近年、猫の室内飼育やワクチンの普及によって、感染症が減り寿命も延びてきています。しかしその一方で、シニア猫では慢性腎臓病をはじめとした慢性病が見られるようになり、普段の生活の中での健康ケアが注目されています。
今回は、その中でも猫の目のケアに役立つ成分についてお伝えします。
目次
■猫の目はたくさんのダメージを受けている!?
人の場合、白内障や緑内障といった病気が近年多く見られます。これらの病気が起こる原因には様々なものがありますが、なかには普段の生活習慣が一因とも考えられています。
猫にも同じように白内障などの病気が見られます。今のところ、猫の白内障の原因は分かっていませんが、人と同じように、日常の生活の中で徐々に目に負担がかかっていることも原因と思われます。
特に、日本で暮らすほとんどの猫の主食となっているキャットフードは、筆者個人の考えですが、栄養学的に優れていることやコストパフォーマンス、保存性の良さ、あるいはその手軽さが大きなメリットではありますが、その一方で、酸化防止剤などの添加物やドライフードの消化性の問題などが、目を含めた、猫の体に負担をかけているのではないかと考えています。
したがって、猫も日常生活のなかで体の負担を減らす習慣が注目されており、ケアを目的としたキャットフードやサプリメントが多く見られるようになりました。
■猫の目と栄養の関係は現在も研究中
しかし、実は栄養成分と猫の目に関する研究は、まだまだ発展途上で明らかに効果が証明されたものはありません。したがって、現段階では筆者の動物病院では、基礎研究の報告に基づき、サプリメントとしての摂取を推奨しています。
その結果、しっかりとした品質のサプリメントであれば、猫の健康維持に役立っていると実感しています。特に目のケアに役立つものとしては「抗酸化成分」に注目しています。
■猫の目と関わりのある成分は
目の健康維持で真っ先に挙げられる成分は、ブルーベリーに含まれる「アントシアニン」ではないでしょうか。アントシアニンは、基礎研究では、目の血流を改善させたり、目の網膜という組織を保護したりする作用が確認されています。
また、緑黄色野菜に含まれる「ルテイン」にも抗酸化力があり、ぶどう膜炎など目の炎症に対して消炎作用が認められたとする報告もあります。
さらには、サーモンやエビなどに多く含まれている「アスタキサンチン」も目の健康を維持する抗酸化作用があると言われており、他にもビタミンB1、ビタミンB12、DHAなど様々な成分が目の健康維持に関わっていることが分かっています。
■栄養成分の摂取はサプリメントがオススメ
これらの成分は、筆者の個人的な考えですが、一つだけの成分を摂取するよりも複数の成分をバランスよく摂取することが大切です。したがって、特定の成分だけを抽出したものよりは、様々な成分を含んだままの食材そのものを摂取することが良いのではと考えています。
しかし、今のところ、猫の最適な抗酸化成分の摂取量やそのバランスはわかっていません。さらには、完全な肉食である猫に対して、人が自分の感覚、つまり人間に良いバランスで食べ物を与えてしまうと、かえって栄養的な問題が起きてしまいます。現実的には、猫用に開発された良質なサプリメントを使用するのが良いと思います。
最近では、抗酸化成分も摂りすぎるとかえって体の負担になる可能性も指摘されていますので、摂取方法については、栄養学的な知識が豊富な獣医師に相談することをおすすめします。
■猫のサプリメントを選ぶ時の3つのポイント
猫用のサプリメントは、人間のもののように法的な整備が進んでいないのが現状です。そのため、残念ながらその品質には千差万別があると言わざるを得ません。そんななか、猫にとってなるべく良いものを選ぶ最低限の基準として、筆者が重要視している以下の5つのポイントをお伝えします。
(1)高品質な原材料
多くのサプリメントに使用される原材料は、同じ原材料名でも実はその品質には大きな差があります。たとえば、ブルーベリーの抗酸化成分は品種によって差があります。また、抗酸化成分の抽出方法によっても、体内への吸収性が変化します。同じ原材料でも、できるだけ有効成分が豊富なもの、体内への吸収性が高いものを選ぶようにしましょう。
(2)必要最小限の添加物
サプリメントの品質を維持するためには、添加物は欠かせません。しかし、最近では添加物も健康状態に影響を与えるという報告もあり、筆者の個人的な考えでは、やはり添加物がないもの、あるいは余計な添加物(着色料や香料など)を含まないものを選ぶことをお勧めします。
(3)厳密な製造管理
サプリメントは、原材料の品質も重要ですが製造上の品質管理も非常に重要です。猫用のサプリメントでも、厳密な製造管理を行っているものもあり、なかには「GMP」という世界的に医薬品の品質管理に用いられる基準に則っているもの、「ISO」という品質管理を保証する機関の認可を受けた工場で製造されたものもあります。
(4)製品の学術情報が豊富
猫のサプリメントのなかには、医学的に研究をしているものもあります。そういったサプリメントでは、いわゆる学術的な情報が豊富なので、あなたの猫に合うものかどうかの参考にすることができます。ただし、学術情報にもその質がありますので、その情報の信ぴょう性を検証するためにも、専門知識を持つ獣医師などに相談するようにしましょう。
(5)サポートが充実している
サプリメントは医薬品と異なり、厳密な効果効能があるものではありません。また、サプリメントによっては、猫の体に合う・合わないといったものもあります。そういったときには、サプリメントの販売会社のサポートが重要なのですが、やはり信頼できるサプリメント会社さんは、サポートも充実していますので、安心してサプリメントを取り入れることができます。
猫も白内障など、慢性的な目の病気があります。著者は、日常生活のなかで目のケアに役立つサプリメントを取り入れることは良いことだと考えます。ただし、猫のサプリメントの品質はさまざまですので、しっかりと安心して使用できるものを選ぶことが大切です。
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