※2021年1月30日情報更新
猫のチャームポイントの一つといえば、まん丸なぱっちりおめめではないでしょうか。そんな愛猫の可愛いおめめの目頭のあたりに、何やら白い膜のようなものが見えた経験はありませんか?
実は、この白い膜は瞬膜と呼ばれるもので、私たち人間にはないものです。本来、猫の瞬膜は目頭にわずかに見える程度なのですが、異常なまでに瞬膜が確認できる場合には何か問題が隠れている可能性があります。
今回は、猫の瞬膜の基本と瞬膜に関連した病気について解説します。
■瞬膜(しゅんまく)とは
人間のまぶたは上下の2つしかありません。一方、猫や犬など他の哺乳類、鳥類などには上下のまぶたの他に、瞬膜(第三眼瞼ともいう)と呼ばれる第三のまぶたがあります。瞬膜は、両目の目頭の部分に位置しており、通常はまぶたの内側に隠れているためあまり見えません。瞬膜という名前の由来は、目の内側から一瞬出てくる膜というところからきているそうです。
また、瞬膜には瞬膜腺(第三眼瞼腺)と呼ばれる涙を産生する器官もあり、涙全体の3割以上は瞬膜腺で作られていると言われています(※1)。瞬膜は、猫の眼球を乾燥などから保護する役割があります。
■瞬膜突出(第三眼瞼突出)になる時って?
本来は、ほとんど見えないか、わずかに見える程度の瞬膜ですが、異常なほどに瞬膜が観察される場合があります。この状態のことを瞬膜突出と言いますが、瞬膜突出が見られる場合には何かしらの異常がある可能性があります。瞬膜突出が起こる原因には次のようなものが挙げられます。
・眠気があるとき
猫が今にも寝そうなとき、あるいは起きたばかりのときに、普段ほとんど見えない瞬膜が明らかに見えることがあります。これは生理学的な反応ですので、気にする必要はありません。もし、寝る前後のみだけに瞬膜が見られ、活動時には瞬膜が見られない場合には、眠気によるものの可能性があります。
・鎮静薬によるもの
動物病院で鎮静薬を投与された後に、瞬膜突出が見られることもあります。鎮静薬を投与すると猫はまどろみますので、状態としては眠気を感じている時と近いものになります。この場合も、薬の作用によるものですので、特に心配する必要はないでしょう。
・ホルネル症候群
猫の瞬膜突出の原因の一つに、「ホルネル症候群」があります。ホルネル症候群は、交感神経と呼ばれる神経が障害されることによって起こる病態です。ホルネル症候群の特徴的な4つの症状として、(1)瞬膜の突出、(2)瞳孔が小さくなる、(3)まぶたが垂れ下がる、(4)眼球の落ちくぼみが挙げられます。
ホルネル症候群という病態を引き起こす病気は、外傷、炎症、感染、がん、中耳炎・内耳炎など様々です。また、必ずしも原因が特定できるわけではなく、特発性(原因不明)と診断されることも少なくありません。
原因となる病気の中には、命に関わる病気もあります。もしも、愛猫がホルネル症候群の特徴的な4つの症状のうち、いくつか確認されるものがあれば動物病院で一度診てもらうことをお勧めします。
今回は、猫の瞬膜の役割と瞬膜に関連した病気について解説しました。普段はあまりはっきりとは見えない瞬膜が明らかに観察できる場合には、眠気のような生理的なものもありますが、何らかの異常が隠れている可能性があります。がんのような命に関わる病気によっても、瞬膜突出が起こる場合があるため注意が必要です。もし、愛猫の目頭のあたりに白色~うすピンク色の瞬膜が常時見えている場合には、獣医師さんに相談してみるのが良いでしょう。
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【参考】
※1 Kirk N. Gelatt, Brian C. Gilger, Thomas J. Kern(2013)Veterinary Ophthalmology: Two Volume Set, 5th Edition,:Wiley-Blackwell,p.48,p.59,p.171
※2 大草 潔・辻本 元監修(2011)『SA Medicine 72号』インターズー.
【画像】
※ Madi Sommer,Puripatch Lokakalin,Nimitr Jintapradubkul / Shutterstock
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