一年を通し、日差しが強い日は、皮膚への懸念から愛犬を散歩させることをご心配される飼い主さんもいらっしゃると思います。
そこで、獣医師である筆者が、家庭でもできる皮膚トラブルの対策をご紹介します。
■犬の皮膚トラブルを引き起こす2つの原因
(1)強い紫外線が皮膚を傷つける可能性
人の場合、過剰に紫外線を浴びることは、細胞を傷つけ病気を引き起こすとして有害だとされています(※1)。犬にとっても同様で、長い時間のお散歩などで紫外線を浴び続けると、肌の保湿機能やバリア機能を低下させるだけではなく、炎症を引き起こし、痒みを助長させる可能性があると考えられます。また、皮膚ガンや白内障の発症にも影響します。
(2)ハウスダストや花粉などのアレルゲンが増えてくる
ハウスダストは室内塵(ちり)で、カビやチリダニ、細菌などが混じったものです。チリダニは高温多湿の環境下でよく繁殖すると言われています。日本の梅雨時期はこの条件に当てはまってくるため、ハウスダストの量が多くなり、特にアトピー性皮膚炎の犬は痒みが悪化してしまうのです。また花粉も春先以降は多くなるため、症状の悪化を招く恐れがあります。
■家庭でできる皮膚トラブル対策
・皮膚を紫外線から守るためには
基本的なことですが、紫外線が強い時間帯の散歩は控えることが重要です。UVカットの洋服を着せたり、散歩後に保湿剤を使用したりすることで、皮膚トラブルを予防することもできます。特に、色素の少ない皮膚は紫外線の影響を受けやすいので、気をつけましょう(※2)。
日光浴は、ビタミンDの合成やリラックスホルモンであるセロトニンの分泌を促進させる効果もあるとされているので、紫外線が強くない時間帯を選べば、適度な時間の日光浴は良いことです。
・ハウスダストの対策ってできるの?
ハウスダストは空気に浮遊している室内塵(ちり)なので、完全に回避することは不可能です。しかし、ゼロにすることはできなくても減らすことは可能です。
ハウスダストを減らす手段は、やはり空気清浄機を設置することやこまめにお掃除することです。ハウスダストはカーペットなどの布製品に多く付着していますので、医療用ではありますが、防ダニ布団などを犬の生活スペースに置いてあげるのも一つです。
最近ではハウスダストを中和するスプレーも販売されており、愛犬用のお布団や洋服にスプレーすることで、ハウスダストをブロックしてくれる効果があります。犬の毛に付着したハウスダストを濡れたタオルで拭いてあげたり、ドライヤーの冷風をあててあげるのも効果的です。いずれも、ハウスダストを激減させる方法ではないですが、地道な努力が結果的に犬の肌を守ることに繋がります。
飼い主さんの毎日のケアが、愛犬の健康に繋がります。もし体を痒がる様子など、異常が頻繁に見られるのであれば、かかりつけ医に相談してくださいね。
※ 本サイトにおける獣医師および各専門家による情報提供は、診断行為や治療に代わるものではなく、正確性や有効性を保証するものでもありません。また、獣医学の進歩により、常に最新の情報とは限りません。個別の症状について診断・治療を求める場合は、獣医師や各専門家より適切な診断と治療を受けてください。
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【参考】
※2 スー・パターソン 長谷川篤彦(2010)『犬と猫の皮膚病治療マニュアル【第2版】』インターズー
【画像】
※ 4 PM production,Zivica Kerkez,leungchopan / Shutterstock
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