犬の鼻は人と違って常に湿っています。湿っていることでニオイを感じやすくしたり、体温の調節をしたりするのに役立っています。
飼い主さんの中には、ただ湿っているだけでなく、タラリと垂れた愛犬の鼻水を見たことのある方もいるかもしれません。色や粘り気、片側から出ているのか両側から出ているのか、など状態によっては心配な鼻水もあります。
今回は鼻水の性状やどこから出ているのかに応じた、病院への受診の目安、おうちで出来る簡単な対処法についてお話しします。
目次
■透明でさらさらした水のような鼻水
筆者の経験上、さらさらした鼻水は、基本的にはあまり心配のない状態であることが多いと感じます。犬も人と同じように、気温の変化によっていつもより鼻水が出てしまったり、ホコリを吸い込んだりしたときなどに、鼻水を出して体を守っています。さらさら鼻水が両側の鼻の穴から出ている時は生理的な鼻水の可能性が高いです。
ただし、鼻水が長く続いたり、くしゃみや食欲不振など他の症状も併発したりしている場合は、アレルギーや大きな病気の初期症状の可能性もあるので受診を検討しましょう。
■色がついていて粘り気のある鼻水
粘り気のある鼻水が濁っていたり、黄色や緑色、茶色など色がついていたりする場合は、さまざまな病気の可能性が考えられるので早めに動物病院を受診しましょう。色がついている場合は、細菌やウイルスに感染して鼻炎を起こしている可能性があるためです。
主に、子犬でこのような鼻水が見られる場合は、ケンネルコフ(犬伝染性気管気管支炎)や犬ジステンパーウイルス感染症の可能性があります。咳や下痢、食欲不振、目やに、ふらつき、など他にも症状が認められるようなら早急に受診をしましょう。特に、犬ジステンパーウイルス感染症の場合は後遺症が残ってしまう事もある大変怖い病気です。感染力も強いので、疑われる場合はワクチンを接種してない犬とは接触を避け、消毒をする必要があります。そのような場合は獣医師に消毒方法についても聞いておくと安心です。
■片方の鼻の穴からでる鼻水
片方の鼻の穴だけからでてくる鼻水は、病気のサインの可能性があります。
老犬の場合、歯を悪くしてしまったときに歯の根本から鼻の穴に通じる道が出来ることで細菌感染を起こしたり、穴から食べ物が鼻に入り込むことが原因で鼻炎になったりしてしまうこともあります。
また、鼻の中に腫瘍が出来たときに、鼻水が片側から出てくることが多いです。ただ、腫瘍の出来る場所によっては両側から出てくることもあるので、鼻血や茶色っぽい鼻水が認められるようなら早めに受診をしましょう。
■ピンク色でサラサラした鼻水
ピンクに色がついた鼻水が、食欲不振や呼吸が苦しそうな症状と一緒に出ていたら、かなり危険な状態の可能性があります。
「肺水腫」「肺炎」というような肺の中に液体や分泌物が溜まる病気になっており、それが鼻の穴から外に漏れてきている場合にこのような鼻水が出てくる事があります。
緊急状態の可能性があるのですぐに受診をしましょう。
■鼻水とともにくしゃみを頻発する場合
お散歩によく行く子だと、草をクンクンしたとき草の実を吸い込んでしまう場合もあります。また、吐いてしまった後に食べ物が鼻の中に入ってしまい、鼻炎を起こす事もあります。このような異物が原因の鼻水の場合は、急激に発症してくしゃみを頻発することが特徴です。こじらせると鼻の骨が溶けてしまうなど重症になる事もあるので、心当たりがある場合は早めの受診をおすすめします。
■家庭での簡単な鼻水の対処法
・ご飯を温めてあげる
鼻水がひどいときには、食べ物の臭いがよく分からないために食欲が落ちてしまう事もあります。ウェットフードを温めるなどして臭いが立つように工夫してあげましょう。
・鼻の周りを清潔にしてあげる
鼻水が鼻の周りについたままだと皮膚炎になる可能性もあるので、出来るだけ清潔に保つように心がけましょう。鼻の周りは敏感なので湿らせたタオルなどで優しく鼻水を拭き取ってあげてください。
・部屋を加湿する
乾燥していると鼻水の排出も悪くなってしまうので、加湿器などを利用して部屋の湿度を調節してあげましょう。
病気でなく生理的なものであれば、前出のような対処法で良いでしょう。一方で、犬の鼻水は病気のサインになっていることが多いです。どのような鼻水が出ているのか、両側から出ているのか片側から出ているのかなどをよく観察してあげて、他にも症状が出ているようなら動物病院の受診を検討しましょう。
※ 本サイトにおける獣医師および各専門家による情報提供は、診断行為や治療に代わるものではなく、正確性や有効性を保証するものでもありません。また、獣医学の進歩により、常に最新の情報とは限りません。個別の症状について診断・治療を求める場合は、獣医師や各専門家より適切な診断と治療を受けてください。
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