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【獣医師執筆】犬の目頭が赤く腫れる「チェリーアイ」症状や治療法とは

吉本翔

獣医師
吉本翔

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【獣医師執筆】犬の目頭が赤く腫れる「チェリーアイ」症状や治療法とは

2020818日情報更新

みなさんにとって愛犬のチャームポイントはどこですか? 耳、しっぽ、肉球などいろいろあると思いますが、目と答える方も多いのではないでしょうか。愛犬の眼差しに、思わずキュンとすることもしばしばあるでしょう。

愛犬の可愛い目をいつまでも大切にしてあげたいと思う飼い主さんは多いはず。しかし、犬が目の病気にかかってしまうことは珍しいことではありません。また、ひとえに目の病気といっても、病気の種類はさまざまです。命に関わるような目の病気は稀ですが、視力を喪失してしまう病気や、痛ましい見た目になってしまう病気はしばしば見受けられます。

今回は、犬の目の病気の一つである「チェリーアイ」という病気について解説いたします。

■チェリーアイってなに?

目頭が赤くぽっこり…どの犬でもなるの?「チェリーアイ」を解説!
出典:https://www.shutterstock.com/

犬のまぶた(眼瞼)は、目の上下だけでなく目頭の部分にもあり、目頭にあるまぶたのことを第三眼瞼(もしくは瞬膜)といいます。さらに、この位置には涙をつくる器官である第三眼瞼腺があります。通常、第三眼瞼腺は内側に位置するため外から見えません。

「チェリーアイ」とは、この第三眼瞼腺が外側に脱出してしまう病気のことをいいます(第三眼瞼腺脱出)。犬の目頭の部分から、ピンクや赤色のぽっこりとしたものが確認できる場合には、第三眼瞼腺が脱出している可能性が疑われます。

 

■チェリーアイの好発年齢と犬種

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ほとんどの場合、チェリーアイは1歳未満で発症するといわれています。また、病気の発症には遺伝的な素因も関わっているようです。

チェリーアイの発症が多い犬種として、コッカー・スパニエル、ビーグル、ペキニーズ、ボストン・テリア、バセット・ハウンド、フレンチ・ブルドッグ、シー・ズーなどが挙げられます。これらの犬種を飼い始めたばかりの飼い主さんは、頭の片隅に入れておくと良いでしょう。

 

■チェリーアイの特徴的な症状

目頭が赤くぽっこり…どの犬でもなるの?「チェリーアイ」を解説!
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第三眼瞼腺が脱出すると、多量の涙(流涙症)、結膜の炎症、痛みなどを生じることがあります。また、脱出した第三眼瞼腺が犬自身の視界にも入ってくるので、愛犬は違和感を覚えるでしょう。脱出した状態を放置すると、目の炎症を起こしたり、充血や浮腫などを生じたりすることもあります。

 

■家庭でできるチェリーアイの診断法

目頭が赤くぽっこり…どの犬でもなるの?「チェリーアイ」を解説!
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チェリーアイは、第三眼瞼腺が明らかに出てきますので、飼い主さんでもその異常に容易に気づくことができると思います。ただし、第三眼瞼腺の脱出だけでなく、同時に角膜に潰瘍や感染がないかなどを確認する必要があるため、角膜も丁寧に観察する必要があります。

 

■チェリーアイの治療法

目頭が赤くぽっこり…どの犬でもなるの?「チェリーアイ」を解説!
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脱出した第三眼瞼腺は、軽度なものであれば清潔な綿棒を用いて押し込むことで改善することもあるといわれています。しかし、再発してしまうケースが多々あり、持続的に第三眼瞼腺が脱出した状態である場合には、病院でしっかりとした治療を行う必要があります。

チェリーアイは、外科手術によって脱出した第三眼瞼腺を、元の正常な位置に戻すことで治療を行います。また、感染や炎症に対して抗菌薬や抗炎症薬が含まれた点眼剤を使用することもあります。

 

■チェリーアイの予防と対策

目頭が赤くぽっこり…どの犬でもなるの?「チェリーアイ」を解説!
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チェリーアイは遺伝的な要因も大きく、発症を予防する方法は残念ながらありません。しかし、チェリーアイの状態を放置していると、二次的に角膜などに異常をきたす場合があります。

チェリーアイは、命に関わるような病気ではありません、しかし、愛犬は違和感を覚えます。チェリーアイは、飼い主さんでも気づきやすい病気ですので、発見したら獣医師さんに診てもらってくださいね。

※ 本サイトにおける獣医師および各専門家による情報提供は、診断行為や治療に代わるものではなく、正確性や有効性を保証するものでもありません。また、獣医学の進歩により、常に最新の情報とは限りません。個別の症状について診断・治療を求める場合は、獣医師や各専門家より適切な診断と治療を受けてください。

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【参考】

※ 大草 潔・辻本 元監修(2011)『SA Medicine 72号』インターズー.

【画像】

※ Vera Larina,Mr. JK,otsphoto,jukgrapong,Shine Nucha,PixieMe,Bogdan Sonjachnyj / Shutterstock

   

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