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犬も「虫歯予防」が必要?歯の仕組みと適切なケアを理解しよう

佐藤貴紀

獣医師
佐藤貴紀

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犬も「虫歯予防」が必要?歯の仕組みと適切なケアを理解しよう

人の場合は、毎日歯磨きをしていても虫歯になることがありますよね。では、愛犬は歯磨きをしなくてよいのか、そう疑問に思うことはありませんか?

そこで今回は犬の“虫歯予防”について、なりやすい疾患などを交えて獣医師の佐藤貴紀先生に解説いただきました!

■歯の解剖を学ぼう!

歯は前歯から切歯、犬歯、前臼歯、後臼歯の4分画に別れ、さらに上顎と下顎それぞれに生えています。本数は、乳歯で28本、永久歯で42本あります。

乳歯そのものが問題になることはほとんどありませんので、今回は永久歯について詳しくお話をします。まずは、永久歯の本数ですが、内訳は下記になります。

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出典:わんにゃ365

歯そのものの構造は、口の中に見えている白い歯の外側部分を“エナメル質”と言います。そのエナメル質の中身は、象牙質になり大部分を占めている組織です。中心部には“歯髄”と呼ばれる神経と血管に富む組織があります。

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出典:https://pixta.jp/

イメージとしては“三層構造”です。ただ、歯肉の下に埋まっている部分は“歯根”と呼ばれ、表面からセメント質、象牙質、歯髄となります。

■乳歯はいつ永久歯に変わるの?

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乳歯の生え変わり開始期は、だいたい生後3ヶ月くらいから始まります。生え揃うのは6ヶ月くらいと言われていますが、もう少し遅くに生え変わる子もいます。ただ、極端に1才を過ぎた段階で乳歯が抜けていないと異常があるかもしれません。乳歯遺残と言い、残っているといずれ歯周病の原因となるため、抜歯が必要なケースが多いです。

また1才を過ぎて乳歯が残っていると非常に折れやすく、歯磨きをした際に折れてしまうこともあるため注意が必要です。歯が折れてしまうと根治が難しくなります。

■犬に虫歯はあるの?

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犬にも虫歯はあります。ただし、人間に比べると非常に少ない発生率です。虫歯とは、まずエナメル質が口腔内細菌の酸の産生により破壊されます。第二段階では異なる種類の細菌からのタンパク分解酵素がエナメル質の破壊を起こし、露出した象牙質の有機成分を破壊します。この二つの過程において虫歯になります。

それでは、なぜ犬や猫は虫歯が人に比べて少ないのでしょう? もともと犬は肉食獣ですが、最近では食事が変化しつつあります。その中で、虫歯になりにくい要因は大きく分けて2つあります。

・口腔内環境の違いから、pHが違い酸産生細菌が少ない

・人間の歯とは違い、歯と歯の隙間が空いており、尖っている歯が多いため、構造的にも細菌や食物が付着しにくい

虫歯は少ないものの、歯石付着からの歯周病はかなり多く存在するので注意が必要です。

■歯周病とは?

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3歳以上の犬の80%以上が歯周病を患っていると言われていますが、日々の診療でも多くの犬が受診をしています。歯周病は歯肉炎や歯周炎の総称でありますが、主な原因は歯垢(プラーク)の中の細菌とされています。

歯垢とは、歯磨き後20分ほどで歯の表面にペリクルという糖タンパク質でできた被膜に微生物が増殖し、そこに6~24時間で細菌と細菌産生物質からできたものです。そして、歯垢に唾液中のミネラル成分が絡み、3~5日で歯石が形成されると言われています。

歯周病は口腔内の疾患だけと考えがちですが、歯周病関連疾患と言われる心筋の変性や糸球体腎炎など、体全体への影響が報告されています。

■検査のしかた

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虫歯の診断は身体検査による視診と問診が主です。歯科専用のレントゲンを撮影し、確定診断を行うこともあります。犬の場合は、虫歯になってもごはんを食べることが多いので非常に分かりづらいですが、歯を痛がる仕草や手で気にする仕草などがあれば可能性を疑います。

その他、血液検査やCT検査などが必要になる場合があります。歯周病の診断も検査内容は同じです。

■具体的な症状について

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口腔内を気にする場合、歯周病や虫歯になっている可能性があります。食欲不振や元気消失などが現れることもあります。

■今からできる予防について

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(1)食後の歯磨きケア

犬用の歯磨き粉も売られており、また犬用の歯ブラシも出ています。実際に犬の口は犬種にもより様々ですが、歯周病が問題になるのは小型犬が多く、口が小さいため先が小さい歯ブラシを使用します。

(2)飲水

水を飲むことによって口の中の洗浄を行い、細菌増殖などを防ぐとともに食渣などを取り除きます。さらには、水に混ぜる歯磨きケア用品も販売されています。

(3)犬用ガム

ガムを噛ませることで、唾液をより産生させて浄化させます。ただ与えるのではなく、噛ませることがとても大事です。

(4)口腔内スプレー

口の中に直接かけるスプレーです。これで歯石が取れたり、歯周病が治ったりするわけではありませんが、ケアに繋がります。

室内飼育が増え、より愛犬との距離が近づいたことで、愛犬の何気無いサインに気づくことができるようになりました。よく動物病院で相談いただく内容に、“愛犬の口臭を気にしている患者さんが増えた”と実感しています。

犬も人間と同じで“虫歯予防”がとても大切です。そのままにしておくと、重大な病気にかかってしまうかもしれません。ぜひ今日から愛犬の虫歯ケアを徹底してくださいね!

※ 本サイトにおける獣医師および各専門家による情報提供は、診断行為や治療に代わるものではなく、正確性や有効性を保証するものでもありません。また、獣医学の進歩により、常に最新の情報とは限りません。個別の症状について診断・治療を求める場合は、獣医師や各専門家より適切な診断と治療を受けてください。

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