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【獣医師執筆】充血だけじゃない!愛犬の「目が赤い」ときに考えられる病気を症例写真と共に解説

北森隆士

獣医師
北森隆士

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【獣医師執筆】充血だけじゃない!愛犬の「目が赤い」ときに考えられる病気を症例写真と共に解説

痛み、痒み、違和感、視力低下、視野狭窄など、私たち人間は、自覚症状で眼科に行きます。しかし犬猫は、症状を訴えることができません。愛犬・愛猫の目が赤くなった……という飼い主さんの相談は、眼科の診察の中で最も多いものですが、犬猫にとって自覚症状はすでに以前からあり、病態としてはかなり進行している可能性があります。

今回は、犬の症例を中心に「目が赤くなる」症状が出る病気をご紹介します。

※ 記事には患部の写真を含むため、抵抗がある方はご注意ください。

■正常時の犬の目を観察しよう

犬・猫は白目部分が隠れているので、動物病院では写真のように観察します。

充血だけじゃない!愛犬の「目が赤い」ときに考えられる病気を症例写真と共に解説
出典:北森ペット病院

こちらは正常な犬の瞳孔(黒)と虹彩(茶色)です。いわゆる「黒目」です。

充血だけじゃない!愛犬の「目が赤い」ときに考えられる病気を症例写真と共に解説
出典:北森ペット病院

正常な犬の「黒目」と「白目」です。

充血だけじゃない!愛犬の「目が赤い」ときに考えられる病気を症例写真と共に解説
出典:北森ペット病院

正常な犬の「白目」です。

■黒目の「中」が赤い場合

充血だけじゃない!愛犬の「目が赤い」ときに考えられる病気を症例写真と共に解説
出典:北森ペット病院

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出典:北森ペット病院

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出典:北森ペット病院

黒目が赤い場合、目の中で出血が起こっています。網膜はく離眼内腫瘍ぶどう膜炎血液凝固障害など緊急の重篤な疾患が考えられます。猫の場合は、慢性腎臓病に伴う高血圧性の網膜はく離のケースが散見されます。

■黒目の「表面」が赤い場合

充血だけじゃない!愛犬の「目が赤い」ときに考えられる病気を症例写真と共に解説
出典:北森ペット病院

黒目は、角膜という透明の膜で覆われていますが、そこに血管が入り込むと一部が赤く見えます。外傷乾燥性角膜炎など角膜障害のケースが考えられます。

■白目が「均一に」赤い場合

充血だけじゃない!愛犬の「目が赤い」ときに考えられる病気を症例写真と共に解説
出典:北森ペット病院

外傷による出血などで、しばしば見られます。

 

■白目に「血管」がたくさん見える場合

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出典:北森ペット病院

いわゆる、充血です。表面の充血(結膜炎)深層部の充血、もしくは両方が考えられます。

白目の充血は、さまざまな目の疾患に付随します。単なる軽い結膜炎だと放置していたら、実は緑内障の初期で、気がついたら視力を失ったというケースもあり得ますので、安易な自己判断は絶対に避けましょう。白内障を放置して、緑内障に移行し、目を摘出しなくてはいけなくなったケースもしばしばあります。

充血が伴う目の病気を、下記より症例写真とともにご紹介します。 

・緑内障

充血だけじゃない!愛犬の「目が赤い」ときに考えられる病気を症例写真と共に解説
出典:北森ペット病院

・角膜の外傷

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出典:北森ペット病院

丸で囲った部分が外傷部です。緑色の液体は、傷を染める特殊な色素になります。

・白内障からぶどう膜炎、緑内障へと進行

充血だけじゃない!愛犬の「目が赤い」ときに考えられる病気を症例写真と共に解説
出典:北森ペット病院

・乾燥性角膜炎

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・角膜の障害、緑内障、水晶体脱臼など

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出典:北森ペット病院

 

■目頭から「赤いもの」が出てきた場合

・第三眼瞼の腫れ

充血だけじゃない!愛犬の「目が赤い」ときに考えられる病気を症例写真と共に解説
出典:北森ペット病院

犬猫には、目頭に、第三眼瞼(瞬膜)という膜があります。通常は隠れていますが、体調が悪い時に出っぱなしになることがあります。

こちらの症例は、犬同士の喧嘩で目を打ったため第三眼瞼が腫れてしまいました。

・チェリーアイ

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出典:北森ペット病院

第三眼瞼には、瞬膜腺という分泌腺があり、それが突出したものをチェリーアイといいます。チェリーアイは、犬の場合だと通常2歳以下でよく見られ、手術で戻すことができます。しかし高齢の場合、腫瘍の可能性もあるので注意が必要です。

■番外編:白目が「黄色い」場合

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出典:北森ペット病院

白目が黄色の場合は、いわゆる黄疸が考えられます。肝臓・胆嚢疾患を疑います。

目の異常は、真っ先に飼い主さんが気がつくことができます。自己判断はせず、違和感を感じたら獣医師にすぐにご相談ください。早期発見、早期治療を心がけることが大事です。

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※ 本サイトにおける獣医師および各専門家による情報提供は、診断行為や治療に代わるものではなく、正確性や有効性を保証するものでもありません。また、獣医学の進歩により、常に最新の情報とは限りません。個別の症状について診断・治療を求める場合は、獣医師や各専門家より適切な診断と治療を受けてください。

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【参考】

※ 佐々木 文彦(2018)『楽しい解剖学 ぼくとチョビの体のちがい 第2版』学窓社

【画像】

※ 北森ペット病院

※ SasaStock,Kzenon / Shutterstock

   

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