹介した内容を参考にして、愛犬の健康管理を徹底していきましょう!

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【参考】

※1 デング熱、マラリア -厚生労働省

2 日本獣医内科学アカデミー編(2014)『獣医内科学 第2版』文永堂出版.

※3 医ダニ類の形態と病害 ダニ

【画像】

※ wriemis, logistock, Tequiero, FocusDzign, svtdesign, lantapix / Shutterstock

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