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冬は注意が必要かも?知っておきたい犬のウイルス性感染症とその対策

吉本翔

獣医師
吉本翔

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冬は注意が必要かも?知っておきたい犬のウイルス性感染症とその対策

1月となり厳しい寒さが続いていますね。冬は何かと体調を崩しやすい季節。人の風邪の原因となる一部のウイルスやインフルエンザウイルスは、冬になると流行しやすいと言われています。

犬も冬の環境下で、体調を崩してしまうことは少なくありません。中にはウイルスが原因となることもあります。今回は、なぜ冬はウイルスが感染しやすいか、冬に気をつける必要がある犬のウイルス、そして飼い主さんができる冬対策についてお話したいと思います。

■なぜ冬になるとウイルスに感染しやすいのか?

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一般的に、冬はウイルスが人や犬に感染しやすい状況であると言えます。冬にウイルスの感染しやすくなる理由には、次のような理由が考えられています。

(1)冬の低気温により代謝が下がり、免疫力が低下しやすくなるから

免疫力が低下すると、体内に入ってきた病原体をきちんと倒すことができなくなり、病原体が体内で増殖しやすくなります。

(2)冬は空気が乾燥するから

風邪の原因となる一部のウイルスは、気温が低く乾燥した環境を好むと言われています。乾燥した空気中では、ウイルスが遠くに飛びやすくなり、かつ空中に残りやすくなります。そのため、咳やくしゃみによって拡散したウイルスが、動物から動物へと伝播しやすくなります。

(3)冬の寒さにより水分の摂取量が低下するから

寒くなると、犬は進んで水を飲む機会が少なくなる傾向にあるようです。水分の摂取量が減少すると、身体は軽度に脱水しやすくなります。脱水に加え、冬は湿度も低いため、喉や気道の粘膜が乾燥し、細菌やウイルスが付着しやすい状態となってしまう恐れがあります。

■冬に気をつける必要があるウイルス性感染症

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人の場合、冬に流行しやすいウイルスがいくつか知られています。代表的なものとしては、風邪の原因ウイルスの一つである「RSウイルス」や季節性インフルエンザの原因となる「インフルエンザウイルス」などです。

一方、犬の場合は、冬に流行しやすいウイルスについては、はっきりとは分かっておりません。ただし、空気感染や飛沫感染をするウイルスは、冬に注意しておきたいウイルス性感染症の要因であると考えられます。

冬に注意しておきたい感染症の一つに、「犬呼吸器感染症(ケンネルコフ、犬伝染性気管気管支炎とも言う)」があります。本疾患は、多頭飼い、ワクチン未接種の犬で問題となることが多く、主な徴候は、急性の咳、鼻水、くしゃみです。この病気の原因となる病原体は、パラインフルエンザウイルス、アデノウイルス、ヘルペスウイルスなどのウイルスや、ボルデテラ菌という細菌などさまざまです。具体的にどの病原体が冬に流行しやすいかなどは特定されていないものの、犬呼吸器感染症の原因となるウイルスは、空気や飛沫を介して感染するため、原因となるウイルスの一部が冬に流行しやすい可能性は十分にあると筆者は考えています。

 

■飼い主さんができるウイルス対策

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(1)適切な温度と湿度を保つ

前述のように、冬にウイルスが感染しやすくなる原因は、低気温低湿度によるものであると考えられています。そのため、飼育環境の温度と湿度を保つことが、ウイルス対策に重要だと言えます。

室内で犬を飼育している方は、室温を上げるために暖房器具、乾燥を防ぐために加湿器を用いることができます。エアコンのみを使用すると空気が乾燥しやすくなるため、加湿器の利用も忘れないようにしましょう。

室外で飼育している場合には、飼育環境の温度や湿度を管理することが非常に難しいと言えます。もし可能であれば、冬の寒い期間だけでも室内で飼うことを推奨しますが、難しいようであれば、寒さ対策として隙間風が入らない犬小屋の設置や、保温するための毛布を与えると良いでしょう。

(2)水分を与える

冬の寒さの中では犬は冷たい水は飲みたがらないので、少し水を温めたぬるま湯を与え、水分補給をしっかりできるようにしてあげましょう。

 

■咳が続く場合は、感染症以外の可能性も?

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注意しておきたい点としては、咳の原因が感染症以外の可能性もあることです。特に国内で飼育数が多い小型犬では、気管虚脱という病気や心臓病が原因となって咳が出ることもあります。心臓病では命に関わるケースも少なくありません。過去に心雑音が指摘されていたり、中高齢であったりする場合には注意が必要です。

咳が続く場合には、単純な感染症ではない可能性もありますので、動物病院で診てもらうようにしましょう。

 

今回は、冬に注意しておきたい犬のウイルス性の感染症について解説しました。犬の場合は、冬に流行しやすいウイルスが何であるかについて、特定はされていません。しかし、冬の寒くて乾燥した気候は、空気感染や飛沫感染をするウイルスにとって好都合な環境であるといえます。愛犬をウイルスから守るために、寒さや乾燥対策をしっかりと行っていきましょう。

 

※ 本サイトにおける獣医師および各専門家による情報提供は、診断行為や治療に代わるものではなく、正確性や有効性を保証するものでもありません。また、獣医学の進歩により、常に最新の情報とは限りません。個別の症状について診断・治療を求める場合は、獣医師や各専門家より適切な診断と治療を受けてください。

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【参考】

※ 勢籏 剛・若月 章・増渕 勝夫・高橋 拓男・国分 輝秋(2009)『国内における犬呼吸器感染症の病原学的調査』微生物化学研究所

※ Stephen J. Ettinger(2017)'Textbook of Veterinary Internal Medicine 8th Edition'Saunders

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※ dezy,Irina Kozorog,ArtdayAnna,Igor Normann,Fotyma / Shutterstock

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