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【獣医師執筆】ペットにも乳酸菌?話題の「乳酸菌」とサプリの正しい選び方

西原克明

獣医師
西原克明

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【獣医師執筆】ペットにも乳酸菌?話題の「乳酸菌」とサプリの正しい選び方

最近では「腸活」という言葉があるように、腸の健康が体全体の健康に繋がっていることが知られています。その腸のケアの中でも、"腸内細菌”のケアは特に注目されています。

腸内細菌はさまざまな種類が混在していますが、お腹の健康に役立つ細菌としては乳酸菌が知られていて、犬でもさまざまな健康維持に取り入れられています。今回はそんな乳酸菌についてお伝えします。

■そもそも乳酸菌ってどんな細菌?なぜ健康に良いの?

ペットにも乳酸菌?話題の「乳酸菌」とサプリの正しい選び方
出典:https://www.shutterstock.com/

乳酸菌は、名前の通り「乳酸」を作ることができる細菌です。乳酸菌は、一般的には腸内の細菌のバランスを整えると言われていますが、実は乳酸菌といってもその種類は無数にあって、それぞれの乳酸菌でさまざまな研究が行われており、現在でも乳酸菌の新たな役割が発見されています。

一般的には、乳酸菌は下痢を抑えたり、逆に便秘を改善したりすることが知られていますが、その他にも、歯周病ケア、アレルギー・アトピー性皮膚炎への効果、脂質代謝の改善といった研究報告等、さまざまな効果示されているようです

このように、乳酸菌は動物の健康増進に役立つものとして広く利用されているのですが、ペットでもお薬やサプリメントとしてはもちろん、ペットフード やおやつにも配合されるようになっています。

■実はまだまだ分からないことだらけな乳酸菌

ペットにも乳酸菌?話題の「乳酸菌」とサプリの正しい選び方
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しかし、このように乳酸菌が健康に役立つことは広く知られていますが、実はそのメカニズムはまだまだ分かっていない点がたくさんあります。

たとえば、腸内細菌を整える効果については、生きた乳酸菌だけでなく、死菌と呼ばれる状態の乳酸菌でも効果が見られ、中には乳酸菌の種類によっては死菌の方が整腸効果が高いと考える研究者もいます。さらには、乳酸菌自体ではなく、乳酸菌が作り出すさまざまな物質にも整腸効果が見られることが分かっています。

また、ほとんどの乳酸菌の研究は、乳酸菌の中でも特定のものに絞って研究がなされているため、それがその種類だけのものなのか、あるいは乳酸菌全体に言えることなのかについてもはっきりしていません。たとえば、「KT-11」という乳酸菌は、犬の歯周病に対してケア効果があることが知られています。また他の乳酸菌にも同じような効果があるものもありますが、一方で歯周病ケア効果が見られなかった乳酸菌もあります。

こういった結果が、乳酸菌の種類によるものなのか、あるいはもっと他のメカニズムが関係しているのかは分かっていないようです

最近では、乳酸菌のさまざまなメリットが強調されすぎている風潮もあると考えます。しかし筆者の実感としてやはり万能なものではありませんので、乳酸菌の活用については種類も含めしっかりと吟味する必要があります。

■犬には犬の乳酸菌?実際に摂取できるサプリメントの種類について

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では、犬にとって乳酸菌はどれくらい健康に役立つでしょうか。実は、犬用の乳酸菌製剤はいくつか市販されているのですが、動物用医薬品として承認されているのはごくわずかです(それも消化剤を配合したものです)。

そのため、さまざまな種類があるにも関わらず、ほとんどはお薬ではないため効果効能を言うことはできないのですが、一般的な乳酸菌の効果と同じように、お腹のケアや皮膚のケア、お口のケア、あるいは最近では腎臓のケアにも働くと考えられています。そのため筆者個人の考えとして、日常的に乳酸菌サプリメントを取り入れるのは、犬の健康にとって有用なことだと考えています。

またサプリメントとしては、「プロバイオティクス製剤」「プレバイオティクス製剤」「バイオジェニックス製剤」などがあります。プロバイオティクス製剤というのは、まさに乳酸菌を含む腸内に役立つ細菌をメインに作られたサプリメントになります。また、プレバイオティクス製剤は、オリゴ糖などお腹の中の乳酸菌に働きかけることで作用するサプリメントです。一方、バイオジェニックス製剤は、乳酸菌や乳酸菌が作り出した物質を抽出して製剤化したものです。

いずれの製剤も犬にとって有用なものとして提供されていますが、どの製剤が良いのかは一概には言えません。筆者個人の経験では、一頭一頭によって、どの種類の乳酸菌が良いのか、さらにはどのタイプの製剤が良いのかが異なっていると感じています。

 

■サプリメントは品質チェックが重要です

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ただし、サプリメントについては、乳酸菌のものに限らず、必ず品質の良いものを選ぶようにしてください。サプリメント選びのポイントは、最低限として次の4つを守っていただくことだと筆者は考えます。

(1)原材料の品質が良い

乳酸菌のサプリメントの場合は、必ず研究によって機能的な効果が認められた乳酸菌を配合しているものを選んでください。前述の通り、乳酸菌の種類は無数にあり、中には効果がはっきりしないものも存在します。したがって同じ乳酸菌でも、機能的な研究が行われているような品質の高いものを選ぶようにしてください。

(2)不要な添加物を含んでいない

乳酸菌は、犬の腸内細菌に働きかけてさまざまな効果を表すと考えられていますが、実は添加物の中にはその腸内細菌に影響を与えるものがあります。そのため、せっかく機能的に効果の高い乳酸菌を配合していても、添加物によってその効果が減ってしまう可能性もあります。したがって、必ず不要な添加物を含んでいないサプリメントを選ぶようにしてください。

(3)学術情報が豊富で、販売会社の対応が誠実

サプリメントは医薬品と異なり、効果効能を謳うことができません。しかし、臨床試験など研究活動を行うことはできます。また、学会などへ論文を投稿したり学会発表を行う場合は、必ず第三者の審査を受けますので、公正な成果が公表されます。したがって、このような学術活動を行なっているサプリメントについては信頼性が高くなります。

さらには、どんなものにもメリットとデメリットがあります。乳酸菌のサプリメントも同様で、必ずあまり有用でなかったケースもあるはずです。それを顧客情報として誠実に伝えてもらえる場合は、その販売会社の信頼性を測る一助になると思います。

(4)第三者の認証を受けた工場で製造している

サプリメントはその有用性の評価が最も大切ですが、それと同じくらい大切なのが安全性です。サプリメントのような加工品は、その製造過程で雑菌などの混入がないよう細心の注意が必要になります。その品質管理を行う上で、第三者の認証を受けている場合、より安全性の高いサプリメントと判断できます。

乳酸菌は、犬でもサプリメントなどで多く利用されており、お腹やお口のケアなどに役立てられています。しかし、その細かなメカニズムは未だに研究中ではっきりと分かっていないところもあります。そのため、上記ポイントを参考にしながら、品質の良い乳酸菌サプリメントを日常生活に取り入れてみてはいかがでしょうか

※ 本サイトにおける獣医師および各専門家による情報提供は、診断行為や治療に代わるものではなく、正確性や有効性を保証するものでもありません。また、獣医学の進歩により、常に最新の情報とは限りません。個別の症状について診断・治療を求める場合は、獣医師や各専門家より適切な診断と治療を受けてください。

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【参考】

※ John Barreca,struna,Lightspring,Vinogradskaya Natalia,Beatriz Vera

【画像】

※ Irishasel,Masarik,Roomanald,SmileonBow,SOMKKU / Shutterstock

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