獣医行動診療科の当院では、毎日のように攻撃行動の診察を行っています。「急に咬みついた」というご報告もよく耳にします。果たして、本当に急なのでしょうか?
咬みつくという行動は、わんちゃんにとっては“最終手段”になります。その前に“不機嫌サイン”を送ってくれているのです。このサインを読み取ってあげることで、最終手段にまで到達する必要がなくなります。
そこで今回は、愛犬の気持ちを早めにキャッチするためのポイントについて、獣医行動診療科認定医の筆者が解説します。
■「攻撃行動のはしご」~最終手段までの道のり~
実際に咬みつくまでに、わんちゃんが示しているボディーランゲージを“攻撃行動のはしご”と言います。実際には、すべての行動を順番に示していない場合や、飛び級をしているケースもありますが、大枠としては理解しやすい考え方になります。
ここで重要なことは、“赤信号”になってから対応を開始するのではなく“青信号”で気づき、対応を開始することです。
■青信号で認められる不機嫌サイン5つ
青信号で気がつけるサインについて、分かりやすいサインを5つ紹介します。
(1)鼻を舐める
意味もないのに、鼻をペロペロ舐めている行動を見たことはありませんか? これは、わんちゃんがストレスを感じていたり、気を紛らわそうとしたりするときに見られる行動の場合もあります。
(2)まばたきをする
目をパチパチさせてまばたきする行動になります。よく見ないと分からないかと思いますが、いつも以上にパチパチさせているようであれば、緊張しているサインかもしれません。
この行動を確認するために、真正面から顔を覗き込んだりしないでください。そのような対応は、とても緊張を与えてしまいます。
(3)あくびをする
眠たくもないのに、あくびを繰り返すことはありませんか? 動物病院や初めて行く場所などでも確認されることがあります。これも、ストレスを感じているサインのひとつです。
(4)顔・体をそむける
名前を呼んでも顔や体をそむけたり、他のわんちゃんに対してこのような行動を示したりすることがあります。わんちゃんにとっては「これ以上関わりたくない」というサインにもなるので、配慮してあげる必要があります。
(5)ニオイをかぐ
突然床のニオイをくんくんかぎ始めたりすることがあります。動物病院の待合室や診察台の上でも確認されることがあります。
ニオイをかぎたいというよりは、自分を落ち着かせようとする行動であることもあります。
■不機嫌サインが確認されたら
不機嫌サインは青信号で見つけることがとても大切です。そうすることで強い恐怖体験などを回避し、最終手段に進むことも避けられます。まずは、自分のわんちゃんを観察し、サインを読み取ることから始めてみてください。
不機嫌サインを見つけたら、まずはそれ以上刺激を追加しないことが重要です。そうすることで、最終手段まで発展せずに行動を終了させることができます。
その場から離れる、それ以上触らない、そっとしておくなど……その時の状況によって対応は異なると思います。
不機嫌サインの各種刺激に対して、回避や馴らす、対応方法などは色々なケースがあると思います。専門家と相談しながら「人も動物も楽しい」方法で対応してみてくださいね!
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