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【獣医師執筆】夏が過ぎても油断大敵!秋に発症する犬の皮膚トラブルの原因は?

船田治子

獣医師
船田治子

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【獣医師執筆】夏が過ぎても油断大敵!秋に発症する犬の皮膚トラブルの原因は?

暑い夏が過ぎ訪れる秋は、私たち人間も犬も過ごしやすい時期ですよね。しかし、気温や湿度の変化が大きい時期でもあり、夏の過ごし方によっては皮膚に影響が出ることもある季節です。今回は、秋に注意したい犬の皮膚トラブルについて解説します。

■犬の皮膚の主な特徴

夏が過ぎても油断大敵!秋に発症する犬の皮膚トラブルの原因は?
出典:https://www.shutterstock.com/

一口に皮膚と言っても、人と犬では大きく異なります。まず、犬の皮膚の特徴についてご紹介します。

・主毛と副毛、2つの毛の存在

体表のほとんどが毛に被われていますが、毛包からは中心となる太い主毛(オーバーコート)と、その周囲に細くて柔らかい複数の副毛(アンダーコート)が生えています。犬種によって主毛と副毛の割合に違いがあります。

・汗腺

体表全体にはアポクリン腺という汗腺が存在しています。人の体表に多数存在するのはエクリン腺と言い、犬では肉球のみに見られます。

・表皮

表皮は薄く、人の約5分の1から6分の1しかありません。

 

■秋にみられる皮膚トラブル

夏が過ぎても油断大敵!秋に発症する犬の皮膚トラブルの原因は?
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筆者の経験ですが、皮膚トラブルは気温・湿度の高い夏の方が圧倒的に多いと感じています。しかし、夏の過ごし方の影響で秋に皮膚トラブルを発症したケースもあるので、その例をご紹介します。

・夏にシャンプーを過度に行なった

夏に汚れや臭いが気になって、シャンプーを頻繁に行っていた場合、体表を保護する役割を持つ皮脂を取りすぎてしまい、皮膚や被毛がぱさつき、つやが無くなってしまうことがあります。

・夏にエアコンの効いた部屋で過ごし続けた

エアコンの効いた室内ばかりで生活していると、皮膚が乾燥してフケが増えてしまうことがあります。

・換毛期への対応が甘かった

ダブルコートの犬(柴犬、ポメラニアン、シベリアンハスキー、ゴールデンレトリバーなど)は、春と秋に換毛期があります。抜け毛を毎日取り除かないと、毛玉ができたり、ノミや細菌によって皮膚炎を起こしたりする可能性があります。シングルコートの犬(トイプードル、ヨークシャーテリア、マルチーズなど)は、顕著な換毛期はありません。

・安定した室温により換毛期が遅れた

換毛は日照時間や気温の影響を受けて行われます。室内犬は、エアコンなどを使用していれば気温の変化を感じにくく、電灯の光を浴びる時間が長い場合など、夏毛と冬毛の入れ代わりがはっきりしないこともあります。

■秋の皮膚トラブル対策

夏が過ぎても油断大敵!秋に発症する犬の皮膚トラブルの原因は?
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・シャンプーの頻度を見直す

シャンプーは、一般的には夏でも1ヶ月に12回位までをおすすめします。もっと頻繁に犬を洗いたい場合は、皮脂を取りすぎないシャンプー剤もありますので、動物病院などでご相談ください。

・エアコンを使用するときは湿度も意識する

エアコンを使用すると、どうしても室内が乾燥します。加湿器を併用するか、水で濡らしたタオルをしぼって室内にかけておくだけでも加湿効果があると思います。

・毎日ブラッシングしてあげる

きちんと換毛できるように、毎日ブラッシングをして抜け毛を取ってあげましょう。犬種により、適したブラシを選ぶといいですね。

シングルコートの犬は、換毛は顕著ではありません。たとえば、トイプードルは、床に毛が落ちないと言われることがありますが、抜け毛がカールした被毛にひっかかって残っていることがあります。そのままにしておくと毛玉の原因になりますので、シングルコートの犬たちにも、ブラッシングはこまめにしてあげましょう。

・保湿クリームの使用を検討する

皮膚や毛の乾燥に気づいたら、市販の保湿剤なども利用してみましょう。皮膚に痒みや炎症や脱毛部分がある場合は、皮膚病が疑われますので、早めに動物病院を受診しましょう。

皮膚のトラブルは、夏に比較すると秋は落ち着いてくることが通常です。しかし、冬に備えて犬の体は準備を始めていますので、犬が寒い時期も元気に楽しく過ごせるように、飼い主さんも協力してあげましょうね!

※ 本サイトにおける獣医師および各専門家による情報提供は、診断行為や治療に代わるものではなく、正確性や有効性を保証するものでもありません。また、獣医学の進歩により、常に最新の情報とは限りません。個別の症状について診断・治療を求める場合は、獣医師や各専門家より適切な診断と治療を受けてください。

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【参考】

小野憲一郎ほか(1998)『イラストでみる犬の病気』講談社

林谷秀樹ほか(2009)『人が学ぶ イヌの知恵』東京農工大学出版会

愛犬の友編集部(1998)『犬が教える病気の本』誠文堂新光社

【画像】

※ Photo-SD,Mladen Mitrinovic,Zivica Kerkez,kc.bangkaew / Shutterstock

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